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歌仙兼定に会いたくて会いたくて震えた熊本旅【一人旅②-前編】

一人旅黎明期にして私は、早速ヲタク旅をやらかした。熊本に行きたかった理由はただ一つ。歌仙兼定(日本刀)に会いたかったから。

基本的に私の旅はヲタク旅じゃなくてただ海が見たいとか山のマイナスイオン吸いたいとかそういう旅なんだ。信じてくれ。ただこの旅だけはマジで歌仙兼定に会いたかったから行った。私の旅の中でも極めてイレギュラーな回です。

『熊本県 熊本市』

実家が九州なので、お盆に熊本に飛んで観光が終わったら高速バスで地元に帰るという行程は、私にとってとてもハードルが低かった。普通実家に帰るときは羽田と某県の往復をANAで予約するのだが、このときのお盆は行きは羽→熊、帰りは地元→羽という変則的な予約の仕方をした。この時点でちょっといつもの夏のルーティーンと違うものが味わえて楽しい。

降り立った熊本市街は、

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めちゃ暑かった。いやもう東京とか地元の暑さとかが可愛く思えるくらい暑い。これが盆地の夏か。加えて近年急速に酷くなってきた日本の猛暑が私を襲う。確か天気予報は37度とかだったと思うけど、あれは38度39度あったよ絶対。これこそが命に関わる暑さというのだろう。この夏の熊本は、私が経験した中で、最も凶悪な暑さとなった。未だにこれを超える凶悪な夏を私は知らない。

然して美術品に恋焦がれる女は強い。今写真を見ながら思い返してもマジで信じられないくらいパワフルな動きをしている。まずは大震災の被害から復興中の熊本城を目に焼き付けるべく、市のメインストリートである通町筋から城の外堀を周って、熊本県立美術館へのルートを歩く。昔一度熊本城には来たことがあったが、震災後に訪れるのは初めて。ニュースで見たとおり、瓦礫が痛々しい。

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県立美術館だーー!

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細川コレクションだーー!!

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ガラシャ展だーーー!

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地方の県立美術館博物館文化ホール特有の昭和モダンな建物すき。上野の東京文化会館的な。こういうのはたいてい有名な建築家だったりする。

流石に未来に大河を控えているだけあってガラシャ展の内容が濃かった。知らない史料や遺物がガンガン並べられている。ぶっちゃけ歌仙がいなくても普通に来てよかっ

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いややっぱり歌仙が熊本に来てくれてよかったーーー!!!!!! 歌仙兼定だけは写真撮影可でした。びっくりするぐらい人がいない。20分くらい張り付いて写真撮ったりいろんな角度から眺めたり、ときどき人が来たらササッとごく自然に譲って(自然に見えていたかどうかは分からないが)、また誰もいなくなったら張り付いてた。熊本で展示してくれてほんとうにありがとう。心の中で涙を流した。東京だったら絶対こうはいかない。かぶりつき歌仙兼定オンステージ。

今回の旅の目的終了。オツカレッシター

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めちゃくちゃ満足してしまったので熊本市滞在時間3時間くらいだけどもういっそ即地元に帰ろうかと本気で思った。けど、一応他に行くところを考えてきたのだ。熊本市に来たら一応行っとくべき観光スポットあるやん。私の理性が熊本旅の続きを促す。一人旅なんて大抵は理性を伴わない衝動的なものだけれど、偶には理性が旅人の背中を押すこともある。これはそういう瞬間だった。

そうだ私の理性よ、これは細川家ゆかりのスポットを巡る旅にもしようと決めたじゃないか。まずは美術館から旧細川行部邸に向かうが、閉鎖されてて出鼻を挫かれる。震災の影響。

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めぐりん的なバスに乗って熊本県庁まで戻ってきた。展望台から、復興中の熊本城を見ておきたかったからだ。実はこのとき1階のロビーで生くまモンにたまたま遭遇したのだが、興奮して写真が残っていない。

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通称:トランスフォーマー熊本城。

次は市電に乗って水前寺成趣園へ。通称細川家の庭。そこで私は細川のスーパーパパこと幽斎さまにまつわる古今伝授の間を発見する。

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古今伝授エピソードについて理解力が追いついてなくて大変申し訳ねえんですが、なんか関ヶ原のときに三成側が細川幽斎殺そうとしたけど日本で唯一幽斎しか持ってない芸能が失われるのはやべえからちょっとその殺し合い辞めな、って帝が割って入って急遽芸能を伝授してもらったって話で合ってます??? たぶん間違ってる気がする。このときはへえへえフーンとしか思ってなかった古今伝授エピソードとその部屋をちゃんと写真に収めていた私を褒めまわしたい。何故なら後に、古今伝授の太刀がとうらぶに実装されることになるからである。

古今伝授の間はお茶も提供してくれる和喫茶の役割も果たしてるのでマジで助かった。流石に暑すぎる。冷抹茶とお菓子を頼むと細川家の九曜紋付の皿で提供される徹底ぶり!

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同じ敷地内にある神社も九曜紋だらけで大興奮。

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成趣園の風景。

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私は人工的な自然よりそのままの自然のほうを圧倒的に好む人間なので、庭園に大興奮する部類ではないけれど、誰かのために作られた自然は純粋に削ぎ落とされすぎているところが逆に美しいんだろうなと思った。この感想は多少細川リスペクトバイアスがかかっているのかもしれないが、バイアスのかからない旅というのはそれはそれでまた稀有な旅である。私に理性がある限り、絶対できそうにないけど、いつかバイアスのかからない旅をしてみたい。記憶とか失わないとできなさそう。

晩御飯は馬刺し定食で焼酎飲もうとか思ってたのに(テンプレ九州人なので焼酎が好きです)、暑さで疲れすぎてへろへろだったので通町筋のデパ地下で熊本名物的なお惣菜を買いそのままビジホのベッドに倒れ込んで惣菜をモグモグした。缶チューハイを飲む体力すらなかった。歌仙兼定に会うというミーハーな目的を達成した妙齢の女性とはとても思えないていたらくである。

後編につづく。

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