みつる

主に日常の出来事を日記に書きます。食べ物、お酒、創作小説、着物のことなど。

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  • 日記

  • 千夜の晩酌

    晩酌に理屈は必要ない――ある夫婦の生活を描いた掌編小説です。全4編。

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記事一覧

ニコちゃんマークの日傘

 日傘をいつまで使ったらいいのかわからないけれど、この日傘は今年までだと決めている。  今の日傘を買ったのが四年、いや、五年前だったかもしれない。折りたたみ式で…

みつる
3週間前
2

折ることは、祈ることに似ている

「折る」を「祈る」と見間違えた。  文芸同人誌のシェア型本屋・招文堂が主催する、文芸フリーペーパー配布企画「いつもの文芸文庫3」の募集テーマのことだ。  公募企画…

みつる
1か月前
4

お盆休みと校正

 私が暑さに弱くなったのか、年々暑くなっているのか、恐らく後者だと思う。ネッククーラーのおかげで多少はマシだけれど、暑いことには変わらない。  足元に水をかける…

みつる
1か月前

大人になれたかな

 この三連休で祖母に会いに行った。去年の祖父の葬式以来だった。  天気さえよければ日帰り温泉でも……と思ったけれど、例によって雨女パワーと梅雨が重なり、近所のコ…

みつる
2か月前
2

それでもやっぱり熱いコーヒーを

 日記として書くにはあまりにも短すぎるけれど、上手く膨らませられなかったのでお焚き上げ。  職場に着いたらパソコンを立ち上げる。パスワードを入力してから画面が切…

みつる
3か月前
3

私が蓮ノ空に触れるまで

 GWに入ってから、YouTube公式チャンネルで蓮ノ空のストーリーを見始めた。  ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ。ラブライブシリーズで、物語の舞台は石川…

みつる
4か月前
3

GWのゆるい活動記録

 五月はゆるやかに流れて、後半も終えようとしている。 「GWはどこか出かけたの?」と聞かれる度に、「特に何も」とはぐらかしてしまった。実家にも帰らず、特に旅行らし…

みつる
4か月前
2

サバの水煮缶

 平日フルタイム出勤で、自炊は頑張ったり頑張らなかったり。  おかずは鶏肉や豚肉を選びがちだけれど、たまには魚も食べたい。切り身を煮たり焼いたり、スーパーで割引…

みつる
6か月前
4

半透明人間

 たまの週末、職場の人たちに誘われて飲みに行く。  多くても五人まで。場所は大衆居酒屋。主な話題は仕事の悩みとか、その場で注文した料理やお酒の感想とか。あとはオ…

みつる
6か月前
1

書は捨てずに町へ出た

 節分に恵方巻きではなく、焼き立ての明太フランスを頬張ってしまった。もちろん方角は東北東だ。  休日に出かけることは好きだけれど、どちらかといえばインドア派だと…

みつる
8か月前
2

掌編小説「ジョンは何でもお見通し」

 友人のジョンが殺された。  朝のコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた僕は、目を疑った。犯人はエリーゼ夫人。エリーゼは同郷のクラスメイトで、ジョンの妻だ。  ジョ…

みつる
8か月前
1

三が日ダイジェスト

 喪中につき新年の挨拶は控えていたものの、素直に祝えない状況になってしまい、あれよあれよと一週間が経ってしまった。  地震が起こった当時は、実家のリビングのソフ…

みつる
9か月前
3

今年買ってよかったもの2023

両手に買い物袋を持ってニコニコのうさぎが可愛いね。 今年買ってよかったもの、2023年もまとめてみました。 Nolismのyuragu サクラ 陶磁器のピアス/イヤリング「yuragu…

みつる
9か月前
6

そうだ、紅葉を見よう

 先週末、母親と紅葉を見るために京都に行った。  紅葉といえば、せいぜい近所の公園のイチョウや、通勤ルートにある桜の木が赤黄に色付いているのを眺める程度だ。実家…

みつる
10か月前
6

掌編小説「引っ越し蕎麦はいらない」

 わたし、魚沼千夜は三人姉弟の真ん中。おうし座。出身は新潟。好きなものは美味しい食事とお酒。  就職をきっかけに上京して数年。たまに友達や先輩とお茶をしたり、甥…

みつる
10か月前
4

前向きなお別れ

 色々あって私物を断捨離することになった。衣類や書籍、大きな物から小さな物まで。洋服タンス三段分を占領していた着物類も二段分まで減った。  手持ちの中には新品の…

みつる
10か月前
1

ニコちゃんマークの日傘

 日傘をいつまで使ったらいいのかわからないけれど、この日傘は今年までだと決めている。  今の日傘を買ったのが四年、いや、五年前だったかもしれない。折りたたみ式で、ワンポイントにニコちゃんマークの刺繍が入っているのが好きだった。  いつもニコちゃんマークが正面を向くように差しているせいで気付かなかったけれど、反対側に小さな穴が開いていた。それに目に見えて骨組が弱っていたし、何よりも決定的だったのは、晴雨兼用ではなかったことだ。  私が折りたたみ傘を持ち歩く基準は、天気予報で雨マ

