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リモートG.W.~太郎の場合~

先月後半に入ってから、仕事を家でするようになった。
リモートワークってやつだ。
そうこうしているうちにゴールデンウィーク。
今年は「ガマン・ウィーク」だとか言われているけど、家で過ごせるのはありがたい。

まぁ今年は異常事態だけど、毎年、仕事で疲れているのにわざわざ人混みの中に出かけたくはないのに、彼女があこに行きたいだとか、何処どこの何が食べたいだとか予定をドンドン決めて埋めてくるので、家で疲れを癒す時間なんてないのが通年の連休だ。

だけど今年は、堂々と家でゆっくり過ごすことができる。

彼女のご機嫌をとりながら、どうにか1日でも家でゆっくりできる日をねじ込めまそうと画策する必要もなければ、「ちょっとは予定考えて!」だとか怒られることもない。

普段のデートも世間が自粛モードになった頃からしなくなって、出社もしないから通勤時間分も浮き、毎日かなり自分の時間が増えた。
家で邪魔されず趣味に没頭できるとか、普段より充実しているかもしれない。

しかも、"徹底して会わない"という行為に"彼女を大切にしている"という付加価値がついてしまうのだ。


連休が近づいたある日の彼女との電話。
さすがに予定がどうこうという話題にもならず、俺はすでに何年かぶりに一人で自由に過ごせる連休で頭がいっぱいだった。

なんの会話をしていたのか・・・生返事で聞いていたら突然、

「連休中、毎日リモートデートだからね」

という彼女。
俺は驚いて思わず「は?」と、楽しい計画に飛んでいた意識がイッキに引き戻される。

「は?じゃないよ、約束の時間からずっと繋いでてね、動画のやつでだよ!」

オイオイ・・・そんなことしたら、無言で本読んでたりゲームしてかまわなかったら怒られるやつだろ?せっかく家で一人でいるのに、結局自由に過ごせないとか、、、

最近ずっと会えてないこと、世間で流行り出したリモート飲み会なる新たな交流の仕方、そして彼女もリモートワークをしているという設備環境・・・条件が揃ってしまったが為に、俺の理想の連休が今、幻と消えてしまう。

せめて、数日にしないか?との提案も却下。

オワッタ。俺の連休、オワッタ。

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