【取材した怪談話146】とばっちり
女性Aさんが中学生の時の話。
ある日の五限目と六限目の間の休み時間に、クラスのノリの良い男女六人ぐらいのグループが教室の一角を陣取ってコックリさんを始めた。
「お前ら、ふざけてコックリさんやるなよ」
その様子を傍から見ていたB君が、真顔でクギを刺した。彼は地元では著名な寺院の跡取り息子だ。
だが彼の忠告は受け入れられず、コックリさんは速やかに進行された。
それは、開始数分後のことだった。
ぱらぱらぱらぱらぱらっ。
教室中に、軽い音が響き渡る。
B君が身に着けていた数珠が千切れ、床に散乱したのだ。
コックリさんの実行者らや他のクラスメイトが唖然とするなか、B君は床に転がった数珠を拾いながら、ぽそりと呟いた。
「だから言ったのに」
その直後、B君は体調不良を訴え、六限目が始まる前に早退した。
翌朝、彼は新調した数珠を身に着けて元気な姿で登校してきたので、皆も安堵したそうだ。
この件以降、クラスでコックリさんが行われることはなかった。
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