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商売繁盛に向けた「ものづくり改善」(その2)「製造ー営業 連携」

商売繫盛に結びつける「ものづくり改善」のヒント、今回は(その2) 「製造ー営業 連携」についてです。

ものづくり改善と言うと、工場の中だけの話と思われがちです。「工場の5S」「トヨタ生産方式」「設備保全」等の用語からは、工場の生産現場の改善というニュアンスが感じられます。事実、多くの製造業で生産現場の改善は活発に行われ、成果を上げてきました。

前回(その1)では、”視座の高さを変えながら流れを見よう”と述べました。その中で、全体最適の視点で流れを良くする改善を進めることで商売繫盛に結びつくとしました。

工場長といった役回りがある会社では、工場内全体を見渡しての流れ改善が進めやすいです。
資材調達/出荷業務を工場と隣接した場所で行っている会社では、製造と連携した活動に繋げやすいです。

これに対し、多くの中小製造業では製造部門と営業部門との連携強化の余地がまだまだあり、ここに商売繫盛の宝があることを感じています。

製造 VS 営業  戦う相手か??

「製造/営業」のことを、下記のような対極にある存在と思い、相手のことを誤解してしまうこともあります。

物と向き合う仕事/人と向き合う仕事
コツコツと物事を進める職人気質/社交的でグイグイと押すタイプ

工場と営業所の所在が別で顔を合わる機会が限られる会社では、なおさらです。

それぞれが狭義の「生産の効率化」「営業の効率化」を進めようとすると、相手は自部門の効率を低下させかねない要因と思いがちです。

製造側では、常に決まった製品を一定量ずつ造り続けるということであれば、生産の効率化は図りやすいものです。
実際は、注文には波があり、納期変更が発生し、突発が入ったり、規格外の特注品が来ることもあります。その度に、工程を停め、順番を入れ替え、自動で出来るところを手作業で対応したりします。また、品種のバリエーションはやたらと増え、多品種少量生産になり・・・・・
「営業は顧客に言われたままを御用聞きの如く受け工場に投げてくる。これでは工場の生産効率は上がるはずない。」と。

一方、営業側からすると、顧客から引き合いをもらっても、製造側の返答は必ずしも良くはありません。
顧客要望通りの納期では出来ない、顧客のいろいろな要望にきめ細かく応えていたら手間ばかり掛かってしまう、高い工場原価(顧客要求価格と掛け離れたレベル)である、挙句の果てには納品物の品質が顧客要望に合わない事態が発生・・・・・
「顧客に頭を下げながら必死に注文を取ろうとしているのに、製造が素直に対応してくれない。売上を作っているのは営業であるのに」と。

少なからずこんな気持ちが製造、営業それぞれにあることを感じます。自部門の生産性向上・効率化・売上拡大を図る中で相手方は邪魔をする存在なのだと。
(私は工場に21年、営業に17年在籍し、れぞれの現場で泥臭いことをやってきました。上記のような声は日常茶飯事でした。同様な声は従業員数十名以上の中小製造業では大なり小なりあります。)

企業としての対応


企業としては、顧客要望の多様化、社会変化、競合の状況を踏まえ、常に柔軟に変化し続けなければなりません。(会社の効率化のために世の中が合わせてくれるということはない訳で)

このため効率的な多品種少量に向けた検討・改善活動がなされます。

段取り時間短縮、外段取り化、多能工化、ムダ取り、スムーズでフレキシブルなレイアウト編成、変種変量型生産・・・・・

でも、世の中の変化に、工場内の改善だけで追随しようとすると限界があります。
そこは、市場・顧客との接点である営業との連携が重要となってきます。

製造ー営業 連携


「顧客ニーズ対応」と「工場の生産性」は相反するものでしょうか?
相反する時もあれば、そうでない時もある、両立する時もあるのが実際です。

両立に向けた仕組みを構築している代表格が自動車産業の製販システムです。メーカーの工場での生産体制から、ディーラーで取付けるオプションの設定まで、顧客要望バリエーションを効率良く適えるための仕組みがあります。素晴らしい仕組みですがなお進化し続けています。

製販システムを持っていない企業は、今後構築を目指すのもありでしょう。企業として組織的計画的に投資をしながら進める必要があります。ただしゼロからの構築は効果の刈り取りまでに時間が掛かります。

