【旅の休憩所⑦】奈良のホテルと、女主人の占い
田村さんと会ってからしばらくして、私は奈良に帰省しました。泊まったのは、必要最低限なものがコンパクトにまとめられ、値段もリーズナブルな、老夫婦が経営するホテル。私は、事情があって実家に泊まりたくないため、帰省する際は時々このホテルを利用していました。
▼初めて受けた、女主人の占い
そのホテルには、寺社巡りの特典や、女主人の占い付きなど、さまざまな宿泊プランがありましたが、私はいつも夜寝るだけでよかったので、利用したことはありませんでした。
でもその日は、翌日いよいよ母の故郷を訪ねるということで、私は少しばかりナーバスな気分になっていました。誰かと話して、なにか勇気が出る言葉をもらいたいと思い、初めて女主人の占いを受けることにしたのです。
夕方、予約した時間にフロントに行くと、女主人から紙とペンを渡され、生年月日を書くように促されました。
「四柱推命は、やったことある?」
「いえ、初めてです」
「そう。四柱推命は、統計学みたいなものだから」
そう言いながら、彼女は私の書いたメモをちらりと見て、占いの本を開き、おもむろにこう言いました。
「あなたは、男に関わるとあまり良くない」
「えっ」
いきなり、意表を突かれました。
「あなた結婚してるの? よく結婚できたね。あなたは運が強すぎて、男の運勢をダメにするタイプだ」
ズバズバと切り込む言葉に、私はつい、反論してしまいました。
「で、でも私、夫と結婚して10年以上たちますけど、うまくやっていますよ……」
すると彼女は、
「いちいち反論しない」と、ピシャリ。
「これは統計学だから、あてはまることもあれば、そうでないこともあるの」
(そ、そういうものなのか……汗)
▼波乱万丈の人生だが、最後はうまくいく
女主人は続けます。
「個人的には、ものすごくいい運勢。星5つすべて持ってる。こういうのは、1000人に一人ぐらい。物事が、ダメになりかけてもうまく行くタイプだね」
「そうなんですか?」
急に、いい話になってきました。
星って何なのかよくわかりませんが、きっとゲームセンターのスロットみたいに、全部そろうと大当たりみたいなものなんでしょう。縁起がいいなぁ。
「あなた、波乱万丈の人生だね。いつも色々あって大変だろうけど、最後はうまくいくから、あまり気にしないで。苦しまずに、楽しんで生きることが大事だよ」
確かに、なんだか当たっているような気がしてきました。
私の人生は、普通じゃないことが色々起こりますが、「そういう運勢なんだ」と一度開き直ってしまえば、いちいち気に病まず、ドンと構えていられそうな気がします。
▼数字から音が聞こえる
女主人に、「ほかに見てもらいたい人はいる?」と聞かれたので、娘を見てもらうことにしました。
彼女は、生年月日のメモをみると、苦笑しながらこう言いました。
「これを見るだけで、音が聞こえてくるわ。娘さん、音楽を習っているでしょ。歌が好きで、1日中ずっと歌っているんじゃない」
これは図星です。娘は当時ギターを習っていて、歌うのが大好き。朝から晩まで、楽しそうに歌を歌っていました。
「この子はお金に縁があるから、ほうっておいても生活できるけど、部屋を掃除しないから、へたするとゴミ屋敷になるよ。掃除の仕方を教えてあげなさい」
た、確かに……。いつも部屋を盛大に散らかして、なかなか片づけないので、つい私が手を出してしまっていました。
占いって当たるものなんだなあ(←まともに受け止めないでくださいね…)。
女主人(の話芸)のおかげで、私は少し気分が上向きになりました。たまには、占ってもらうのもいいな。明日の戸籍調査も、きっとうまく行くような気がしてきました。
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