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1月(1):バイオダイナミック農法とオリーブ農園

年越しは蕎麦じゃなく12粒のぶどうだった。

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2019年12月に南スペインコルドバ県の小さな町に到着し、オリーブ農園の社長は快く迎えてくれた。

収穫は例年11月中旬頃〜1月なので、
到着後早速オリーブ収穫かなと意気込んでいたところ、

予想していたより早くにオリーブの実が熟し始め、
私が到着する前週(!)に今年の収穫は終わったと告げられた、、、

何のために私は、、、

*スペイン行きを決めた編、序章をご参照ください。


、、、(°▽°)


Bueno,
クリスマス、年越しは社長の家族や友人の集まりに誘ってもらい、
加えて2日に1回お昼は社長のお母さん宅で手料理を食べさせてもらった。
それはそれは美味しくて毎回お腹がはち切れそうになるまで食べた。
(このお母ちゃんの漬けるAceituna=オリーブの酢漬けが、最高に美味しい。
私が1年間で食べたどのAceitunaより群を抜いて美味しかった。
ハーブや酢だけじゃなくオレンジも一緒に漬ける。)

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年明け。
収穫は終わっているものの、
オリーブの木の剪定とコンポストやりに3日間農園へ行くとのことで、
社長宅から車で30分強のオリーブ農園にやって来た。


作業もそんなに多くないし、力仕事だから好きに過ごしててと言われたので、
オリーブ農園の中をゆっくり散歩した。

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これだ、この風景だ。私がもう一度見たかったのは。

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朝日に照らされたオリーブの木々は美しかった。
やっぱり空気は澄んでいて、3年前と同じように
農園は馬や羊の鈴の音、鳥たちの音で賑やかだった。


800軒の農家から成る農業組合では、
収穫の時期になると
各農家が収穫したオリーブを組合の工場へ運び込み、それを集めて加工し
オリーブオイルを作っている。

オフィスで指揮を取るだけの社長。ではなく、彼自身も農家の一人なので、自分の農園があり、オフィス、工場、農園を駆け回る日々だ。
組合の800軒の農家の内、約7割が有機農法。
社長の農園では有機農法からさらにもう1歩踏み込んだ、
バイオダイナミック農法でオリーブを育てている。


バイオダイナミック農法。
はて何やそれは。


「ものすごく簡単に言うと、
有機農法に月や太陽をはじめ、惑星の動き/エネルギーをプラスした農法と言ったら良いかな。
惑星の動きが土や水、空気、光に与える影響やリズムを活かして育てる。
土や水、空気、光のエネルギーを感じながら育てているのさ。

Hahaha、クレイジーだろ?」

そう言って社長はお気に入りの場所、ラボラトリー(実験室?研究室?蒸留室?)を見せてくれた。
色んな草花の抽出液を作る機材が置いてある。
この抽出液をオリーブの木の病気対策や健康維持のために使うのだそうだ。

👀


3日間農園で過ごし、町に帰って来た。

社長は事前に友人に連絡を取ってくれていて、
タラゴナ県のぶどう農家さんで1週間畑の手伝いをさせてもらえることになった。
そちらもバイオダイナミック農法だそうだ。



タラゴナまでの道中に社長の師匠が住んでいる町があるので、
用事もあるし車で送るよと言ってくれた。感謝。
南スペインのコルドバから北にあるタラゴナまでは10時間の長旅だった。

早速師匠の家にやって来た。仙人のような雰囲気だ。
社長にとってバイオダイナミック農法の師匠だそうで、
久しぶりの再会に二人の会話は盛り上がっていた。

やはり仙人、いや師匠の家にもラボラトリーがあって、色んな草花の蒸留物がずらりと並んでいた。

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この時の私のスペイン語ときたら本当にへっぽこで、
残念ながら師匠とはあまり会話できなかったけれど、
帰り際に師匠は私の手を握り、目を閉じて、もう片方の手で方位磁針のようなものを回し出した。

30秒くらいかけて私の中の何かを感じ取った後、

「君にはLOVEが足りてないようだ。」

と言われた。

(°▽°)

1日3滴飲みなさいとジャスミンの花の抽出液と水仙の花?を手渡してくれた。

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これでLOVEが来るのなら、日本からでも通いたいぜ師匠。

や、馬鹿にしてはいけない。
この後本当にLOVEはやって来たのだ。




また2時間ほど走り、ようやくタラゴナの郊外にあるぶどう農家さんの所へやって来た。
彼もまたバイオダイナミック農法で育てていて、やはり彼もラボラトリー(実験室?蒸留室?)を構えていた。
瓶詰めされた色んな種類の草花の抽出液がずらりと並んでいて魔女のキッチンのようだった。

ぶどう農家の友人は、社長に「お土産にこれ持って帰るか?」と言って、
畑の端の土を掘り返し、そこに埋まっていた樽の中の土を大きな袋に詰め、社長に手渡した。
よく見ると土の中には牛のツノらしきものが埋まっていた。牛のツノ。

社長は
「おおこれは最高だ、素晴らしい!
マリアトゥン、マリアトゥン!」と言って
喜んでその土を車に乗せ、南スペインへと帰っていった。

マリアトゥンて何や。
何で土の中に牛のツノが埋まってるんや。


バイオダイナミック農法。
何だか不思議な世界にやって来てしまった気がする。

圧倒されている私に
まぁ座りぃや、と持って来てくれたその農家さんのぶどうジュースは
格別に美味しかった。

ので、
一旦落ち着いて明日からの日々を楽しむことにした。

つづく


*マリアトゥン=バイオダイナミック農法の実践者として大きく貢献したMaria Thun氏という方が考案したレシピに基づいて作られる堆肥の名前。

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2020年 in スペイン

大テーマ:【自分の心の声に”ちゃんと”耳を澄まし、それに従って日々生きてみる】

サブテーマ:スペイン各地方(17ある自治州, Comunidad autónoma)の有機農家を巡りながら土地土地の食文化とスペイン語を学ぶこと。今後の生き方のアイデアを集めること。

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