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オランダ / コロナでシフトする経済活動

現在感染者総数6412名、これまでの死者総数356名、オランダは小国なので日本では報道されませんが、九州と同程度のサイズの国で、ドイツよりも死者の総数が上回っています。

今日はそんなオランダでのコロナ対策と経済への影響、Eコマースやミュージアム、不動産など様々なセクションの動きをまとめてみました。

これまでのオランダ政府のコロナ対策

オランダでは3月15日(日)、ルッテ首相のコロナウィルス感染拡大対策を発表、そこでは学校と飲食店の4月6日までの閉鎖、可能な限りリモートワークを奨励、ロックダウンはしない方針を打ち出しました。

その後3月20日(金)の19時、オランダ王国のウィレム・アレクサンダー国王からテレビでの国民への呼びかけが放映されました。

首相や国王によるこのような国民への呼びかけは異例のもので、多くの人の心を打ちましたが、その直後の週末は花が咲き乱れる非常な快晴で、人々は大勢が海岸や公園に詰めかけました。

この事態を重く見たオランダ政府は3月23日(月)19時、プレスコンフェレンスを実施しました。博物館などの6月1日までの閉鎖や学校閉鎖の延長の可能性、罰金の可能性も含めた新対策を発表、これを「インテリジェント・ロックダウン」と名付けました。

以下がその内容です。

● 買い物と出勤は認められるが、混雑を避けることを求める。外出は可能だが、1.5mの距離を保つことを求める。買い物は同伴者を連れてはならず、一人で行うもののみ認められる。

● 自宅に家族以外の者を呼ぶ際は、最大3名までに制限。

● あらゆる場所において、人が集まることを、3月23日夜から5月31日まで禁止。学校については、現在4月6日まで閉鎖としているが、これを延長するか否かは、現在の措置の効果等を検討の上、改めて決定する。

● 各市長は、その権限をもって、海岸、公園等の人が集まることを禁止する場所を指定することが可能。

● 経済大臣は、小売り店やスーパーマーケット及び顧客が、1.5mの距離を維持できるような追加的な規制を制定する。

● 外出する際、近所や道路の往来においても、3名以上が固まって行動することを禁じる。

● 上記のルールに反した場合は、事業主に対しては最大4000ユーロ、個人に対しては最大400ユーロの罰金が科される。

● 家族に1名発熱症状を持つ者が出た場合、陽性判定されていない場合であっても家族は全員自主隔離しなければならない。ただし、必要不可欠の職業に就いている者については、例外もあり得る。

● 美容、セラピー等、身体の接触を伴うサービス・店舗は閉鎖する。

経済:支援の実施と今後の見通し

これまでのコロナウィルスの経済的影響から、現在1.2%の失業率は4%に増加見込み。今年の経済は7.7%まで縮小し、来年はわずかに回復する見込みですが、失業率は8%に上昇。この経済の収縮は600億ユーロの損失に相当するものだそうです。

オランダでは個人事業主が一番の経済的打撃の対象と考え、各市役所が緊急支援対策を打ち出し、雑多な書類作業なしに早急にサポートが申請できるようになりました。

またこのような状況下では文化セクションの落ち込みも予測されることから、オランダの文化助成団体は予定されていた文化助成枠のキャンセルはしないとアナウンスしています。

コロナウィルス対策下でのビジネス

では、こんな状況下で様々なセクションで働く人々はどのような対策を練っているのでしょう。SNS上では多数の個人のヨガやピラティス講師たちがオンラインでのレッスンをスピーディーに実施しています。

以下ではセクション別に目立った動きを取り上げてみました。

ミュージアム:ミュージアム来場者数が高く、市民とミュージアムの関係が近いオランダでは、閉館を余儀なくされた多くのミュージアムがオンラインでの収蔵品の閲覧サービスを実施しています。各館がスピーディーに色々なサービスを展開し、アイデアを競い合うような様相を見せていて、とても面白い状況です。

オランダ国立博物館(Rijksmuseum Amsterdam) では、学芸員たちが自宅で動画を作り、収蔵品を毎回1点取り上げ、作品背景や作品鑑賞の面白さを訴えるものです。

また、日本でもファンの多いテキスタイル・ミュージアム(Textielmuseum)では、SNS上で学芸員に質問を受け付けるというコミュニケーションサービスを始めました。

ゴッホミュージアム(Van Gogh Museum)でも多様なサービスを打ち出しています。中でも子供用のオンライン絵画教室はこのミュージアム特有のサービスです。

Eコマースショップのギフトサービス:外出規制がある欧州では、家族や友人の誕生日会などを祝えないことが、市民の悩みのタネ。これを解消するため、Eコマースショップの多くがいち早くギフトサービスを実施しています。オランダでは英語でのEコマースショップは多く、英語圏のイギリスやアメリカでもコロナウィルスの影響が拡大しているため、Eコマースショッピングは今後ますます主流になっていくことが予測できます。

不動産:イギリスのEU脱退により益々活気があったオランダ不動産売買ですが、景気後退により住宅価格の高騰にストップがかかることが予測され、特に住宅価格が高騰しているアムステルダムでは、今が購入の好機との見方もあり、現在も活発に推移しています。購入前の見学がウィルス対策によって実施しにくい状況下ですが、いち早くオンラインで不動産業者が売り家を細かく動画で紹介するサービスも出てきています。

現在の住宅ローン金利は徐々に上昇していますが、現在は低金利なので、住宅ローンの申し込みは相変わらず多く、一つの不動産会社の報告では先週からの1週間のうちに約15,000件の申し込みがあったそうです。住宅市場におけるコロナ危機の影響は、まだ明確に予測できる段階ではなく、今後数週間農地に明らかになる模様です。住宅ローンサービスプロバイダーは、長期的には金利が低いままであり、住宅価格は下落ではなく上昇し続けると予想しています。

在宅ターゲット:自宅にいる時間が長くなり、庭仕事や趣味に精を出す人々も増加しています。オランダでは庭関係の商材を売るショップが大変繁盛し、オンラインショップでの発送対応が遅れるほど。またビールの好きなオランダ人のために、自宅でビールが作れるホーム・ブルワリーまで登場しています。

多くのイベントが中止になる中、オンラインでのセミナーを手配するパッケージも登場しています。QUALITY BOOKINGSは人気の各界のスピーカーの講演を仲介する会社ですが、いち早くスピーカー達にオンラインでの講演を可能にするウェビナーを設置し、イベント主催者のために課金制のオンラインセミナーが開催できるソフトウェア提供のサービスも開始しています。

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