実態のない図書室_金木犀と霞草

マガジンにて分野別に本を所蔵(紹介)しています。

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最近の記事

今のあなたが思ってるより世間はずっと、ずっと広い。

『歳月がくれるもの -まいにち、ごきげんさん-』 田辺聖子:著 文藝春秋:出版社 ※文春文庫   お名前は度々聞いていたのですが、読んだことのなかった田辺聖子さんの作品です。図書館の新刊コーナーでたまたま見掛けて手に取りました。こちらはエッセイです。なんの前情報もなしに読んだのですが、田辺さんの柔らかな関西弁にキュンとします。エッセイの内容も多岐にわたり、女の人の可愛げとはなんなのか、独身で生きることと結婚することなど、生きるを楽しむヒントがたくさん詰まっているエッセイだな

    • 小説を通じて世界の見方を知る

      『読書人カレッジ2021 -大学生のための本の講座-』 読書人編集部:編  大学生のためのと書かれていますが、内容が気になり手に取りました。 8名の講師が、本の選び方や読み方に悩む大学生に向けて行った講義がまとめられています。なんのために本を読むのか、積ん読ばかり増えて読むスピードが一向に上がらなくて悩む大学生など、その悩みわかります!と思わず共感するものもあり、それに対する講師陣の回答も良かったです。中でも積ん読に関する奥野克己さんの回答が嬉しかったです。 -積ん読とは、

      • 嫌いにはなりたくないんだ このまま会わなくなったとしても

        『ミウラさんの友達』 益田ミリ:著 マガジンハウス 益田ミリさんの漫画デビュー20周年記念作品 20年も漫画にエッセイに小説に沢山の作品を残しているミリさん、改めてすごいなぁと思います。ミリさんの作品を初めて読んだのは大学生の頃で、当時はミリさんの作品の雰囲気になかなか慣れることができず、一冊読むも暫く離れていました。再び作品に触れたの社会に出て、身も心もくったくたになった頃。仕事で行き詰まっていた時に『週末、森で』に出会い、じわじわと心がほぐれたことを覚えています。そこか

        • お洒落サラダにマッシュルーム

          マッシュルームって取っ付きにくい…と長年思っていました。 お洒落なサラダに必ず入っているマッシュルーム。 あれは生なのか?火が通っているの?と料理初心者の私は疑問が浮かべて眺めていました。美味しそうだけど、マッシュルームってなんだか敷居が高いなぁと勝手に思っていた今日この頃。 先日、スーパーで買い物していたら見切り品コーナーにてホワイトマッシュルームを発見!いつもは「私ごときがマッシュルーム様を料理に使うなんて持て余してしまう。。」と敬遠していたのですが思い切って購入。初め

        今のあなたが思ってるより世間はずっと、ずっと広い。

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        • 考え方
          0本
        • 本と図書館と本屋
          2本
        • 社会・ジェンダー
          0本
        • 名作を読む
          3本
        • 海底二万マイルの料理
          1本
        • 文芸・エッセイ
          11本

        記事

          たくさんの幸福な夜と昼の記憶

          『新版 いっぱしの女』 氷室冴子:著 筑摩書房(ちくま文庫) 生きづらい女のあれこれを書いたエッセイです。セクハラという言葉が世間に出始めた頃、いっぱしの年齢・30歳を迎えた氷室さん。氷室さんからみた、女の人に起こる社会での違和感に関して、鋭く書かれていてスカッとします。名作エッセイの復刊嬉しいです。 ○今日の好きな言葉 -ちょっとした風や雨の匂いなんかに、好きだった“感情”がなまなましく甦ってきて、涙ぐむことがある。相手の顔なんか、とうにボヤけているというのに。- 本文よ

          たくさんの幸福な夜と昼の記憶

          毎日がほとんどネコのこと

          『ほとんどネコのこと 岩合さんの月曜日』 岩合光昭:著 岩合眞知:構成・撮影 クレヴィス 動物写真家 岩合光昭さんのフォトエッセイ。 コロナで海外での撮影はおろか、日本での仕事も困難になった岩合さんが、毎週月曜日にごはんを作りツイッターへ投稿。岩合さんの日常が垣間みえるエッセイ集です。 最強のアシスタントとして、岩合さん宅のネコも2匹登場します。玉三郎ちゃんと智太郎ちゃん。ごはん作りのお手伝いに来るのですが、とっても可愛い。岩合さんが料理する横で見守っているのですが、そ

          毎日がほとんどネコのこと

          パリは移動祝祭日

          『移動祝祭日』 ヘミングウェイ:著 新潮文庫 1920年代パリが舞台の作品。ヘミングウェイの若かりし頃の日々が綴られています。夫婦二人、裕福ではないけれど慎ましやかな暮らし。 この頃のパリは、音楽・美術・文学とあらゆる面で新しい芸術を指向するエネルギーが沸騰していました。その中での創作の苦楽が鮮明に書かれています。 パリ文学には欠かせないシェイクスピア書店も出てきて嬉しいです。 パリ左岸にある伝説の書店、シェイクスピア・アンド・カンパニー。 『シェイクスピア&カンパニー書店

          わたし、じつは、名まえを落としちゃったみたいなの

          『せなか町から、ずっと』 斉藤 倫:著 junaida:画 福音館書店 ふしぎな町、せなか町で起こった7つのお話。 それぞれ短編のためさらっと読めます。特に心に残ったのは「カウボーイのヨーグルト」動物が関わるお話に弱くて…棒つきあめちゃん… 「ルルカのなみだ」も心にじんわりするものがあって良かったなぁ。 斉藤さんの温かく優しい文章に、junaidaさんのどこか翳り漂う目を引くイラスト。最強のお二人がタッグを組んだ素敵な作品です。 *お話に出てくる森の図書館のイラストがめちゃ素

