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デザイン思考とアート思考(再考)

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これまでnoteで執筆した「デザイン思考とアート思考(再考)」関連の記事を集めています。
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2022年9月の記事一覧

デザイン思考と組織文化PARTⅠ

デザイン思考と組織文化PARTⅠ

 今回からは最後のテーマとして、デザイン思考と組織文化との関係について考えてみたい。本編⑧のところで述べたように、欧州ではデザイン思考とは、クリエイティブ・コンフィデンス(creative confidence)のことであるとの論調があるが、そのような理解の仕方は本当に正しいのであろうか。

 そもそもクリエイティブ・コンフィデンスとは、個人が持つ創造的なマインドセットや思考パターン、あるいはそれ

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システムズ・モデル

システムズ・モデル

 本編⑯のところで見たように、横地(2020)では、小さな創作行為(mini-creativity)の積み重ねが、徐々にアーティストの見る目を養い、その後の創作活動の屋台骨となるような創作ビジョンの形成へとつながるとされている。このような小さな行為の積み重ねが、やがて大きな成果へとつながるという発想は、漸進的なイノベーションの積み重ねが、急進的なイノベーションにつながるとする経営学の一部の主張とも

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アート思考とエフェクチュエーションの関係

アート思考とエフェクチュエーションの関係

 番外編⑦では、デザイン思考とエフェクチュエーションの関係を取り上げた。そして、その際、議論の入り口として、デザイン思考とエフェクチュエーションに共通するのは、不確実性への対処を主眼に置いていることと、予測とは異なるアプローチを採用していることであると述べた。

 しかし、それらの2つの条件であれば、アート思考も十分に満たしている(Whitaker, 2016)。アート思考の登場も、不確実性の増大

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デザイン思考とエフェクチュエーションの関係

デザイン思考とエフェクチュエーションの関係

 ここでは「デザイン思考と起業行動」に関して、もう少し寄り道してみたい。本編⑬~⑯でも見たように、近年、デザイン思考はアジャイル開発やリーン・スタートアップなどと共に語られることが多くなっている。また、その結果として、デザイン思考は起業やベンチャー創出のためのアプローチとして注目されるようになっており、エフェクチュエーション(effectuation)との関係についても関心が寄せられるようになって

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