【取材した怪談231】空白の四時間
四十代男性Hさんが小学高学年の時、学校行事としてS県で移動教室(野外実習のような行事)が実施された。二泊三日ぐらいの日程。宿舎は四階建てで、就寝用フロアには二段ベッドがずらりと並んでいる。フロアごとに男女別れて就寝した。
初日の夜。
深夜一時頃、彼は尿意を催して目が覚めた。「時刻は間違いない」とのこと。目をこすりながらベッド下段から抜け出て、暗い廊下の奥にある共用トイレに向かってゆっくり歩いていく。扉を開けてトイレに入り、小便器前に立ってぼんやりしながら用を足す。そのとき、