折ることは、祈ることに似ている

「折る」を「祈る」と見間違えた。  文芸同人誌のシェア型本屋・招文堂が主催する、文芸フリーペーパー配布企画「いつもの文芸文庫3」の募集テーマのことだ。  公募企画に参加する人たちがどの段階から動くのか知らないけれど、私の場合は一次・二次創作問わず、テーマに沿った大筋の話を考えておくか、ある程度書き進めた状態で申し込むようにしている。  何も書けなかったらどうしようかと不安になってしまうし、あまり筆が早い方ではないので、これぐらい事前準備をする方が丁度いい。  今回のテーマ

お盆休みと校正

 私が暑さに弱くなったのか、年々暑くなっているのか、恐らく後者だと思う。ネッククーラーのおかげで多少はマシだけれど、暑いことには変わらない。  足元に水をかけるついでに風呂掃除をしていたら、プールに入りたい衝動に駆られた。水風呂ではなくてプールなのは、きっとカビ取り剤の塩素の匂いのせいだ。  お盆休みの前半は実家で過ごし、台風の影響で新幹線が止まる前に自宅に戻ってきた。  実家にいる間は、母方の祖父に会いに行ったり、CLAMP展に行ったり、ちょこちょこと予定があった。以前か

大人になれたかな

 この三連休で祖母に会いに行った。去年の祖父の葬式以来だった。  天気さえよければ日帰り温泉でも……と思ったけれど、例によって雨女パワーと梅雨が重なり、近所のコインランドリーとスーパーに出かけた程度で、あとは家でのんびり過ごしていた。  日中はお茶やコーヒーで、夜はビールや日本酒、赤ワインを飲みながら、祖母と色々な話をした。  頻繁に帰省していた子供時代は、祖母と何を喋ればいいのか分からなかった。好き嫌いではなく、標準語で喋れる祖父の方が話しやすかったからだと思う。 「自分は

それでもやっぱり熱いコーヒーを

 日記として書くにはあまりにも短すぎるけれど、上手く膨らませられなかったのでお焚き上げ。  職場に着いたらパソコンを立ち上げる。パスワードを入力してから画面が切り替わるまで3分はかかるので、その間に給湯室に向かう。   小さな水筒にインスタントの粉を入れて、ポットからお湯を注ぐ。  水分補給は別に用意した麦茶で、眠気覚ましと気分転換にコーヒーを飲む。  麦茶のようにぶがぶ飲みたいけれど、コーヒーには砂糖もミルクも入れないから、空腹時の胃にはちょっと重い。そうでなくても一日二

私が蓮ノ空に触れるまで

 GWに入ってから、YouTube公式チャンネルで蓮ノ空のストーリーを見始めた。  ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ。ラブライブシリーズで、物語の舞台は石川県金沢市で、アプリでリアルタイムに展開される。みんなが楽しそうに話しているコンテンツ——私が知っていたのはこの程度で、TwitterのTLから得たものだ。  そもそもフォロワーの3分の1はラブライブシリーズ繋がりで、時にはライブや楽曲の感想、最新情報のRT、絵や小説の二次創作などがTLに流れる。  私も過去に

GWのゆるい活動記録

 五月はゆるやかに流れて、後半も終えようとしている。 「GWはどこか出かけたの?」と聞かれる度に、「特に何も」とはぐらかしてしまった。実家にも帰らず、特に旅行らしい外出もしなかったからだ。  働くことで生活リズムを整えていたので、当初は会社カレンダーになかった連休が10日も与えられてしまうと、どうしたものかと戸惑ってしまった。数年前に一ヶ月ほど自宅療養していた時とは理由が違う。  おまけに仕事で大きなミスをしてしまった翌日から休みに突入したこともあり、数日間はかなり滅入ってい

サバの水煮缶

 平日フルタイム出勤で、自炊は頑張ったり頑張らなかったり。  おかずは鶏肉や豚肉を選びがちだけれど、たまには魚も食べたい。切り身を煮たり焼いたり、スーパーで割引シールを貼られた刺身でもいい。  とは言っても運悪く魚が売り切れていたり、そもそも買い物すらしたくない日もある。そんな時に重宝しているのがサバ缶だ。  味が決まった味噌煮缶も良いけれど、水煮缶は万能選手だ。トマト缶と余り物の野菜たちと煮込んだり、味噌汁、炊き込みごはん、カレー、リエット等々どんな場面でも活躍できる。