製販システム構築までせずとも、製造ー営業の日々のコミュニケーションを強化することで売上利益を拡大する余地は大いにあります。

お互いを知ろう

営業担当は、自社の工場内の「物と情報の流れ」「共通する部品」「工程の汎用性」の概要、更には「規格品/特注品の部品・工程の共通点と違い」を理解すると役に立ちます。

これにあっては、先ずは手引書のようなものを製造側で作成し営業担当に渡すのは良いことです。その上で営業担当は時には工場に足を運び現場を見ながら製造の人達とコミュニケーションを図るようにします。
最近はオンラインでの対話が容易になりました。リアルとオンラインを適宜組み合わせながらのハイブリッドでのコミュニケーションは効果的かつ効率的です。

(以下は、BtoBを前提としてます)
営業は、顧客側のなるべく内部まで入り込んだ活動を行うことが重要です。先方の購買窓口だけでなく、設計担当や納品物を取り扱う部署などとも積極的に接点を持ち、先方の情報を多角的に入手します。そうすると表面的な要求だけでなく、内部事情が見えてきます。
これら顧客接点活動の状況は、営業内だけでなく、製造側でも概要をタイムリーに見ることが出来るよう情報をアップします。

製造側ですが、実はかなり営業活動状況を知りたがっています。それも泥臭く生々しい情報です。自分達が製造する製品がどう使われ顧客の反応はどうなのか。更には顧客に喜んでもらえるような事が自分達に出来ないか思ってます。その機会があれば何かやってみたいと。(これかなり本当です)

営業は顧客との接点活動状況をタイムリーに製造側に見せることで、製造側から協力を取付けることが出来る可能性が格段に高まります。


以下、事例です。
顧客の購買窓口からの要求は「3か月後に製品500個納入して欲しい」でした。
これに対し製造側からの納期回答は「500個生産して納品するのに4カ月掛かる」というものでした。

営業としては製造側に何とか急いでもらうか、もしくは顧客と納期調整するかという選択に迫られました。ただこの注文が競合に取られかねず納期調整は避けたく思ってました。

営業は、顧客の購買窓口でなく別部門から情報をキャッチすることを試みました。この結果、次のようなことが判りました。
製品の使用開始は3カ月後で、以降は毎週100個ずつ使用する。これを5週間に渡って繰り返す。つまり500個耳を揃えて納品して欲しい訳ではない。むしろ500個が同時に納品されると直ぐに使わない分は保管しておく必要があり、それはそれで管理負担がある。とのことでした。

営業担当は、この情報を社内のチャットに書き込んだところ、製造側で閲覧されていました。
そして製造側から提案があったのです。
「500個一括納品だと納期は4カ月だけど、毎週100個ずつ5回に別けて納品するのなら、2カ月半後に初回納品が可能。むしろそちらの方が完成品の在庫が軽減でき助かる。」

営業担当は先方の購買窓口に気配りしながら、この提案を伝えたところ、「3か月後に500個一括納品よりも都合が良い」となり、受注に成功しました。

この事例は、自社の製造・在庫・出荷から、顧客の納品・使用までの工程をスルーでみて全体最適化した例と言えます。
単に受注獲得できただけでなく、自社ならびに顧客の生産性を高めることに寄与できたのです。

ITを利活用した連携

顧客との取引関係の中で、顧客から喜ばれ、自社も儲かる利益化シナリオ(どこでどう稼ぐか)を描けるのは営業です

これを描き実行するには営業-生産の連携は必須です。
最近はITを利活用することで、以前では考えも及ばなかった高いレベルでの連携を図ることが可能になってきています。

コロナになってから、オンラインでのコミュニケーションが一気に広がりました。工場と営業所の距離をグンと縮めてくれます。
また、業務用スマホが当たり前となり、情報共有ツールとして各種チャットツールやプラットフォームが安価で手軽に使えるようになりました。

IT利活用というと、費用面だけでなく、それなりのスキルを有する情報システム担当の配置を考慮する必要がありました。
ところが費用面、運用面(スキル、工数)においてわずかな負担で手が届くようになってきたのです。ノーコード開発ツールなるものも続々登場しています。

従来そこそこの規模の会社でないと踏み込めなかったIT利活用が、中小零細製造業でも手軽に出来る環境になってきたのです。

中小製造業は大手と比べ、小回りの利く対応が元々得意でした。経営者による判断が早く、方向を決めれば動きも身軽でスピーディーです。
更にそこにIT利活用でコミュニケーションと情報共有の密度が高まれば、大企業の事業領域のスキマを狙った独自ビジネス展開の可能性が大いにあると思ってます。

営業が顧客側に入り込み、自社~顧客までのスルーで全体最適の視点を持つこと。そして製造が効率的な多品種少量に向けた改善活動で応えること。
そうすると顧客からは喜ばれ、自社の儲かるシナリオ(どこでどう稼ぐか)を描くことができます。そしてこれが商売繫盛に繋がります。

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