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反対したのは、一番の理解者だった

男性が育児のために仕事を休む、それを実行しにくい環境が少なからずあるものです。

男性の育休取得が、話題になって久しいこのごろ。フォロワーの方にも、何人かそんな男性を目にしますし、育休の話題から繋がった方もいらっしゃいます。いつもありがとうございます。

当事者にとっては、とても嬉しい変化・・でしょうか。思えば、僕にとって、初めての子育ては、驚きと発見の連続でした。そして何より、疲労困憊の日々を過ごしていたような、いないような。

子育ては幸せなことで、赤ちゃんは可愛くてしょうがない・・と言うのは、実は外側の意見。実際に渦中にいる家族、特にママにとってはそれは呪いのように降りかかってくるのではないでしょうか。

僕には二人の子どもがいて、幸いなことに、どちらの子の時にも育児休業を取得することが叶いました。それは、職場の理解とともに、家族の協力など、自分だけではできないことでした。

初めての育休は、6年前のことでした。

初夏に生まれた子もすくすくと育っていたものの、やはり妻主体の子育てになってしまっていました。僕は、出産時に立ち会いをした時、その圧倒的な命の存在感に感動し、どうにもこうにも育休取得をしたいと思っていたのでした。ただ、時期については決められず、どうしようかと悩んだ日々もありました。

生まれてからがとても大変だから、0ヶ月から数ヶ月がいいのではという意見が多かったのですが、結局は仕事の都合から、生後6ヶ月から7ヶ月になる2ヶ月間を休業期間に充てることにしたのです。

当初、育休取得について妻に相談したら「そうなの?まぁいいんじゃない。」となんとも淡白な返事。こちらは、もっと喜んでくれるのでは・・と期待していたので、ちょっと拍子抜けしました。取得のタイミングが、妻の思っていたよりも遅くなっていたのが原因でした。

それでも、育休を取った後には「取ってくれて良かった」と言ってくれたので、貢献できたのではないかと思っています。遠方の親戚に会いに行ったり、新居の購入という大きな買い物をしたのも、育休の期間中でした。

こう書くと、育休を取得しても、僕が育児をしているのか疑わしいのですが、初めての子どもなりに、妻と一緒に子育てをしていたつもりです。


そんな、初めての子どもの育休の取得にあたって、僕の両親に報告した時のことでした。

「育児休業を、冬に2ヶ月くらい取ろうと思ってるんだ」

孫の顔を見ながら緩んでいた表情が一変し、鋭い矢のような言葉が返ってきました。

「育休?考え直した方がいい。制度があるからって、使っていいわけじゃないでしょ。」

そう言って、強く反対したのは、誰あろう僕の母親でした。

あまりにも予想外の言葉と、強い姿勢に遭い、僕はとてもショックを受けました。当事者であったはずの母親が、息子の育休取得を反対するなんて。

母親は、育休制度がまだ不十分だった時代に自分が冷遇されたこと、育休をとっても男性は役に立たないということ、両親が近くに住んでいるから協力できること、(育休は関係なく)離婚した親族のことまで挙げて、僕の育休取得を否定的に語ったのでした。

「男であるあなたが、育休を取ったら、家庭が崩壊してしまうかも知れない」

そんなふうに強い言葉で反対されてしまいました。

あとになって聞いたことですが、知人の前で僕の育休のことを話して、涙したのだとか。それは、悔し涙でした。そんなにも、育休取得に反対していたとは・・・。

僕は僕で、その衝撃の日から数日経ってから、父親と電話で相談しました。母親の心配もよく分かるけれど、母親の育休は30年以上前で、制度ができ始めた頃のことでした。寿退社が当たり前と考えられていた時代からの過渡期、母親は悔しい思いを何度もしたのだと思います。

また別の日、両親と会って、制度も時代に合わせて変わっていること、職場でも取得が勧められていること、個人の経験として一生に一度しか出来ないかも知れない、そんなことを切々と訴えました。

僕はそれまで、ママと呼ばれたことのある人ならば、パートナーが育児に関わるために仕事を休むことは、喜ばしいことだと思い込んでいたのでした。

でも、それは違っていました。

子育ては、もちろん大切なことですし、協力する大人が多い方がそれぞれが楽しく過ごせるのは間違いなさそうです。しかし、子育ての前に、仕事があり、さらにその前には、暮らしがありました。

母親が反対したのは、取得した後に冷遇されることを心配しただけではなく、僕が望むように仕事ができなくなったり、暮らしがうまくいかなくなるのではないか・・と気を揉んでくれていたからだったのです。

結局、何度かの相談を通して、僕が育児取得を取ると決めたら、母親は吹っ切れたのか、実家に帰るたびに、孫のために服を縫ったりしてくれていました。


母親の反対がなければ、僕は育休期間に何をしていたのか考えてみたことがあります。”男は役に立たない”なんて言われて、見返してやりたいという悔しい気持ちもあって、積極的に育児に関わっていたのだとしたら・・・。

実は、母親の作戦に乗せられたのかも知れません(笑)。

女性の切実な願いは、時代を超えて繋がっているし、裏を返せば、何年経ってもほとんど変わっていない現状にも気付かされるのでした。これから、様々な時代の変化に伴って、男性育休の価値がきっと更新されていくはずです。

”取るだけ育休”なんて寂しい言葉が広がってしまうのは、きっと関わり方が分からない中で育休を取って、手持ち無沙汰になってしまうとか、単に恥ずかしいとか、そういう些細なことかも知れません。


男性育休は、男性の思い込みも多分にあること、そんな経験を思い出しながら書きました。

読んでいただきありがとうございました。



二人目の子の育休の記録も、ぜひ。


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