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コロナウィルスは、欧州消費活動を変えるきっかけとなるか

3月15日はオランダにとって全土的に

「自分たちにとってコロナウィルスの脅威は対岸の火事ではなく、皆が節度を持って乗り越える危機的状況なんだ」

と真に理解した日になりました。
以下が3月15日の政府のコロナウィルス対策です。

オランダ政府はすべての学校、保育所を閉鎖することを決定、またバーやレストランなどの飲食店やホテル、スポーツ施設も本日日曜日18 時をもって閉鎖、この措置はは4月6日まで続く。

学校も基本的に閉鎖、ただし医療、介護、警察、消防などの重要なセクターで働く親を持つ子どもたちは例外として学校や託児所は受け入れを行う。
飲食店のほかにはサウナ、セックスクラブ、(ソフトドラッグを売る)コーヒショップにもこの閉鎖措置が適用。(この発表後すぐにコーヒーショップ二列ができたのはオランダらしい・・笑)

そして「できる限り在宅勤務をし人との接触を避ける」という指令は、当初は3月いっぱいであったが4月6日まで延長されることになり、人との接触は握手やキスをしないだけでなく、距離は最低1.5メートルとるように推奨。

オランダでは、コロナウィルスによってもたらされたこの状況は

「テクノロジーによってスピーディーに簡単になんでも手に入る、自分たちの近頃の異常なライフスタイルを振り返る機会」

と、ポジティブに捉える人も多いようです。

そんな発表のあった翌日である3月16日の月曜日、快晴のオランダでは朝から子供達の声が賑やかに外に響き、それを見守る親たち(お父さんも多い!)の姿をたくさん見かけました。悲壮感のあるパニック状態に陥っていないのはせめてもの救い。また外は桜や木蓮などの花が開く、素敵なシーズンであるのも不幸中の幸いです。

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写真:オランダの新聞NRCでは、家の中にいるオランダ各地の様々な家族のポートレートと共に、彼らのコロナウィルス対策下の日々を短く綴ったコラムが掲載された。パニックを煽らず、現実的な姿をアーティスティックに切り取っている。

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効率的に合理化し、強い経済を保ってきたオランダですが、勢いのある社会の流れは常に速く、人は皆常に忙しい、そして時間の効率化のためにEコマースやオンラインのテクノロジーを利用し、時間をお金で買うような日々の中で、人生のクオリティーや幸福を問い直すような動きが、実はコロナショック以前から少しずつ始まっていました。

価値の新時代

オランダ人起業家のオスカー・クネッパーズは、起業家と投資家をつなげるプラットフォームROCK STARTSなど、数々の成功したビジネスやオンラインメディアなどを立ち上げてきた人です。そのオスカーが、日本のテキスタイルとの出会いをきっかけに東京に2ヶ月滞在し、各地の職人を訪ねました。

日本の、職人に代表されるモノづくりに携わる人々の人生には、私たちの忘れた幸せがあるのではないか。そしてそんな彼らの作るモノには、自分たちがこれまで経験したことのない使用し共に生きる喜びがあるのではないか。

これは私がMONO JAPANを立ち上げて以降、日本全国の産地を訪れるたびに起こる感触と、全く同じものです。彼らの多くは、代々モノづくりが継承される地域に生まれ育ち、自分の親から制作・生産方法を長期間にわたって学び、身体的に技術を伝承し、自分たちの作ったものにより暮らしている。そしてそれを次の世代へと受け渡すことに強い使命と責任を感じている。だからこそしっかり命をモノに吹き込もうと切磋琢磨している。

モノの向こう側にあるコトを商品価値としてしっかり感じ、理解して選んだり関わったりする時代に近づいていると感じます。そして、テクノロジーによって新しい形が生まれるのでしょう。

今回のコロナウィルスの流行によって大きな景気の落ち込みが予測されている欧州ですが、彼らヨーロッパ人の人生の価値観から消費活動に至るまで、新しい傾向や価値観、トレンドやテクノロジーなどが生まれるのではないかと期待もしています。そしてその中には、日本が有するコトも含まれていくといいなあと思っています。

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