春の月球 <詩>
真昼の空
そればかり眺め
そこに朔があることに
気づき、もしなかった
ある日私は欠けた心を落としたことに、気づき
夕刻の浅い闇にたまたま
足を踏み出した
見上げた西の空に
細々と光る繊月を目にした
無性に気持ちが乱高下したことに、気づかず
それが西の空深く沈むまで
寒さも忘れて立ち尽くした
十日程かけ、その繊月は満ち
夕闇に東の空深くから姿を現した
長い、長い、十日間、
雨空に隠れる日
星を従える日
見失ってしまう日
長かった
満月が笑いかける
満月とは一瞬のはずが
私には永遠に満月
何故だろう・・・
満ち欠けを繰り返す心より
あの満月をいつまでも追いかけていたかった、
・・・失うはずの未来の話だ
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