半透明人間

 たまの週末、職場の人たちに誘われて飲みに行く。  多くても五人まで。場所は大衆居酒屋。主な話題は仕事の悩みとか、その場で注文した料理やお酒の感想とか。あとはオタクだと認知されているので、その手の話を振られる。  お酒は割と何でも飲める。ビールで乾杯してからレモンやお茶系のチューハイに移るか、この頃はまだ寒いので芋焼酎のお湯割りを注文する。  多分、楽しい。終盤の偏った論説でスッと酔いが醒めてしまうことさえ除けば。  1から100まで満足を求めるのはさすがに欲張りかもしれない

書は捨てずに町へ出た

 節分に恵方巻きではなく、焼き立ての明太フランスを頬張ってしまった。もちろん方角は東北東だ。  休日に出かけることは好きだけれど、どちらかといえばインドア派だと思う。パソコンの前に座って日記や小説を書くならまだしも、SNSをだらだらと眺めて動かないことも珍しくない。  この日は後者だった。座りっぱなしの体は凝り固まる。当然、お腹も空かない。  このままではいけないと思い立ち、買い物がてら外に出た。駅へ向かう通勤ルートとは反対方向に歩き出す。  迷子猫のチラシ、鳥が啄みそうな

掌編小説「ジョンは何でもお見通し」

 友人のジョンが殺された。  朝のコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた僕は、目を疑った。犯人はエリーゼ夫人。エリーゼは同郷のクラスメイトで、ジョンの妻だ。  ジョン・ルマンド氏が、エリーゼ夫人の浮気の証拠を見つけたことから揉め事になり、エリーゼ夫人は、チェストから取り出した拳銃で——新聞にはこのような内容が書かれていた。  僕は天を仰いだ。悪い夢だと言ってほしい。あのジョンが拳銃が見えないはずがない。だって君は、何でもお見通しだったじゃないか。  ジョンには昔から不思議な力が

三が日ダイジェスト

 喪中につき新年の挨拶は控えていたものの、素直に祝えない状況になってしまい、あれよあれよと一週間が経ってしまった。  地震が起こった当時は、実家のリビングのソファでくつろいでいた。今は安全圏にいることと、自身の心が引っ張られやすいことから、早々に情報を遮断した。  せめてTwitterでは普段通りに振る舞おうとしたけれど、すっかり戻るタイミングを逃してしまい……しかしどっぷり浸かってしまったSNSからの卒業も出来ずに、近況報告としてnoteで日記を書いている。  年始の出来

今年買ってよかったもの2023

両手に買い物袋を持ってニコニコのうさぎが可愛いね。 今年買ってよかったもの、2023年もまとめてみました。 Nolismのyuragu サクラ 陶磁器のピアス/イヤリング「yuragu(ゆらぐ)」シリーズの春限定。 淡いピンク色のグラデーションに、ふちの金彩も上品でため息が出る。消して枯れることのない桜の美しさよ。 当時のTwitterにも感想を残した。 J-Scentの和肌 川端康成の『眠れる美女』をモチーフにした香水。 去年の記事では『まずはサンプルを取り寄せてみ

そうだ、紅葉を見よう

 先週末、母親と紅葉を見るために京都に行った。  紅葉といえば、せいぜい近所の公園のイチョウや、通勤ルートにある桜の木が赤黄に色付いているのを眺める程度だ。実家にいた頃は、自転車で六義園の夜間ライトアップを見に行った記憶がある。あの時も母親と一緒だった。  折角ならあまり行ったことがない場所にしよう。ということで、修学旅行以来の嵐山へ。嵐山には鶴屋寿の嵐山さ久ら餅を買いに行きたかったので、ちょうどいいタイミングだった。  母親は金曜日から京都入りして、醍醐寺と六曜社に行ったそ

掌編小説「引っ越し蕎麦はいらない」

 わたし、魚沼千夜は三人姉弟の真ん中。おうし座。出身は新潟。好きなものは美味しい食事とお酒。  就職をきっかけに上京して数年。たまに友達や先輩とお茶をしたり、甥っ子たちの子守りをする。仕事もやりがいを感じ始めて、それなりに充実した独身生活を送っていた。  このままでもいいと思っていたけれど、三十歳になった今年、守屋宗一郎さんと入籍した。  同い年の宗一郎さんとの出会いは、結婚相談所だった。  お姉ちゃんは結婚して男の子が二人いて、弟は彼女と同棲中。わたしは上京してから地元の彼

前向きなお別れ

 色々あって私物を断捨離することになった。衣類や書籍、大きな物から小さな物まで。洋服タンス三段分を占領していた着物類も二段分まで減った。  手持ちの中には新品の浴衣や半幅帯もあるが、ほとんどがリサイクルやアンティークだ。  着物仲間も皆無なので譲れない。メルカリに出そうにも点数が多い。私のように一人で着物を楽しんでいる人でも参加できるような、次の人に着物を譲れる場所があれば教えてほしい。  結局、着物の買取業者に宅配買取をしてもらうことにした。一般ごみとして燃やされて灰になっ