【保存推奨】モンゴル料理 ~これを見れば現地で迷うことなし~
今回はモンゴル料理や飲み物についてご紹介していきます。モンゴルを訪れる前のイメージトレーニングに用いていただいたり、現地のレストランで指差し注文ができたりするように写真やモンゴル語ふんだんに織り交ぜました。
ネットを調べるとモンゴル料理を取り上げた記事はいろいろあります。ぜひそちらも参考にしていただき、ここでは僕の独断と偏見で率直なコメントをしていきます。
保存やハートマークを押して、いつでも見返せるようにしておくことをオススメします。
全てを網羅するとキリがないので、Wikipedia「モンゴル料理」に記載されているものを元に一部追加・割愛しました。
基本情報
本題に入る前にモンゴル基礎知識を…
背景
この国はロシアと中国に囲まれた内陸地のため、海がありません。川や湖はありますが、そこの魚を食べる習慣はほとんどないです。食べる人はいるし、燻製されたものが売られているのを見かけることもあります。
古くから継承されている遊牧文化は今もなお健在。Улаан идээ(Ulaan idee)は「赤い食品」という意味で「肉」、Цагаан идээ(Tsagaan idee)は「白い食品」と呼ばれ「乳製品」のことを指します。一昔前まで肉は冬の寒い時期にのみ食べ、夏の暑い時期は家畜を太らせるために人々は乳製品しかとらなかったようです。遊牧民に限らず、モンゴル人の生活には家畜の存在が欠かせません。
10月から4月くらいまでは常に最高気温が氷点下を下回る気候であり、野菜の栽培も盛んではありません。自国で生産している中で安定的に供給されているのは、じゃがいも・にんじん・たまねぎくらいでしょうか。他は輸入に頼り切っていたため、鎖国をしていたコロナ禍の時はスーパーで野菜を一切見なくなるようなこともありました。ここ最近は工場ができたのか、冬場でも葉物系やきのこ類も手に入るようになり、新鮮なサラダもレストランではよく食べられるようになりました。魚介類は高価な上に品質があまりよくないのでおすすめしません。
したがって、モンゴルを代表するような料理をはどれも小麦と肉で構成されているものが多く、野菜は根菜類がメインになっています。
肉がすべて
もちろん、日常的に米やその他の食材も食べられてはいますが、やはり肉(特に羊)を中心とした食生活が一般的。「肉を食べなければ食事をしたとは言えない」という冗談が交わされるほどモンゴル人にとって肉は欠かせない存在となっております。
ちなみにモンゴルでは牛舎を備えているような牧場はなく、ほぼ全て遊牧民によって大自然の中で元気に育てられた家畜が食卓へ運ばれます。和牛のような霜降り肉は基本的にありません。壮大な大地を駆け回り、厳しい寒さにも耐え、天然の草を食べて育った彼らの肉は赤みぎっしりでワイルドな弾力と味・匂いが特徴的。家畜たちは手当たり次第食べているのではなく、ちゃんと美味しい草だけを選び薬草も食べるため、身体に良い肉質になるのだそう。
そんな羊肉の独特な匂いが僕は苦手です。現地の人々から「それがいいんじゃないか」と言われ、彼らからすると日本の肉は逆に味が薄いそうです。おそらく外国人が納豆を嫌うような感じと似ているものでしょうか。
モンゴルに住んで7年以上が経ってさすがにある程度は慣れて食べられなくはないですが、お店で好きなものを選んでいいよと言われたら迷わずモンゴル料理(羊)以外を選びます。笑
調理方法は主に蒸したり、煮たりするものが多いです。焼いたら脂や旨味が抜け落ちてしまうため、命をいただいている以上は余すことなく全ていただくという意味があるのだとか…
ということでお待たせしました、本編に入りましょう!
