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記事一覧

「彼女の街」

私が稀に
とても稀に
塔から出ると
私の塔は消え
貴女と
黄金の階段を
降りました
私の視界は
視界は白く

貴女は必ず
私の前を歩き
時折
一度だけ
階段の施錠を解く様に
触れる狭い空

私の狭い視界に
花や葉を映し
私は貴女の肩に
額をあて
貴女は私が
見たい存在を
見ない様に
私は安堵したように
彼女と階段を
降りました

橋を歩いて
貴女は流れる白銀の様な
水を見て
私は安堵して
貴女の肩

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spin-out『 月の世に 』

いぐのぐわ、 うにしけに

イビにの、 いっちょんのよいヨに

ザイのにグワのい、 ちきいるに。

よよいキに、 グワのいせ

らいよにらっちの いのいけに、 けのもニカ。

にこ、 らっちょい .

いにしぐも。

よよいキに、 のよいセの、

にいガに にっセい、 ヨヨいのに。

チがぴっちク、 およのきな。

ちき、 にっせい . ララめにた。

かやいきに、

かやいきに、

ミ、 のセ、

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spin-out『 なにもかもを、わすれようとて 』

きみしぐわ、(ちょん) のよいけに

ラミろっちょい、 いぐにぐも。 けにしけり。

よい、なっちょい

いぎのぎな。

ガンガっチーな、 ザにらっちょいアエーな

いぐもにのい。

しぎアエのえなー、(ちょん) いうちきに。

うりしかっちょん、 ちたえにな。

な .

ダビじょにらっちゃい、 いうちこに。

せ、 ソラにけりてなうちきにのい。

めうしぐにーのい、 リミのいせ。

きみしぐわ

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「鴉-silen-」

暗闇を
光の速さで
駆け抜ける

身を地に
叩きつけ
芽となり
地中深くに
知らせる方法を
見つけなければ
いけませんでした

貴方の背後にて
死んでも貴方は
振り向いてくれました

上空から
確認して
花となり雨が降り
地を見ると
土に白銀が
輝いていました

暗闇を
光の速さで
駆け抜けた

赤く光る目を
貴方は
毛嫌いしていると
思っていたのです

逃げません
追いません

ただ
暗闇が自由

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「security -塔にて-」

俺と
同じ様な形をした人達から
この塔は見えているのか
見えていないのか

また俺の視界内で
俺とは似たが
違う黒い服の男性が
彼にて
見向きもしていないように
通りついで
額を
テーブルランプに叩き付け
息絶えた

彼は
視線を書類から外さず

俺は
俺に似たような彼達に
死体を視界から移動させ

此処に質問は
存在させない
彼に
残酷にも簡単な事を
考えさせない様に

書類を渡して
彼に視線は

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「白銀の拳銃」

焼ける様な炎天下
琥珀色にも見える髪を見せ
彼女は殆どの甲冑を脱ぎ
赤黒く爛れている筈の
白く溶けそうな素足に括られた
足枷を引き摺り
歩いていた

見下ろす砂場をただ
歩いていた

時折、黒い貨車の様な何かに
掴まる様に見えたが
見るとやはり
それは幻の様子だ

脚が気になるのか
一度だけ踞り
視線をかえていると
やはり歩いている

彼女の罪は
「自由」と「殺戮」
書面を見ても
彼女を見ても

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「蜃気楼と白い輪」

炎天下
酷く体を枯らせていると
また上空の白い輪が気になった。

灼熱の炎天下
酷く体を枯らせて
踞り、ひとつの
芽と葉を見ていた。

裕福で静寂な惑星で
俺はただ独り
枯れた地を枯れた肉体で
歩き、踞った
振り返り
上空の様な崖の上の白い輪を
眺めた

蜃気楼よりも
白い輪が気になるので
白い輪を見た。
やっぱり、あれは鳥ではないか
一羽の鳥のような
天使が輪に見えたように
飛んでいる

白い鳥

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「白い血飛沫」

私はその頃
思考する為に、見ていた。
彼女のように運ばれる
ふたつの死体の箱を
視界にて、確認して
みっつの
ひとつは空の様だ
当然のように

血飛沫を感じずに
血飛沫を眺め

血飛沫を
思い出していた

銀色の甲冑を着た彼女は
酷く冷酷に見えたが、
素肌は血に塗れていた事を
目に焼き付ける契約を
遂行した。

石のようになった彼女を
倒れないように
立たせない様に
座らせない為に

脚部の甲冑を

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「禁欲と禁断の果実」

俺はその頃
思考する生命力を失い
枯れていた。
空から視線を一時、落としていたが
降って置かれた契約書を手に
降ってきたゴミになった果実の
残りの実を嚙り捨てた。

中身は解っている事だ
歩き読みながら
果実の木の根と
地中深くにて、眠る恋人に
別れも告げずに
真新しい儘のコンソールテーブルで
つい、黒いペンを叩き取る様に
サインして
現在に向かった

ああ、何度か確認した
(ああ、確認した)

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「本棚と死体袋」

その頃、俺は
考えていた。

既に言葉を忘れながら
本を読んで
話せない事を
誰かに忘れさせるように

この地下室の壁を埋め尽くしている本棚と
思考を一致しないように

誰か、居ますか
不安だ
(俺だ)
話せない事を俺は続ける
此処には概念は不必要だから

彼は黒い袋を持って来た
絶望の様な、明るい肌色だ。

蝋燭を持って
本棚の奥の灯りをつけた

彼は忙しなく
本を読んで
白い手袋を着け
俺達は

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「彼女の塔」

私はその頃、考えていた。

このひとつの階段の
全てのような暗闇と
私の暗闇と
彼女が此処で
眺めつづけている、光の様な絶望は
一致しているのだろうか。

脚を組んで
書類を彼女には
可能な限り、渡さない
簡単な事だけど
私は考えている

塔は平面的で
そこに天使がたまに来る
私と彼女は消えて
彼女が眺めつづけている絶望に
私は向かい
彼女は何をしているんだろう。不安だ

彼女は立ち続け
幸せを見

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