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「そこに、山(モン)があるから」 #3000字に込めた偏愛

「甘いもの、大丈夫ですか?」

大人になってから、よく聞かれるようになった質問です。男性は甘いものが苦手な人が多い・・と巷では言われているようですが、僕は、それは迷信のようなものだと思っています。

僕は、甘いもの、好きなんです。

いえ、大好きなんです。


フォローしている方の記事で見かけた、椎名トキさんの初企画に参加する投稿です。#3000字に込めた偏愛

偏愛について書くということだから、甘いものの中でも、特に僕が好きなアレについて書こうと思います。・・僕の投稿をいくつも読んでいただいている方には、くどくなってすみません。20本以上の投稿をして、マガジンを作って、プロフィールにまで書いている”甘いもの”。

それはケーキの、モンブランです。

栗が好きな日本人には、とても馴染みのある味わいかも知れませんし、なんとなく僕の感覚では、モンブランが好きな人は男性が多いように思います。

モンブランの独特の形状、麺のように絞り出したマロンクリームは他のケーキにはない特徴です。一説によると、あれはショートカットの女性の髪の毛をイメージしているとか。クリームを絞り出す、口金と呼ばれるお菓子作りの道具にも「モンブラン口径」と呼ばれる専用のものがあるとか。

モンブランの発祥のお店のモンブランを全て食べてみたり、日本におけるモンブランの始まりを作ったお店に行ってみたり、均してみると週に1回程度モンブランを食べ続けていることになります。

少しずつ、これまでの投稿も引用しながら、なぜモンブランが好きなのか、そしてモンブランを食べてこなかった方への提案も含めて、考えていきたいと思います。


突然ですが、縄文時代の主食って何を食べていたかご存知でしょうか?

稲作が広まったのは、弥生時代。縄文時代は、木の実が多く消費されていました。その主役は、栗です。

ちなみに、ドングリも漢字で書くと「団栗」。今のように、実(実際は種子)が大きくて甘いわけではなさそうですが、木の実としての栗こそが人類の命を作り、繋いできた、遺伝子レベルで”人間が好きな食べ物”だと思うのです。

そんな人類の始まりをも支えていた”栗”が、現代では、甘くて美味しい”癒し”の存在になっているのです。

実際、日本では各地で栗の栽培が盛んで、季節になると、熊本や長野、岐阜、茨城、秋田など、さまざまな産地の名を冠した”和栗”を見かけることがあります。

モンブランについて溢れる思いを書いてみたら、7,000字になってしまった投稿があります。時間の許す方は、読んでいただけると嬉しいです。読み終わると、きっとモンブランを食べずにはいられなくなります。


1.偏って愛している理由

偏愛している理由は明確です。それは、モンブランが日本で独自の進化をし続けているケーキだから。

栗の味わいが好み、という前提は置いておくとしても、モンブランはお店によってかなり形状が異なります。なんなら、毎年のように形状を変更させるお店だってあるのです。

しかも、最近では”和栗”を売りにしているモンブランも増えてきました。季節限定で、普段のモンブランとは別にプレミアムモンブランとして販売しているお店も多くあります。

そんな変化を進化と捉え、お客さんを楽しませようとするお店の心意気にも感動しますし、何よりそういう土壌になっているモンブランというケーキの懐の深さに、改めて敬意を感じずにいられません。

日本でモンブランを初めて作ったのは、東京・自由が丘にある、その名も「モンブラン」というケーキ屋さんでした。

修行で訪れていたフランスで、モンブランを食べて衝撃を受けたパティシエが、日本に帰国し、日本の風土に合わせたモンブランを開発したのでした。

商品の名前は商売上とても大切なので、商標登録などをして守られるのが一般的ですが、その店はそれをしませんでした。

むしろ、モンブランというケーキを世の中に広めること、お店や作り手によってその形状を変化させることを期待していたのかも知れません。

だから、日本全国のケーキ屋さんが、同じ名前で売っているけれど、その形も様々にあるし、味も違ってきます。色も形も違う、果たしてそれが同じ名前のケーキなのか・・というと、モンブランはかなり裾野が広い印象を受けます。

海外のケーキなのに、日本的な思惑が見え隠れしているのって、ちょっと面白いですよね。

下に引用した投稿では、発祥のお店のモンブランを食べているのですが、この店には日本的な素材や味を求めたモンブランもあります。発祥の店が、色々なバリエーションを試しているのだから、食べる側はありがたく変化すればいいのです。


2.モンブランの愛し方

味は優しくて、甘くて、柔らかくて、何かほっとする味わい。マロンクリーム、ホイップクリーム、そして台になっている素材、それらのバランスを楽しむのはモンブランの醍醐味でしょう。

しかし、モンブランをさらに深く楽しんでいただきたいので、いまいちど僕の話を聞いてください。

それは、”台”に注目してみることです。

台とは、ケーキの基礎に当たる部分のことです。スポンジやタルト生地などがあり、モンブラン始祖のお店の台はメレンゲでした。

毎年、いくつもモンブランを食べている僕は、ある時、お店にとってモンブランが一つの試金石になっているのではないかという疑問が湧きました。

モンブランは、伝統的に人気が安定しているケーキでもあることから、お店としての自負のようなものを背負っているのではないか、そんなふうに考えたのでした。

中でも、台は、大袈裟ではなく、一つとして同じ店は無いと思います(チェーン店除く)。特に、台をアーモンドや小麦粉を使った焼き菓子にしている店は、焼き菓子も美味しい傾向があります。

例えば、タルトが売りのお店のモンブランは、台がタルトである、みたいな。

今まで食べたモンブランでは、台がスイートポテトや大福というのもありました。個人的には、台が軽んじられているお店のモンブランは、文字通り”台無し”な気持ちになります。


3.たかが、されど

美味しくて、変化があるから好きなんだね。なるほど、分かりました。もう、大丈夫、モンブラン食べたくなってきた気がするから、ね、だから・・

うっかり引用先の記事も読んでしまった、あなたの心境より

きっと、あなたはそんな心境でしょう。わかります。急に前のめりにモンブランのことを言われても、は・・はぁ・・という感じでしょう。しかし、まだ2,600字くらいだから、話を続けさせてください。

一昨年、モンブランが発売されて話題になったカフェがあります。それまで、日本で誕生したカフェでは、モンブランは定番のケーキでした。しかし、シアトル系と呼ばれるようなカフェでは、長らくモンブランがショーケースには並ばなかったのです。

そのお店とは、スターバックスコーヒーでした。満を持してモンブランを発売したのです。僕は、さぞ研究されたのだろうと期待していました。発売から数日後のある日、お店で食べてみました。今でも思い出せますが、モンブランの味がほとんどしない・・という印象でした。

そして、翌年、再度販売を開始すると、まるで別のケーキのように形が変わり、栗を感じる工夫が随所になされ、お店のモンブランに対するスタンスが、とても敬意のあるものになっていると感じました。

磐石なファン層を持つカフェでさえも、モンブランを軽んじていることを戒めなければいけないという事実は、モンブランが日本に浸透し、伝統の中に進化があり、流行り廃りでは語れない、ある種の力を物語るのでした。


どうか、モンブランを愛する人が、胸を張って生きられますように。



念のため、マガジンも置いておきます。


#3000字に込めた偏愛 #モンブラン #好きなもの #とは #自己紹介





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