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「鷗外とその家族」について

「鷗外とその家族」について
細かくは記憶していないが、2008~2010年頃に、偶然開いた森茉莉(鷗外の長女)の著書の中で、父・鷗外を面白おかしく描いているの目にし、興味を持ったのが始まりだった。その後断続的に茉莉の著書を愛読し、鷗外とその家族のについて読むのを楽しみにしていたが、2018年頃に何となく古本屋で手にとった晩年のエッセイ集「ベスト・オブ・ドッキリチャンネル」が破壊的に面白く、茉莉の家族に関する記述を求めて、より抜き版ではなく全編が収録されている「森茉莉全集」を読み漁った。その頃には、他の親族による鷗外や家族に関する著作にも手をのばしはじめていた。鷗外が家族から「パッパ」と呼ばれ親しまれていたこと。子供達を溺愛していたこと。時に起こす変テコな癇癪。ストレートすぎる妻のものいいなど。よその、それももう存在しない一家のことながら、面白くも複雑な鷗外とその家族のとりこになった。

今年(2022年)に入って、東京・千駄木の鷗外一家の旧居あとに建つ「鷗外記念館」を訪れた。「写真の中の鴎外 人生を刻む顔」を鑑賞し、今まで文字から思い描いていた鷗外や一家の様子が、展示の空間に浮かび上がって、心が浮き立った。折しも2022年は鷗外生誕百六十周年、没後百年の記念年だった。

以前から、お嬢様に生まれ、賃貸アパートの独居老人で一生を終えた、茉莉の面白く不思議な人生と、生まれ育った生家の様子を物語にできないかと思い描いていたが、記念館を訪れたのを機に、少しず自分なりの家族像を描き始めることにした。


不思議なもので、これを書き始めてから自然と鷗外に関する情報が集まってくるようになった。記事の類を偶然目にするほかに、何気なく開いた文学とは関係ない本に、鷗外に関する記述がある、鷗外と一緒の船でドイツに行った人の祖先を知っている、という人に出会うなど。この冒険の最終的な行き先はまだ分からないが、これは航海のWork in Progress (現在進行形)の記録である。




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