食べ物:メイン料理編
チャンサン・マハ (чанасан мах)
「チャンサン=茹でた」「マハ=肉」という意味で、骨付きの塊肉をシンプルに塩茹でしたものを各々ナイフで切り分けて食べるもの。個人的には味付けがかなり薄いので、塩や別の調味料をつけ足したくなります。冷めた肉はスーテーツァイ(後述)に入れて食べたりもします。
日常的に食べられていて、お祝い事や旧正月のときは各家庭のテーブルの中心には丸々一頭の羊が鎮座します。
ホルホグ(хорхог)
ミルク缶や鍋に肉や野菜に加えて、熱した石を入れて蒸し焼きにする料理。これも味付けは塩のみ。茹で肉とは異なり、石によってついた焦げ目部分がいいアクセント。
食べる前には必ず石を持ちます。手を温める目的や病気や怪我しているところに当てると早く治る効果があるのだとか。モンゴル人は普通に持ちますが、想像以上に熱いのでお気をつけください。
水をあまり加えないため、食材から出てきた水分のみの濃厚スープが底に溜まります。食材の旨味が濃縮されていて美味しいのですが、同時に塩分も濃縮されているため、飲み過ぎには要注意。
ボードグ(боодог)
羊やヤギなどを丸焼きにしたもの。頭と四肢を切り落として、腹の中に切り分けた肉や野菜を詰め、皮を残した状態で豪快に焚き火の中へ。この説明から想像がつくと思いますが、野外で調理するものであるため、レストランで見かけることはほぼないでしょう。
ボードグの代表的な食材として、タルバガン(マーモットの一種)があります。
”夏のご馳走”として、好むモンゴル人は少なくありません。「こんなに美味いものはない」と言う人が多いですが、僕にとっては脂ギトギトで羊以上にクセが強い。そして何より、タルバガンは腺ペストを持ってることもあり、政府から密猟・摂取することを法律で禁止されています。そのリスクを知った上で、食べるかどうかはみなさんの判断に任せます。モンゴル人が大丈夫だと言って無理矢理に強要してきた場合であっても、嫌な時は勇気を持って断ることも大事です。
ショルログ(шорлог)
イメージはアメリカンスタイルのバーベキューや焼き鳥の大きいバージョン。ヨーグルトに漬け込んで肉を柔らかくしたり、様々なスパイスをかけて焼いたりします。肉の臭みが抑えられるため、羊嫌いの僕でもこれは比較的美味しくいただけます。
焼いている時に脂が滴り落ちると火が上がり、焦げることを防ぐために逐一塩水を振りかけることもあります。
ツォトゥガサン・ゲデス(цутгасан гэдэс)
韓国にあるスンデ(豚の血のソーセージ)と同じ感じ。僕は内臓も血も苦手なので、これの旨さは理解できません。遊牧民のお宅を訪問した際にホルホグと一緒に出され、郷にいれば郷に従えの教訓に沿ってやむを得ず一口いただきました。処理が甘かったのかオブラートに包んでいうと牧場の香り(隠さず言えば、動物の糞と牧草が混じった香り)がダイレクトアタック。トラウマになりました。
ちなみに、ゴールデンカムイの漫画第23話「猟師の魂」にも登場していましたね。
ボーズ(бууз)
噛んだら肉汁がブワッと溢れてきます。家庭によって形状は様々。そのままでも塩味が効いていますが、ツォー(цуу)と呼ばれる薄口醤油をつけると美味しさ倍増。個人的にはポン酢と柚子胡椒が最強の組み合わせ。
「そんなに毎日食べて飽きないの?」と聞きたくなるくらいみんないつも食べています。
旧正月に自宅はもちろんのこと知人宅を回って、お腹がはち切れるほどボーズを食べる習慣があります。また、その前日にあたる大晦日は家族総出でボーズを大量に作ります。現地人の家に招待され、酒を飲みながらみんなでワイワイボーズ作りしたのはとても楽しくいい思い出。
バンシ(банш)
ただ単にボーズの小さいバーションで、ロシアのペリメニと同じ感じ。ボーズのように蒸して食べるよりはスープ料理に入れることが一般的。
ホーショール(хуушуур)
かっこよく言えばミートパイ。使用されている材料はボーズとほぼ同じ。小麦粉を練った生地にひき肉とたまねぎのタネを入れて揚げたもの。ボーズと同じようにモンゴル人は毎日のように食べている印象。
