「蜃気楼と白い輪」



炎天下
酷く体を枯らせていると
また上空の白い輪が気になった。

灼熱の炎天下
酷く体を枯らせて
うずくまり、ひとつの
芽と葉を見ていた。

裕福で静寂な惑星で
俺はただ独り
枯れた地を枯れた肉体で
歩き、踞った
振り返り
上空の様な崖の上の白い輪を
眺めた

蜃気楼よりも
白い輪が気になるので
白い輪を見た。
やっぱり、あれは鳥ではないか
一羽の鳥のような
天使が輪に見えたように
飛んでいる

白い鳥ではあるが
天使に俺は魂を奪われた様に、
天使に魂を渡さなければと
反対に位置する目の前の
崖の下にうつむく為に、立った
俯き、立っていた

崖の暗闇は
殆ど段差なく
黒い絶望は
俺の救いだと確認し
それは
蜃気楼とは正反対の様に
冷えている様子だ

天使は、蜃気楼と
歩き続けた俺の様に
ただ独り
上空を旋回している
恐らく彼女も
枯れも痛みも無く


何処かでした約束を
遂行する為に

背後の白い輪が
天使が気になるので
振り返り
立った

彼女と迂回する羽が
線のように
蜃気楼に消えた

(すぐに会いにいく)


独り言は聞こえない

崖の下に俯き
倒れる様に
暗闇に向かった

白い天使が気になり
遠くなる様な視界を確認しながら
白い輪に目線を向けたが
目を離せずに
蜃気楼が近づいてくる

(会いにいくよ)
(君は独りだ)
(俺も独りなんだ)

手を伸ばし
言葉を思い出そうとすると
天使の羽が俺と落ちながら
視界を白く
白銀の様に




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