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短編小説

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#クリスマス

【短編小説】夢が終わる前に

【短編小説】夢が終わる前に

 きらびやかな電飾に彩られた街路樹。身を寄せ合いながら歩く恋人たち。あと三十分ほどで日付も変わるが、この夜はまだ賑わいを見せる。クリスマス・イヴ。

 まぶしい夜の街並みを、ナツミとユキは一定の間隔を保ちながら、駅へと向かって歩いていた。そのふたりの間を、一瞬、鋭く乾いた冬の風が通り抜ける。
「あー寒。やっぱりファミマでおでん買っときゃよかったな」
 ナツミは黒いライダースジャケットのポケットに片

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