共感とリベラルアーツ

今回は10月16日(月)に実施された、リベコの理事でアルスコンビネーターの矢萩邦彦さんの講座『共感とリベラルアーツ』についてご紹介します。

あなたが共感したとき、あなたの中の現実の自分、理想の自分のどちらに共感しているのか? という少し難しい質問から話が始まりました。実際はどちらか片方ということはなく、大抵両者が入り混じっています。両者が一致していると、アイデンティティが確立していると言えます。キャリア相談に来る人は、アイデンティティが不安定なのです。目の前のクライアントのアイデンティティの安定度を増すための支援が、我々が優先的にやることです。
 
トロッコ問題と陸橋問題(危険が迫っているとき、1人を犠牲にして5人を助けるかどうか?)が紹介され、皆さんならどちらを選択するかと問われました。Dヒュームは道徳的判断は、理性的判断ではなく、感情に起因すると言っています。理性的判断では共感できないことも多いのです。
 
成りたい自分を目指し、思考や言動が一致して行くことで、アイデンティティが確立します。従って、理想がない状態でアイデンティティを確立するのは難しいと考えられています。
 
確固たるアイデンティティがある人とはどのような人でしょうか? 失敗を恐れず、自信を持って行動し、共感を呼ぶ人です。承認欲求とは、アイデンティティの不安を解消したい欲求です。
 
人は相容れない2つの認知を持つと、不協和を感じて不安になり、安定した協和状態に戻そうとします。一度共感して信じると、正当化して不協和音を自動調整します。また、アイデンティティに不安があると、心の平静を保とうとしてポジティブな解釈をします。例えば、喫煙者が煙草の有害性を知った際には、有害性は確認された事実ではなく、一つの説であると考えるのです。
 
最後に、小学校3年生から高校生の生徒が考えた「怖い話」が沢山紹介されました。聞いている人に怖さを感じさせる話とはどのようなものかについて、矢萩さんからの解説がありました。例えば、具体的な地名を挙げることで臨場感が共有され、共感を呼ぶことがあります。
断言せずにぼかすことによって、多くの人が反発せずに聞いてくれて、共感を得られることもあります。怖い夢の話でも、最初から夢というと、「何だ、夢か」と思われてしまいますが、それを最初は言わずに、最後に夢と言って不穏に終わらせることで怖い話にしたものもあります。
 
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(仲井圭二)

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