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そして、父になりつつある(社会不適合者の更生子育てエッセイ)

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30歳まで実家ぐらしで、家事能力はゼロの穀潰し。結婚や子どもを持つことなど考えもしなかった零細フリーライターが、自覚も覚悟もないまま結婚し、子育てすることになり、“父親“になるべ… もっと読む
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記事一覧

日立のドラム式洗濯機に、離婚の危機から救ってもらった[だめ人間の子育てエッセイ#6]

恥ずかしながら、30歳過ぎまで実家ぐらしを続け、彼女との同棲や結婚後も、2年間はまったく家事に参加しなかった。 どうも、生活力レベルゼロ、アリアハンから出た瞬間にスライムやおおがらすに瞬殺される弱々のダメ人間です。 24歳から約3年間はインドネシアでひとり暮らしをしていたけど、当時住んでいたアパートには住み込みのメイドさんが何人もいて、頼むと掃除と洗濯をしてくれたうえ、屋台のメシが安くて旨いので、生活力は1ミクロンも向上せず。帰国後も実家で穀潰しをしていた。 大学まで体

保育園の先生からの謎の謝罪「シャツが汚れちゃってすみません…」[ライターの共働き子育てエッセイ#5]

ある日、保育園の先生からこう告げられた。 「明日は絵の具を使うので、汚れてもいい服を着させてください」 なるほど。息子の服に限らず、自分の服も含め、基本的に汚れても仕方ないと思っている。 子どもと一緒の暮らしでは、服が汚れるイベントで溢れている。というか、服が汚れる可能性しかない。子どもがいる生活を経験したことのない人に伝えるために、なにかたとえることができないかを考えてみる。 ●シューティングゲームの敵の攻撃の数だけ、服が汚れる可能性がある ひとつ浮かんだ例として

洗濯機の死亡事故を防ぐ、あざやかな逆転の発想【ライターの子育てエッセイ#4】

0歳児のうちは、寝返りでうつ伏せ状態になってしまい窒息死したり、ベッドから落ちるだけで死んでしまったり、風呂で数秒間目を離したスキに溺死したりと、生活のいたるところに死の危険がある。 ふとんや服、ぬいぐるみ、よだれかけで窒息することもあるし、ベッドと壁の隙間に落ちたり、飲んだミルクを吐いて窒息することも。 ステータスが激弱で、ちょっとごはんをくれない相手にあたったら大変なことだし、赤ちゃんサイドとしては、生まれてくる環境を選べないうえに、リトライがない死にゲーといっても過

2歳児が初めて話した二語文「ぱぱのかみ」の意味【ライター子育てエッセイ#3】

●30歳すぎまで毎日フルボッコだった実家ぐらし時代お風呂に入ったあと、残った髪の毛が汚い! 両親、きょうだいから、ほぼ毎日怒られていました。30歳まで実家に住んでいた間(24歳〜26歳は海外でひとり暮らし)は、フルボッコでした。風呂に入ったあとが汚い、気持ち悪いと。 うるせーなと思いつつ、仕方ないのでちゃんと拾い集めて捨てたつもりでも、まだ残っているらしく、本当に毎日怒られてたんですよ。 ただ、飲食店で出された皿に髪の毛が入ってても、そんなに嫌な気持ちにならないし、クレ

雨の音を「ぴちぴち」と表現した北原白秋のすごさ【ライターの子育てエッセイ#2】

子どもを抱っこして、雨のなか保育園まで歩きなごら、ふと雨の音について考えた。 今日は、雨が、ざあざあ降っているね。 そう語りかけて気づいたけど、今日の雨に、この「ざあざあ」という音はしっくりこない。 傘を差しながら歩いていて、聞こえたのは、ビニール傘に雨が当たる、ぱちぱち、という音。 (写真)おろしたてのレインコートを着てご機嫌な2歳児 雨がコンクリートに落ちて、聞こえる音はなんだろう。そう考えて、あらためて音を注意深く聞いたところ、傘に当たると、ぱちぱち、と鳴って

首が座ってない赤ちゃんをだっこする恐怖を思い出す【ライターの育児エッセイ#1】

30歳まで実家ぐらしで、家事能力はゼロの穀潰し。結婚や子どもを持つことなど考えもしなかった零細フリーライターが、あれよあれよというまに子育てすることになったため、メモをもとに日々の暮らで思ったことをエッセイとしてつづる、零細ライターの育児日記「そして、父になりつつある」。 家事の分担で気づいたジェンダーの問題や、子どもがゼロからなにかを学んでいく興味深い姿勢、子どものかわいいエピソードなどがメインの予定です。 第1回は、子どもの生後3週間頃に書かれたと思われるメモに少し加

ダメ人間の零細ライターが育児エッセイ「そして、父になりつつある」を書き始めます

20代の大半を年収100万円程度の状態で過ごし、実家を出たのは30歳を過ぎてから。職業は零細フリーライター…と、なかなかに穀潰しアウトサイダー気味な生活をしていたので、20代後半にさしかかるまでは自分が結婚をしたり、ましてや子どもを持ったりという想像をしていなかった。 自分の食いぶちを稼ぐので精一杯な人生だったため、誰かを養うなど、微塵も考えたことがなかった。妻の妊娠が発覚してから出産までの間も、その事実に現実味を感じることがなく、いいようのない不安のせいなのか、つねに自分