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友情を育むために要する時間と条件とは

コロナ以前の美容院では、色々な雑誌に目を通すのが楽しみのひとつだったが(コロナ以後は、衛生上、わたしの通う美容院では雑誌は置かれなくなり、2023年の夏時点でも続行中)、そこで読んだ女性誌に出ていた「友情を育むために必要な時間」に関する記事に軽い衝撃を受けた。

ここのところ、友人と知人に関する記事をいくつか執筆しているが、その延長上の話題のひとつとして紹介したいと思う。

その記事は、2018年に発表されたアメリカ・カンサス大学のコミュニケーション学のJeffrey Hallジェフリー・ホール准教授の研究発表によるものであった。

「知り合い」から「カジュアルな(表面的な)友人」になるには共にする時間が約50時間、「友人」になるには90時間、「親友」と考えられるようになるには200時間以上、要する。

the Journal of Social and Personal Relationshipsより
拙日本語訳

学校や職場などで一緒に勉強したり働いたりした時間は、この必要時間にはカウントされず、クラスメイトや同僚は友人候補ではあるものの、そこから一歩出て、一緒に出かけたり、ジョギングしたり、ゲームをしたり…等、物理的に一緒に過ごす時間でカウントされるとのこと。

この研究に関して引用されている記事を、英語・日本語・イタリア語で検索してみたので、下記にリンクすることとする。


わたしが最初にその研究について知った後に気になったのは、その必要時間は、たとえば、オンライン上で知り合った人や、実際に会って知り合った人でも、特にメールやメッセージなどで色々と話して交流した場合には、その時間はカウントされるのかどうか?ということだった。
コロナの時には、物理的に人と会ったり出かけたりして一緒に過ごすことは難しかったが、その問題が解消されつつあるとしても、距離的問題や時間的制約などで実際に同じ空間で一緒に過ごすことが難しいという点は残る。

イタリア語の記事では、MIT/マサチューセッツ工科大学の研究についても述べられているが、個人は平均的に250ー5500人の人(実際に知っている人で、Web上のヴァーチャルなコンタクトだけではない人)を知っていて、その中で「友人」になりうるのは男女121人ほど(120人ではなくて、121人という数値が面白い)で、さらに「親友」となりうるのは最高で10ー20人ほどだそうだ。

両者の研究データや記述からすると、前述のわたしの疑問であるオンライン上の繋がりや費やした時間についてはカウントされないようだ。

しかし、場合によっては、現在の状況下では、物理的に共に一緒に過ごしたことがある友人以上に、メールやメッセージとして記され伝えられた、その人の嗜好・思考・志向、悩み、状況等を知る人も存在しうるわけだが、そのようにして育んだ関係性は、やはり、物理的に一緒に過ごしたことがある関係性には、到底及ばないということなのだろうか?
人の関係について述べるのに適しているかどうかは微妙な気がするが、やはり「百聞は一見にしかず」なのか?


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