保育園の先生からの謎の謝罪「シャツが汚れちゃってすみません…」[ライターの共働き子育てエッセイ#5]
ある日、保育園の先生からこう告げられた。
「明日は絵の具を使うので、汚れてもいい服を着させてください」
なるほど。息子の服に限らず、自分の服も含め、基本的に汚れても仕方ないと思っている。
子どもと一緒の暮らしでは、服が汚れるイベントで溢れている。というか、服が汚れる可能性しかない。子どもがいる生活を経験したことのない人に伝えるために、なにかたとえることができないかを考えてみる。
●シューティングゲームの敵の攻撃の数だけ、服が汚れる可能性がある
ひとつ浮かんだ例として、たとえるなら、シューティングゲームのようなもの…と書こうとしたけど、あまりこのジャンルに詳しくないので、唯一プレイしたことのあるファミコン版『スターフォース』(一面をクリアしたことが一度もない)をイメージしながら解説します。
タタタンタタン…という軽快かつBGMを聞きながら、戦闘機が発進する。円盤型、半円型、ロケット型などさまざまな敵キャラが飛来して、それらの攻撃を避けながら前方へと進んでいく。
この敵の攻撃すべてが、服が汚れるイベントの可能性だといえば、どれだけ多いのかが少しは理解してもらえるのかもしれない。
ごはんを食べるときはもちろん、ペンや絵の具でお絵かきをすれば汚れ、道を歩いては転んで汚れて、公園にいけば砂場で遊んで汚れて、うんちやおしっこを漏らして…とその可能性は果てしないわけです。
経験を積み重ねることでだんだんパターンが読めるようになっていくので、このあたりはシューティングゲームに近い要素もあるとは思うのですが、結論として、汚れてもいい服しか着ないというのが最適解であると気づく人は多いと思います。
●服の汚れでクレームを入れるような保護者
というわけで、基本的に、小さい子どもを育てる親たちは、「汚れてもいい服を着させてください」と言われても、「はあ…わかりました…(だいたいいつもそうしてます)」という感じだと思うのですが、ある日、保育園であらためてこの言葉を言われたので、印象に残っていたわけです。
(写真)絵の具で汚してきたシャツ。テレビ東京系で絶賛放送中の「ウルトラマンZ」のイラストがプリントされている。「ウルトラマンZ」はシリーズ中ナンバーワンの傑作のため(当社比)、そのうちどこかで原稿を書く。
その翌日、そんな言葉は忘れて登園したところ、さらに「今日は絵の具を使うのですが、これは汚れてもいい服ですか?」と聞かれて、「全部汚れても大丈夫です!」と答えて、送り出したところ、無事、しっかりと汚して帰ってきました。いや、あんなことを言われたもんだから、もっと汚れるかなと思っていたので、若干の拍子抜け感すらあった気がする。
こんなに念入りに汚れについて確認してきたのは、おそらく、服の汚れに関するクレームを入れる人が一定数いるからなのでは。そう思って、保育業界の知人に聞いたところ、「まあ、そういう人はどこにでもいるよね」とのこと。
ただでさえ大変な保育園での仕事を増やしたり、先生の心に負担をかけないでいただきたい。
服の汚れでクレームを入れるような保護者は、出禁にしたうえで、そいつの持つ服のすべてと、将来新しく買う服のすべてが、着た瞬間になぜかどこからかベトベターとドリアンと臭豆腐とシュールストレミングが飛来して、最初のうちはひどい匂いに悩まされつつ、そのうち鼻の機能がまひして、自分の匂いに気づかず、ただ臭い人として嫌われる人生をまっとうしていただきたい。
(終わり)
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●ライターの子育てエッセイ「そして、父になりつつある」について
30歳まで実家ぐらしで、家事能力はゼロ(32歳まで洗濯機を使ったこともなかった)の穀潰し。結婚や子どもを持つことなど考えもしなかった零細フリーライターが、自覚も覚悟もないまま結婚し、子育てすることになったため、“父親“になるべく奮闘するリアルドキュメント。
自覚ゼロのダメ人間が、じょじょに父になりつつある現状を記録しつつ、世にはびこる父の自覚ナシのオトコたち(かつての自分)に捧ぐ、更生のヒント満載のエッセイを書いていく予定です。
・家事能力ゼロがどのように家事に参加できるのか
・家事の分担で気づいたジェンダーの問題
・夫婦間の価値観の違い
・子育てを通して思い出す親からうけた教育のあれこれ
・子どもがゼロからなにかを学んでいく興味深い姿勢
・そのかわいいエピソード
などがメインの予定です。
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