記事一覧
暴行死疑いの女児が「赤ちゃんポスト」に預けられていた、というニュースに感じるモヤモヤ
三重県で4歳女児に暴行し死なせたとして、母親が逮捕される事件がありました。この女児は生後間もないころ、熊本市の慈恵病院が運営する親が育てられない子どもを預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)に預けられていた、と報道されています。このニュースについて私が感じる「モヤモヤ」について書いてみたいと思います。
事件は既に警察発表を基に実名で報じられており、この記事の中に実名はなくても、特定する
子どもの権利はどうなるのかー 国の内密出産ガイドライン
「内密出産のガイドラインを国が公表へ」というニュースが駆け巡りました。熊本市の慈恵病院が独自に導入したとしている内密出産について、国はガイドラインで「親に対して出自を知る権利をきちんと説明する」「戸籍法で義務付けられている出生届を親や医師が出さなくても、市区町村長の職権で戸籍が作れるという解釈を明確にする」などと報道されています。内密出産は「いいこと」であるかのような報道が続いていますが、果たし
もっとみる私が新聞記者を辞めた理由
巨大な岩 29年2カ月続けた新聞記者を2022年5月末に辞めました。仕事は楽しかった。面白かった。辞めたくて辞めたわけではありません。目の前に突然、巨大な岩が立ちふさがって前に進めなくなってしまった。そんな感じです。
拙著『赤ちゃんポストの真実』(小学館)を出版するとき、会社ともめたことは既にnoteに書きました。けれども、読んでくださった方から寄稿の依頼を受けたり、講演の依頼が来たりするよう
「内密出産」を巡る報道の無責任
「裏を取る」新聞記者なら情報の「裏」、つまりその情報が事実であるかどうかの根拠を確かめることは基本中の基本です。私は駆け出しのころ、デスクから「こういうことか?」と聞かれ、「そうだと思います」と答えたらこっぴどく叱られました。「思う、で記事を書くな。伝聞や想像で書くな。事実かどうか確かめろ。裏を取れ」と厳しく指導されました。記者はみんな同じような経験があると思います。
熊本市の慈恵病院が独自に導
文春オンライン報道への疑問
2021年11月に配信された文春オンライン「『誰にもばれずに出産したいです』そう告げた19歳女性は、なぜ『内密出産』をやめたのか」について、感じた疑問を書かせていただきます。
この文章は、内密出産制度を「導入した」と主張している熊本市の慈恵病院に、「誰にもばれずに出産したい」と言って相談してきた19歳の女性に関するものです。内密出産をしたいと言ったものの、女性に軽度の知的障害があることが分かり、
内密出産は本当に母子を救うのか
「内密出産 国内初か」
2022年1月、こんなニュースが駆け巡りました。匿名で子どもを預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を設置している熊本市の慈恵病院が、内密出産を希望した女性が出産した、と発表したのです。
内密出産は、相談機関では実名を明かし、医療機関では匿名で出産する制度で、ドイツでは法制化されています。慈恵病院も「制度を導入した」と発表しましたが、国内では法制化されておらず
新聞社で言論の自由がない
ちょっと物騒なタイトルをつけてしまいました。言論の自由を標榜している新聞社で、言論の自由がないなんて? 私自身、そんなことあるはずがないと思ってきました。私は新聞記者になって28年。言論の自由はもう空気みたいなものだと思ってきました。
きっかけは2017年12月、朝日新聞が1面トップで「内密出産導入を検討」という記事を出されたことです。熊本市で赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」を運営している
「赤ちゃんポストの真実」を出版して
初めまして。森本修代(のぶよ)と申します。地方紙の記者をしています。
昨年、『赤ちゃんポストの真実』と題した本を出版しました。「赤ちゃんポスト」は熊本市の病院が「捨てられる命を救いたい」という目的で2007年に設置したものです。正式な名称は「こうのとりのゆりかご」といいます。これまで159人の子どもが預けられました。
私は15年から18年までの3年間、担当していました。今後も取材を続けるつもり