          わたし、じつは、名まえを落としちゃったみたいなの

          百年の知己

          『本を愛しなさい』 長田弘:著 みすず書房 長田さんの愛する本と、その書き手たちの人生を切り取った短編集。 個人的に印象的だった作品は、ウルフ夫妻の出版社ホガース・プレス社のお話「犬とリンゴと本と少年」です。ウルフ夫妻の元で働く少年目線でストーリーが進みます。読んでいると、なんだか学生時代のアルバイトのことを思い出しました。 ○惹かれたトコロ ・本を通して見知らぬはずの作者に親近感を抱く。どんなに時代が移っても他に代えがたい本からの贈り物のひとつだと長田さんは言います。 ・

          お茶を飲むために、どこかへ出かける。

          『Room talk 2』 岡尾美代子:著 筑摩書房 スタイリスト岡尾美代子さんの書籍。2は旅行の話がたくさん。 岡尾さんの目に映るものを、写真と文章から感じとることができ、読んでいて幸せな気持ちになる。空間の切り取り方、被写体のチョイス、少しだけ哀愁を感じる写真も、岡尾さんとおしゃべりしているような文章も、素敵でずっと読んでいたい。岡尾さん大好きです。 ○惹かれたモノ・コト・コトバ ・イギリスの掃除機 ヘンリーくんが可愛い。くりっとした目が印象的。  今もイギリスで使われ

          お茶を飲むために、どこかへ出かける。

          春の熊くらい好きだよ 『ノルウェイの森』より

          『齋藤孝の冒頭文de文学案内ー1分で蓄える知識&読みどころー』 齋藤孝:著 柏書房 齋藤孝先生の新刊はついつい読みたくなる。 古今東西の文学案内。魂の籠った冒頭文をわかりやすく解説。 齋藤先生のうんちくコーナーが特に面白い。 ○惹かれた言葉 井上ひさしの座右の銘 「難しいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを愉快に、愉快なことをまじめに書く」 ○次に読みたい本 1.『蟬しぐれ』藤沢周平 文春文庫 蟬しぐれ:たくさんの蟬がいっせいに泣き立てる声のこと。大和言葉。

          春の熊くらい好きだよ 『ノルウェイの森』より

          パートナーのカタチ

          とても今更ですが、阿佐谷姉妹のドラマ最終話を観ました。 大家さん、お隣さん、阿佐谷のみんなとの関係 近すぎず遠すぎない親戚のような距離感にじんわり暖かくなりました。 マネージャーさんの仕事以外のアフターフォローにもじんわり 何より二人の間柄が、回を増す毎にどんどん素敵になっていき、観ているこちらもニコニコしてしまいました。 本当の姉妹のように言いたいこと・不満に思うことをしっかり相手に伝える姿にグッときました。 相手の言葉を蔑ろにせず、時間はかかったとしても真摯に向き合う姿

          いまは幻 無印のガレット

          お菓子の中でも、ガレットが大好きです。 特に無印良品のガレットがお気に入りでした。 ひと口サイズで食べやすく、量も多すぎず少なすぎず丁度良い。 無印に行く度購入していたのですが、ある日突然姿を眩ませて、、その後今日に至るまでお目にかかれていません。 他のメーカーから出ているガレットもいくつか試してみたのですが、しっくりくるものになかなか出会えず、ガレット不足の日々を送っています。。 カルディで購入したガレット(正確にはパレ)が割と思い描くガレットに近かったのですが、如何せん

          いまは幻 無印のガレット

          楽しみが増えました

          益田ミリさんの「スナックキズツキ」と「僕の姉ちゃん」がドラマ化するなんて! すごく嬉しい。配役もなんだかしっくりな気がして、今から楽しみです。 取り敢えず、9/23以降にAmazonプライムに入ろうかなと思います。 黒木華さんの姉ちゃん、どんな雰囲気なんだろう。。。 原田知世さんのいるスナックなんて、毎日通いたくなっちゃいそう。

          いつかあなたをわすれても

          歳を重ねて気付いたことは、人間の記憶力って案外頼りないということ。 (わたしの記憶力がないだけかもしれませんが…) あんなに大切に思っていたことを、ふとした時に思い出したり、 もう既に忘れてしまった思い出もあるんじゃないかなと思います。 反対に、嫌な気持ちになったことの方が鮮明に覚えていたりするから、自分の記憶ながらなんだかなぁと腑に落ちない気持ちになります。嫌な思い出程早く忘れてしまいたいのに、心にこびり付いて離れないものですね。これもまた、ふとした時に記憶が蘇り、どうしよ

          いつかあなたをわすれても

          スナックキズツキ

          誰もが日常の中で少しずつ傷ついている。 ちょっとしたことでイラッとしたり、何気ない言動にひっそり傷ついていたりする。そしてふと、私の何気ない言動が過去に誰かを傷つけていたのではと、読んでいて少し怖くなった。無意識のうちに、誰かを傷つけていたのかもしれない。 この本の中に出てくる登場人物の感情ひとつひとつに頷いた。思ったことのある、感じたことのある感情ばかりで私だけじゃなかったんだと、何故だか安心した。 スナックキズツキのようなスナックが現実にあれば良いのに。なんだかモヤモヤ