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【新刊試し読み】『城郭研究家の全国ぶらり城めぐり』|中井 均

城郭研究の第一人者中井均さんが、城めぐりの楽しみ方を紹介する著書『城郭研究家の全国ぶらり城めぐり』が12月14日(水)に発売されたことを記念して、「はじめに」を公開します。



本書について

城郭研究の第一人者である著者が、妻と二人、ジムニーに乗って気ままな旅に出た。桜前線の北上と共に、日本全国ぶらり城めぐり。訪れた城はのべ60カ所以上。本書ではその中から30カ所を厳選して紹介。城のプロでありながら、小学生の頃から生粋の城オタクでもある著者の視点を通じて見えてくる、城の見どころや選び方、遊び方……。城を今よりもっと楽しむために最上の一冊。城コラムや食べ物・お土産情報、地図も充実。



試し読み

はじめに
 今、空前のお城ブームだといわれている。城跡に行けば多くの人に出会う。御朱印ならぬ御城印なるものも各地の城跡で販売されている。天守閣のあるお城だけではなく、石垣すらない戦国時代の山城にも訪ねる人が増えている。加えて若い女性にも人気があるという。私が若い頃、お城を訪れるのは老人、しかもお爺さんだけであった。それがどうだろう。今では若い女性がお城を訪れるのも不思議ではなくなった。
 書店には数多くのお城の本が並んでいる。そこには城跡の見方や見るべきところの場所までが記されている。さらにインターネット上では何十枚もの写真を掲載して、車の駐車場から登城口まで案内してくれている。
 ところが旅行書の棚に目を向けると城めぐりの本というジャンルはないようである。私は長年、城郭の研究に携わってきた。ずっと、どっぷりと城の専門分野に浸かっていたわけだが、大学を定年退職したら桜の咲く城跡を自由気ままに巡ることが夢であった。そして昨年定年し、二年間かけて桜と城を巡る旅に妻と二人で出かけた。そこでは城だけではなく、郷土の食べ物、温泉、名所なども訪ねることができた。本書はその旅行記である。
 城の本といえば姫路城、松本城、松江城、犬山城といった国宝の城や、大坂城、名古屋城、熊本城といった名城が羅列されるが、本書には一切登場しない。実は今回の城めぐりでは研究ではあまり訪れていなかったが、個人的には見どころがある城を中心に選んだ。そのためあまり知られていない城ばかりとなってしまったが、城を見る視点は同じである。まずは本書で城歩きの楽しみを読み取っていただければ幸いである。
 旅には鉄道旅、船旅、秘境旅、一人旅など様々な旅がある。これからは城めぐりの旅を城旅と呼びたい。
 それでは城旅に出かけることとしよう。



目次

はじめに

さぁ、城跡と桜の旅へ出発  
コラム「城旅に出る理由」

東日本編
1 彦根城 ホテルの湯からライトアップの城を独り占め
2 一乗谷朝倉氏遺跡 日本のポンペイに新しい博物館がオープン
3 高遠城 高遠桜の散り去った城跡には私たち夫婦二人
4 越後高田城 池と見紛う水堀と丘のような土塁に囲まれた平城の極致
5 春日山城 本丸から日本海が望める上杉謙信の居城
6 新発田城 復元された海鼠壁の美しい御三階櫓
7 村上城 三大山城も何のその、一押しの山城!
8 払田柵 律令国家による蝦夷対策の城 
9 横手城・平泉 奥州の都は堀を巡らせた城であった 
10 大鳥井山遺跡・金沢柵跡 納豆発祥の城
11 角館城 桜の城下を一望する戦国時代の山城
12 脇本城 北東北の山城は不思議満載
13 五稜郭 日本に築かれたヨーロッパ式の城郭
14 松前城 北海道に築かれた唯一の近世城郭
15 仙台藩白老元陣屋 幕末の蝦夷地警備に築かれた駐屯地
コラム「私が妻と旅に出る理由」

西日本編
16 志布志城 シラス台地を切り込んで築かれた山城
17 飫肥城 戦国の城と近世の城が同居するシラスの城
18 鹿児島城 必見、石垣東北隅の鬼門除け」
19 清色城 まるで秘密基地へ向う魔法の堀切
20 大分府内城 ラムネ温泉に浸かって府内へGO!
21 佐賀城 佐賀平野のクリークを利用した巨大な平城
22 唐津城 玄界灘に面して築かれた浮城
23 櫛崎城 関門海峡を臨む壮大な石垣の城
24 勝山御殿 外国船の艦砲射撃を避けて築かれた城
25 岩国城 城を破壊した痕跡をぜひとも見てほしい
26 伊予松山城 実は姫路城に次ぐ城郭建物が残る城
27 大洲城 一泊百万円で天守に泊まることができる
28 丸亀城 全山を総石垣化した壮大な城郭
29 津山城 櫓の数は日本一。壮大な石垣も文句なし
30 三日月陣屋 一万五千石の小藩が構えた小城郭

あとがき


著者紹介

中井 均
1955年大阪府生まれ。龍谷大学文学部史学科卒業。城郭研究家、考古学者。専門は中・近世城館遺跡。(財)滋賀県文化財保護協会、長浜城歴史博物館館長などを経て、2013年から滋賀県立大学人間文化学部地域文化学科教授。2021年に退官後も日本各地の中世・近世城郭の発掘調査・整備の委員を務めるなど精力的に活動中。著作に『日本の城郭鑑賞のコツ65』(メイツ出版/2009)『城館調査の手引き』(山川出版社/2016)『決定版 日本の城』(新星出版社/2020)『戦国の城と石垣』(2022/高志書院)ほか多数。

『城郭研究家の全国ぶらり城めぐり』著/中井 均
【判型】B6変型判
【ページ数】224ページ
【定価】1,320円(税込)
【ISBN】978-4-86311-348-0


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サイン会情報

2022年12月16日(金/前夜祭)・17日(土)・18日(日)の3日間、パシフィコ横浜 ノースで開催される「お城EXPO2022」で著者の中井均先生が登壇され、その後サイン会も行われます!詳細はこちら↓

『城郭研究家の全国ぶらり城めぐり』発売記念サイン会
17日(土) 14:00〜
18日(日) 13:00〜
パシフィコ横浜アネックスホール2F(お城EXPO内)
参加無料(お城EXPO参加には入城券が必要です)