電車内清掃アルバイト 面接編
僕は全く売れてない芸人をしてる。
なので27歳だがバイトをしなくてはいけない。
相席屋というところで養成所の頃から5年程バイトしていたのだが、新型コロナウイルスにより、店は2ヶ月ほど営業停止になり、再開後も客足が離れた為シフトを削られ、今は週一回入れればいい方になってしまった。
これはまずいと思い、新しいバイトを探したけど今までは飲食でずっと働いてたから(大学1年生の時の全く馴染めず、残ってる記憶は店長のチェイサーのポジションランプがピンクだったてことだけのガソリンスタンドを除いて)
飲食店以外で働いてみようと決めた。
そんな時タウンワークで見つけたのが、
やきとり屋のホール・キッチン
沖縄創作居酒屋スタッフ
賄いは新鮮なお刺身!?お洒落自由★居酒屋ホール
慣れている飲食店にばっか目がいってしまう。
いやさすがに居酒屋でバイトしても新しい発見はないと自分に言い聞かせ、他を探していると
夜勤週3日〜勤務OK!電車内清掃スタッフ
お!
これだ!!!
とはならなかったが、
周りでこのバイトをやっているという人は聞いたことないし、勤務地が最寄りの駅の車庫ということもあり応募してみた。
すると次の日には電話がかかってきて、面接することになった。
当日駅で待っていると近くに、ベイシティローラーズのような白いズボンを履いた青年がいた。髪は金髪と黒が混ざっていてヤンキーなのかおしゃれなのか分からない。(以下:ローラーズ君)
そこに歩いて担当の人が現れた。古谷実のわにとかげぎすの世界観にまんま馴染むような少しはげてて長髪のおじさんだった。(以下:わにとかげぎすさん)
わにとかげぎすさんは僕とローラーズ君に話しかけて三人で車庫に向かった。この人も同じ面接か。
どこに住んでるの?とかを聞かれ少し話したが、わにとかげぎすさんは電話では常に半笑いな感じで気に食わないなぁと思っていたが、話していたら全然物腰柔らかい良い感じの人だった。
3分ほど歩くと車庫の入り口の門に着いた。門を開けると坂があり、その坂を下った。
線路沿いには車掌さんなどが泊まる寮が並んでいる。
坂を下り切るとそこにプレハブ?ユニットハウス?のような二階建ての小さい建物があり、そこに入った。
まず履歴書を見せてくれるかな。
とわにとかげぎすさんに言われ出そうとしたらローラーズ君が
履歴書が必要とは書いてなかったから持ってこなかったです。何も書いてなかったですよ。
と言った。
わにとかげぎすさんは半笑いで、あーそうwまあそんなら紙に軽く名前と住所と電話番号書いてよw
と言った。この時の半笑いはハマっていた。
僕は履歴書を出そうとしたが、なんか俺は持ってきましたよ!みたいな意気揚々感が出るのがすごい嫌で鞄の中を探す時間を長くしてゆっくり出した。
そっからは普通に質疑応答した。ローラーズ君は国立大学に通ってる頭の良い子だった。
そしてわにとかげぎすさんは業務内容を話し出した。
「まず君たちには電車の車内清掃をしてもらいます。夜勤ということでその日もう使わない車両が車庫に入ってくるので、その中を掃除するという形ですね」
想像通りだ。
「そこで運転士の人が降りる時にパンタグラフを切るので、電気は一切つきません」
え?
「真っ暗で何も見えないのでヘッドライトをつけて作業してもらいます」
マジ?
「基本的に10両編成の電車だったらその10両すべて一人で作業してもらいます」
いや怖い怖い怖い怖い
「まあ大変なのは嘔吐物や、変な話電車のつなぎ目とかにうんちが落ちてたりするからそれもライトで照らして頂いて拾ってもらったりとか」
うんちをライトで照らして頂いて?
うんちを照らすにも頂くという精神
もううんち以下じゃん
「まああとたまに降り忘れてる人がいたりするからそしたら起こしてあげてください」
イヤァアァアァアアアア
真っ暗の電車でライト照らして人いたらそんなんトラウマだって!!
話しかけていい人なのか分からないって!!起こそうとしてすり抜けたらどうするの!!
「あと電車は車と違って静かなので、車庫に入ってくる電車に轢かれないようにだけ気を付けてください」
と言われた。
今思えばそうなの?っていう話だがその時は怖いしか頭になかったので聞き流した。
面接は終わった。
坂を登って門を出る時、わにとかげぎすさんに服のサイズを聞かれた。
もうこれはほぼ受かったという事だろう。
恐怖でしかないが、受かったらとりあえずやってみようと思う。
また結果が出たら報告します!
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