百年の知己

『本を愛しなさい』 長田弘:著 みすず書房
長田さんの愛する本と、その書き手たちの人生を切り取った短編集。
個人的に印象的だった作品は、ウルフ夫妻の出版社ホガース・プレス社のお話「犬とリンゴと本と少年」です。ウルフ夫妻の元で働く少年目線でストーリーが進みます。読んでいると、なんだか学生時代のアルバイトのことを思い出しました。

○惹かれたトコロ
・本を通して見知らぬはずの作者に親近感を抱く。どんなに時代が移っても他に代えがたい本からの贈り物のひとつだと長田さんは言います。
・人生で大切なことの一つは、人生を派手にやるのでなく、わずかな元手でやるということ。わずかな元手とは、じぶんで、ということ。
日々はたくさんの鎖でできている。そのどの一つも適当にしてはいけない。疎かにしてしまえば、たちまちじぶんというわずかな元手を失くしてしまう。幸福の秘密は、日々のあらゆる鎖事に対して新鮮な関心をもって関わるということ。

○今日の好きな言葉
本を愛しなさい、と
人生のある日、ことばがいった。
そうすれば百年の知己になる。
見知らぬ人たちとも。
風を運ぶ人とも。死者たちとも。
谺とも。
『本を愛しなさい』本文より

長田 弘(おさだ ひろし)
詩人。児童文学作家。随筆家。1939年福島にて生まれる。
詩や児童文学をはじめ、評論・翻訳もされていて、数多くの作品を書かれています。詩集とエッセイはとても読みやすく、特に『深呼吸の必要』『読書からはじめる』は大好きで何度も読み返しています。

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