東京地形・建築巡り 表参道
「こんにちは、上島珈琲です。淹れたてコーヒー無料でお配りしておりますー。どうぞお立ち寄りくださいませー。無料でお試しいただけますー。」
声と声が重なり合う。
朗らかな土曜日、私用で表参道へ行った。
お気に入りの本屋さん、山陽堂書店の隣で珈琲が無料で配布されていた。
静かな店内と、珈琲を勧める掛け声が対照的だった。
うるさいな、無料だと行列になるんだなと思いながらも、本屋さんを出てついつい珈琲をもらってしまった。美味しい。
表参道には暗渠化した渋谷川が交差している。渋谷川にかかる橋の痕跡は、おしゃれな植物に覆われかけていた。
ここから曲がると、緩やかに蛇行した裏道で渋谷川を感じることができる。表参道から一段下がったところに道があり、すぐ暗渠だとわかる。
ここは、キャットストリートと名付けられている。
暗渠をUターンして表参道ヒルズに入る。
安藤忠雄設計のこの商業ビルは、同潤会アパートの跡地に建設された。坂地形を生かし、フロアが斜めっている。
鋭角が多いからか、よそいきな気持ちになる。
青山通りに出て、槇文彦設計のspiralを訪れた。このオープンスペースは有名でずっと座ってみたかった。
デザインが優れた椅子なようで、座りごごちが良い。通りを眺めてぼーっとしていたらお腹が鳴った。
根津美術館の方へ歩く。千代田線に沿って進んでいくと、急激な谷地形に遭遇する。
愛用の『東京23区凸凹地図』には、長者丸支流の谷と書かれていた。かなりえぐられていて、スリバチ好きにはたまらない眺めだった。もう一つの谷は笄川(こうがいがわ)と読むそうだ。難しすぎる。今は亡き地名。
陸橋から谷底へ降りる。橋脚が長細く一生懸命支えていた。
長者丸通りから後ろを振り返ると、六本木ヒルズが見える。東京の再開発を象徴するかのような風景。
六本木も東京において重要な谷地形を有しているので必見だ。
ここから国立競技場の方まで足を延ばし、原宿用水の跡を歩いたりしてみた。
南青山は川が作り出した地形がくっきりと表れていて、素晴らしい景色だった。
表参道は建築だけでなく、地形も堪能できる場所だと再認識した。
次はどこへ行こう。
かしこ
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