基本的に羊肉が使われますが、スーパーの惣菜コーナーでは牛肉やじゃがいものホーショールも見かけます。
7月に開催されるモンゴル最大イベントである『ナーダム』の時によく食べられるナーダミンホーショール。具材は普通のと変わらないですが、薄いためか羊のクセが少し抑えられている気がするのでこっちの方が好みです。
ツイヴァン(цуйван)
日本人の馴染みあるもので当てはめるとしたら焼きうどんですが、実際の調理工程を見ると油蒸しやきそばみたいな感じ。
好きなモンゴル料理を聞かれた際に”ツイヴァン”と答えると、「おぉー、モンゴル人だねー」みたいなリアクションが得られます。
CHAKA LANDという日本の歌手グループが出した「モンゴルツイヴァン美味しいですか?(Mongol tsuiwan her we)」という曲がモンゴルで大ヒット。この歌を知らないモンゴル人はいないでしょう。
ボダータイ・ホーラガ(будаатай хуурга)
日本でよく食べられるチャーハンとの違いはじゃがいもの有無くらいで、特筆することはありません。味付けはやっぱり塩のみなので、味変でケチャップをかけることもしばしば。
ゴリヤシ(Гуляш)
起源はハンガリーのグヤーシュと言われています。本家と異なるのはパプリカが使われていないことかな。肉がホロホロに煮込まれていて、ビーフシチューのような感じ。何味とは表現できませんが美味しいです。
テフテリ(тефтель)
米が入っているのが特徴的。ツナギの代わりでしょうか?最初の頃は残飯をリメイクしたものだと思っていました笑
味は普通の羊のハンバーグみたいな感じ。大衆食堂でこれを注文した際、糸クズや針金みたいなものが混入していたことがあったので要注意。
茹でた羊の頭(хонины чанасан толгой)
見た目はグロいですが、モンゴル人からしたら「日本人だって魚の頭を丸ごと焼いて食べるでしょ」とのこと。納得。
頭肉や頬肉は柔らかく、皮やタンも食べます。味はまんまガッツリ羊、あとはお察しください。
食べ物:スープ料理編
ゴリルタイ シュル(гурилтай шөл)
直訳すると「小麦入りスープ」ですが、モンゴル料理に肉が入っていないものなんてありません。野菜が入っていないのはあります。
味はそのまま塩と肉と麺って感じ。ほんだしをかけると食べ馴染みのある日本のうどんに早変わり。だしの凄さを身に染みて感じることができます。長期滞在する場合はほんだしを持ってきた方がいいです。ウランバートルのアジアマーケットでも手に入ります。
ノゴートイ シュル(ногоотой шөл)
直訳すると「野菜入りスープ」ですが安心してください、(肉は)入っていますよ(とにかく明るい○村)。しつこいようですが味付けは塩だけ。ほんだしはなくとも、せめて胡椒はかけた方がより美味しくいただけると思っています。
バンタン(бантан)
細かい野菜や挽肉と一緒に小麦粉を散らしてとろっとしたスープ。朝食の定番メニューの一つで、お酒を大量に飲んだ翌日にいいとされている一品。初めて食べた時はちょうど二日酔いの時で、スープのとろみとつぶつぶ感が吐瀉物のようで身体が拒否反応を示したことを今でも覚えています。
ホイツァー(хуйцаа)
厳密には中国・内モンゴルの料理かもしれません。肉団子や太い春雨が入っていて、中華料理で使われているようなスパイスの効いたスープが特徴的。疲労回復にいいとされているものでとても美味しく、個人的にモンゴルでNo.1のスープです。バヤンゴルレストランのホイツァーが現地人の一番人気。ぜひお試しあれ。
↓バヤンゴルレストランの場所はこちら
食べ物:軽食・お菓子編
ニースレルサラト(нийслэл салат)
直訳すると「首都のサラダ」。日本のポテサラはジャガイモを潰すことがほとんどですが、ここのは角切りなのが特徴的。他の具材であるハムやにんじん、ピクルスなども全て角切り。ボーズのお供によく出されます。
ローワンギーンサラト(луувангийн салат)
シンプルににんじんのみで、ごまドレッシングと和えられることが多い。火を通さないためか少し辛さを感じることも。ホーショールやゴリヤシとともに提供されることが多い。
