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何でこうなったの?「何で」をわかりやすくルールにすれば調和が生まれる

あの人何でこうなのかしら?
職場でそう感じることも多いと思いますが、その「何で」の原因は人なのでしょうか?「何で」の本質を考え皆が調和することができた事例です

これは職場で実際にあった出来事です

みなさん、想像してみてください

複数人がいる場所の一室の一角に棚があり荷物や持ち物を置くスペースがあります
ここに自由に自分たちの物を置いて良いと言われました
あなたはこのスペースをどう使いますか

職場に休憩室を新しく作り、そこで個々に休憩時間を過ごせるようになってからのことです

その休憩室に棚を2種類設置しました
一つの棚は荷物置きの棚で各自のバッグを置いています
その横にもう一つの棚、食品用の棚を置き、各自が休憩中に食べる物、例えばレトルトのお味噌汁や食後のおやつなどのストックをおけるようにしました
狭い職場なので、個々のロッカーを置くことが難しく、棚を使って各自の荷物や持ってきた食品を置くことにしたのです

和気あいあいとした少人数の職場ならではで、特に個人の場所は区切ったり定めたりせずに置いていました
一人が持ってくる荷物はバッグ一つくらいでたかが知れていますし、ストック食品もお味噌汁やちょっとしたおやつくらいですから、特に問題はありませんでした

ところが、半年経つと状況は変わっていました

各自が持ってくるバッグは一つくらい、それは変わっていないのですが、食品用の棚はスペースがなくなり、荷物置きの棚にも食品が置いてあり、バッグを置くスペースが人数分ギリギリになり余裕がなくなっていました

もちろん、各自でこれは自分の食べ物、という管理はしていましたが、ついに食品を置くスペースがなくなってしまったことで、仕方なくなのでしょうが、荷物置きの棚にも食品が置かれるようになっていました


各自の概念に任せることは限界を迎えました

結局、これまで暗黙の了解で皆が同じ認識ではない、わかっているようでわかりづらい不文律での運用を止めて、食品と荷物置の棚に運用ルールを作ることにしました

ルールは至って簡単で、食品棚を職場で共用で使う物の棚にし、その分荷物置きの棚を増やし、各自の物入れボックスを荷物置の棚に設置する、というものです

このボックスは自分専用のボックスですから、各自が好きに使って良いことにし、それぞれが自分の食べ物や私物を自分のボックス内に収めるようにしました
各自のバッグを置くスペースも考慮し、等間隔を設けてそれぞれの荷物を管理出来るようにしたのです

その運用ルールを皆に説明し、各自が食品棚に置いていた食品をボックスに入れました

複数人分の食品をそれぞれのボックスに入れるとなると、今ある全ての食品を等分してもそれぞれのボックスには余裕があるだろうと思っていましたが、結果は異なりました

ボックスの中身がほぼ空の人
ほどほどに入っている人
溢れそうになっている人

そして、皆がそれぞれのボックスを棚に収め終わったころに、一人ボックスは溢れ返り、さらにまだまだ入りきらない自分の食べ物を見てどうしたものかと小首を傾げている一人がいました

ボックスの中に入りきらず、もう一つボックスがいるくらいの量が残っていて、困っているようで声をかけました
すると
「これってみんな私のものなんでしょうか?」
と尋ねられました

私が何故そう思うのか尋ね返すと
「誰に聞いても、自分のものではないと言われて、自分が買ったり持ってきた物のような気がするけど、もしかしたら自分の物ではないような気がして、自信がなくてどうしようかと思っています」との答えです

私から「自分の物だと思う必要なものは持っておいて、自分の物ではないし、いらないのであれば、必要な人が使えるように共用の棚に置くのはどうでしょう?」と提案したところ、自分の物ではないと思われる食品の行く先が決まり安心していました

これからは、自分のボックスを使えば、その中は自分の物だけなので、人の物かもと心配することもなくなって、ボックスの中で物が増えることは問題ないことを伝えました

何故食品はこんなに増えてしまったのか

当初、2種類の棚を作った時に、少人数で和気あいあいとしている職場なので少々のことはお互い助け合え、たまに荷物が多くても大きくても大丈夫であろう、と皆で相談してルールは特に設けていませんでした

「わざわざルール化しなくてもいいんじゃない?」これは全員の認識でした

そう思った原因は、誰でも自由に置けるスペースだけれども、複数人いるから皆他の人に配慮して使うだろうという暗黙の了解でした

全員がその不文律を概ね共通としていました

食品が溢れ返ってしまったその人は、食品棚と荷物置き棚との違いは承知しつつ、他の人への配慮はしつつ、伝えた通り自由に置いていました
さらに、元々ストックがある方が安心で、休憩時間にストックの中からその日の気分にあった好きな物を選んで食べることに喜びを感じていたので、他の人よりも自然と数が多くなっていったのです
そして、多くの食品を抱えていたので、日にちが経つと自分が何を買ったか分からなくなり、もしやこれは自分の物ではないかもしれない、と考え、次を買い足すを繰り返していたようなのです

結局、他の人達も
「どんどん食品が増えて自分が持ってきたものが棚に置けなくて困っている」
「自由に置いて良いのだから自由に置く人もいるだろう」
「食品を増やす人は管理はどうしているんだろう」
「バッグを置くスペースがなくなっていくけどどうするんだろう」
などと思っていました
しかし、そうは思っていても悪気がなくこの状態になっていること、その人に大量にストックすることを注意することはお互いがストレスになることを悟っていて、特に意見はしていませんでした

端的にみると、食品を自由に増やしていった人に注目してしまいがちですが、この問題の本質は誰もが共通の認識で一致しにくく、分かりにくい不文律で運用していたことにあります

その結果として、人の感覚での仕組み=暗黙の了解がこの職場での不文律であることで、人の感覚が違うからこそ皆がモヤモヤした気持ちになっているということになってしまいました

今回のことで、和気あいあいな少人数でも、そして小さなことでも、暗黙の了解はなくし、これがルールだと決めて分かりやすく伝えることで共通の認識になり、その認識が誰かを一人にしない、誰かをモヤモヤさせない、ということに繋がることをしっかりと認識することができました

分かるだろうではなく、分かってもらえる仕組みを作ることで、誰もが和める調和を創ることが出来ました

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