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始祖としてのプライドと伝統

アンジェリーナというケーキ屋さんがあります。ケーキ屋さんというより、モンブラン屋さんです。というのも、モンブラン専門店として、ショーケースにはモンブランだけが並んでいるのです。

このアンジェリーナ、フランス・パリのお店ですが、モンブランというケーキの発祥とされています。イタリアの田舎菓子をアレンジして、モンブラン・オ・マロンとして発売したのが、モンブランの起こりとされています。モンブランは、フランス語で白い山。ケーキの上に振りかけられた粉糖が、山に積もった雪を表現しているのです。

ということで、何度か(何度も)書いていますが、僕はモン(モンブランのこと)が好きです。アンジェリーナというお店を知ってから、日本で独自に発達したモンの広がりを感じ、モンってやっぱり奥が深いと思うわけです。

そんなアンジェリーナが、職場の近くに期間限定で出店していました。はじめての出会いは、去年のこと。店名を見て、びっくりしました。モンの始祖である”あの名店”が、来てくれる店になっているなんて思っていなかったからです。

そして今年は、僕の誕生日に合わせるかのように、また戻ってきたのです。これはもう偶然ではなく必然です。去年は、モンブラン・オリジナルを食べて満足していましたが、今年は誕生日に合わせて来てくれたのです。

これは報いなければ!!

というわけで、モンが好きだからこそやりたい、モンブラン専門店のモン、全種類食べてみようチャレンジを思いつきました。チャレンジって言うか、単なる道楽というか(笑)

まずは、誕生日当日には、モンブラン・デミ。


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モンの発祥というからには、伝統による造形美のようなものがあって、そして特徴的な味や食感があることが、僕が勝手に気にしているところです。その意味では、デミは、オリジナルよりも小ぶりですが、鮮やかな甘さや、ねっとりしたマロンクリームが踏襲されていて、感動しました。

箱を持つと、ズシリと重みを感じるケーキなのですが、食べてみると重いのはマロンクリームだけで、その中のホイップや台になっているメレンゲは、信じられないほど軽い食感でした。

妻によると、お菓子作りの道具として「モンブラン口径」と呼ばれる口金(クリームを絞る時の出口につける金具)があるらしく、モンブランの歴史と人気を物語っています。そして、その発端となったのがこのマロンクリームなのでしょう。

このまま書いていると、次のモンに移れないので、このくらいで・・。

次の日に食べたのは、ほうじ茶モンブラン。


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ほうじ茶に合わせて白餡を混ぜたマロンクリームという情報を得ていたのですが、ひとくち目を食べて「えっ!」と思いました。ほうじ茶の存在感がとても儚いのです。もっと渋みがドーンとあるのかと思いましたが、全く嫌味のないほのかなほうじ茶香・・。白餡のおかげか、ねっとり感が減っており口溶けも普通のモンブランとはちょっと違う感じがしました。

中でも、軽いと言っていたホイップにも工夫があるような気がしました。白餡によってマロンのコクが減ってしまっているのか、ホイップの塩気が強いように感じました。淡いほうじ茶の存在感に比べて、塩味が効いていて、全体として和風のモンブランという感じがしました。

どこかのモンと似ている印象・・、考えた末に思い出したのは、スタバでした。スタバのモンは、かなり白餡が強く、コクを出すために焼き色をつけていたはずです。それが、ほうじ茶のような味わいになっていたのを思い出しました。

次に食べたのは、モンブラン・ショコラ。


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ほうじ茶の時とは異なり、しっかりとココアパウダーがかかっていました。しかもおそらく純粋なココア・・つまり砂糖が入っていないココアパウダーのように感じました。しっかり苦いのです。ただ、ベースになっているマロンクリームはとても甘いため、口の中で合わせると、信じられないくらいバランスが良かったのです。油断すると、むせちゃうくらいに粉がかかっているのですが、マロンクリームの厚みからしたら、そのくらいかけないと味のバランスが取れないと思いました。

またこのモンも中のホイップが工夫されている印象でした。ほうじ茶や普通のモンのホイップよりも、白く見えて(錯覚かも)、ミルク感が強調されているように感じました。あっという間に食べてしまったモンでした。苦味と甘味のバランスが良くて、ココア系モンが亜流だと思っていた自分が恥ずかしい・・なんて思ったりしました。

次に食べたのは、ずっとケースにないと思っていた、モンブラン・オリジナル。ランチ1食分のような値段でしたが、発見した当時はケースに1つだけだったので、迷わず購入しました。

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やはり、サイズ感が違うため、満腹感が違いました。大きくてこんもりと乗せられたマロンクリームを支えるホイップとメレンゲ台の軽さは、やはり健在でした。濃い目のコーヒーとよく合う甘さと、ゆっくり食べれば1時間は余裕で過ごせるような大きさを、数分で食べるという勿体ない時間の使い方をしつつ、流石だなぁと感じ入っていました。

最後は、塩キャラメル・モンブラン。


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見た目は、普通のモンと似ているのですが、味が予想以上に濃厚でした。キャラメルの香りがとても豊かで、もともとのマロンクリームのねっとり感とキャラメルの相性はいいよね、なんて思いながら食べていました。ただ、僕の個人的な感覚としては塩味が薄い感じがしました。とはいえ、バランスの取れたモンでした。


数日間お店に通って、ひとつずつモンを買い、食べて行きました。きちんと個性があって、毎回違う味で美味しいなぁと感動していましたが、どのモンたちもバランスが良くて、食べて良かったと思いました。単なる味変ではなくて、きちんと味のバランスを検討している感じが、とても真面目な印象でした。

今回、ふと思いついてやってみた食べ比べでしたが、モンブランの始祖として胡座をかくことなく、ほかのモンも完成度が高かったのが感動的でした。

安くはないケーキですが、誕生日にかこつけて、連日のモン。幸せでした。


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