マントゥー(мантуу)
中央アジア・トルコ・コーカサス地方などでは「マンティ」、東アジアでは「饅頭(マンドゥ)」、ネパールでは「モモ」などと呼ばれているものです。スープと一緒に食べることが多く、イメージ的には中華まんの皮。なお、マントゥーンボーズ(мантуун бууз)という日本の肉まんとほぼ同じものもあります。
ボールツォグ(боорцог)
サーターアンダギーやオールドファッションのようなもの。形状は様々で素朴だが少しクセを感じる。その理由は身体にいいとされるシャルトス(黄色い油)が練り込まれていて、個人的にはそれさえなければもっと美味しいのにと思ってしまいます。
ウルム(өрөм)
家畜の乳を一度沸かし、冷ました後に現れる上澄部分(乳脂肪分)。バターとクリームの中間のような食感で乳の濃厚さを感じつつ、そこまで重くなくさっぱりとした味。太りやすいので食べ過ぎには注意。僕は乳臭さが苦手なのであまり食べません。
アーロール(аруул)
アールツ(後述)を乾燥させたもの。非常に酸味が強くとても硬いのが一般的で歯や身体にいいものだとされています。砂糖を入れたり、柔らかめに作ったりしたものもあります。モンゴルの方々は小さい子供から高齢者まで愛するお菓子ですが、日本人で美味しいと言った人を見たことがありません、堺雅人さんを除いて。
飲み物
スーテーツァイ(сүүтэй цай)
日本における緑茶や麦茶のようにモンゴル人が年中無休で飲んでいて、真夏でも熱々のものを飲んでいます。ミルクとお湯で茶葉を淹れ、塩や先述したシャルトスを入れるのが一般的。僕としてはお茶というよりスープに近い感覚で、塩とシャルトスを入れない方が好みです。モンゴルで「お茶を飲みますか?」と聞かれたらこれが出てくると思っていた方いいでしょう。
アイラグ(айраг)
馬の乳を発酵させた飲み物で、カルピスの先祖とされています。酸味が少し強いヨーグルトのような味で微炭酸・微アルコールを含むので、お酒が全く飲めない人はお気をつけください。モンゴル人は小さい子供でも平気で飲みます。慣れていない人や飲みすぎるとお腹をくだすことがありますが、モンゴル人曰く腸内をきれいにしてくていれるとのこと。
アールツ(аарц)
牛乳やヨーグルトとはまた異なった独特なクセを持つ飲み物。小麦粉を加えるので少しざらざらして甘酒のような食感があります。身体を温めるものとしてモンゴル人は好みますが、やはり日本人で好きだと言っている人に出会ったことはありません。これを固めたものが先述したアーロールになります。
チャツァルガン(чацаргана)
海外では「シーバックトン」「サジー」と呼ばています。ビタミンが豊富に含まれているため、スーパーフルーツの一つとされています。風邪の予防に効果的なんだとか。他の果物では例えられない独特な香りを放ちますが、飲んでみると意外と気にならなく甘酸っぱくて美味しいです。
↓詳しくは過去の記事をご参照ください。
アルコール飲料
お酒類に関しては過去の記事で詳しくまとめているので、それぞれのリンクをタップして読んでみてください。
モンゴルレストラン3選
【ローカル/格安】
Хаан бууз(ハーンボーズ)
【観光客定番/高級】
Mongolian’s Restaurant
Modern Nomads
最後に
さて、いかがでしたか?見ていただいたようにモンゴル料理は肉と小麦がメインなのであるため、基本的に茶色いものばかり。肉(特にジビエ)が好きな人にとってはハマることでしょう。
ここに紹介されていなく、気になるものがあれば追加するのでコメントで教えてください。また、モンゴル料理レストランは日本にも意外とたくさんあるので興味のある方はぜひ探してみてください。
こちらの記事が「面白い」「タメになった」と感じた場合はハートマークを押していただけると大変励みになります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。ぜひ他の記事も読んでみてください。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?