ドラマ「今夜すきやきだよ」~美味しいご飯と、女同士の共生
ドラマ「今夜すきやきだよ」は、週末の癒しだった。
バリバリ働く内装デザイナーの太田あいこ(蓮佛美沙子さん)は、家事が苦手で恋愛体質。売れない絵本作家の浅野ともこ(トリンドル玲奈さん)は、家事が得意でアロマンティック(他者に恋愛感情を感じない人)。
気質もライフスタイルも正反対な二人は、お互いの得意なことでお互いの足りないところを補い合うような関係で、あいこが例えていたイソクマ(イソギンチャクとクマノミ)みたいに、まさに共生ともいえる同居生活を送っている。
女同士の暮らしに恋愛が絡んだりしないところも良き。
料理上手のともこが作る数々の手料理は、タイトルのすきやきだけじゃなく、サムゲタン、手作り牛すじ肉まんに手作りギョウザなどなど、毎週すっごく美味しそうで、画面をガン見してしまう。
私も半年だが学生時代に女同士で暮らしていたことがあった。
東京でいきなり一人暮らしさせるのは不安ということで(ヘンな男に引っかかったら大変という意味も含まれる)大学入学時、母親に女子寮へ入れられたのだ。
ずっと女子校だったのに、また女子寮なんて嫌だとゴネたが、だったら仕送りはしないと言われると、入るしかなかった。
入寮してみれば女同士の気安さで、毎日のようにあちこちの部屋でお茶会が開かれ、お菓子を持ち寄り何時間もお喋りしたり、大勢で深夜に酒盛りしてワイワイ騒ぎ(中には未成年者も居たため)寮長から大目玉を喰らい、罰として1ヶ月外泊禁止・門限19時を言い渡されたり、いろいろな事があったが、振り返って見ればいい思い出だ。
平穏な同居生活を送っていた、ともことあいこだったが、あいこが結婚することになり変化が起きてゆく。
いつまでも一緒に暮らせるわけじゃないんだから、あいこの結婚を祝福してあげなければ、と葛藤するともこの気持ちも痛いほど分かる。
一方あいこは、恋人のゆき(鈴木仁くん)と結婚前のお試し同居をしたものの、ともことの同居に比べて何かとても疲れる、違和感を感じてしまい、ついに、「このままじゃ結婚できない」と、ゆきに告げてしまう。
「結婚前にお互いの思ってることをちゃんと話し合った方がいいよ」と言う、ともこの助言に従い、お互い自分の望む暮らしをあげていった結果、ゆきとあいこは別居婚するという結論に至る。
何となく、あいこは結婚しても、ともこと同居するのでは?と思っていたので、そう来たか!と、ちょっと安心した。
自分の苗字が変わることにも抵抗があったあいこだったが、じゃんけんに負けて、ゆきの姓を名乗ることになってしまう。
両家の顔合わせの際、「男は女房の手料理が食べたいものだ」などと言って、あいこが苦手な家事をやんわりと要求する両親を目の当たりにしたゆきは、あいこばかりに変化を求めるのはフェアじゃないと感じ、あいこの苗字を名乗ることにする!と宣言してしまう。
姓が変わることに抵抗がある人には、日本でもそろそろ別姓を認めてもいいんじゃないかと思ってしまう。
私が暮らす国では夫婦別姓、Wネーム(両方の姓を併記)、入籍後に新しい姓を作る!?ことも可能だ。
そうしたからといって特に不都合が起きているわけでもない。
むしろ私の周りの友人などは、パスポートやカードなどの改姓手続きをするのが面倒だから、夫婦別姓にしている人の方が多い。私は深く考えず夫の姓にしてしまったが、せっかく夫婦別姓に出来たのに…せめてWネームにすればよかった…と、今はちょっと後悔している。
別居婚したあいこと同じアパートにゆきも引っ越してきて、ともことの共同生活を続けつつ、ゆきの部屋でも過ごすあいこだったが、子供が生まれてからは更なる変化が訪れる。
育児で手一杯のあいことゆきを、さりげなくサポートするともこ、ともこの友人のしんた(三河悠冴さん)の存在はとても心強い。
子供が生まれたこともあり、あいこはゆきと同居することを決断。
ついに、ともことあいこの共同生活は終わりを迎えるのだがーーー。
理想的なラストに、こういう仲間に囲まれた育児が現実にあったらとってもいいなぁと思った。
私の場合は息子が生まれた時、日本の家族からも夫の実家からも助けてもらえる状況ではなかったので、初めての育児(しかも二人とも40代と高齢)に、お互いの国の子育て文化の違いからバトルになったり、授乳・オムツ替え・授乳の無限ループ、なかなか寝ない息子に親もほとんど寝る時間などなく、毎日ヒーヒー言いながらクタクタだった。
そんな日々でも、新しい家族と暮らす時間に幸せを感じてもいた。
だけど、美味しいご飯も、ほっこりする日常も、家族の時間も、ずっと明日も続いてゆくという保証は何処にもない。
だからこそ、同じ食卓を囲み笑いあえる人と過ごせる、何と言うことはない1日にも感謝し、日々の暮らしを慈しんでゆこう、そう思った。
いただいたサポートは、日本のドラマや映画観賞のための費用に役立てさせていただきます。