「白い血飛沫」


私はその頃
思考する為に、見ていた。
彼女のように運ばれる
ふたつの死体の箱を
視界にて、確認して
みっつの
ひとつは空の様だ
当然のように

血飛沫を感じずに
血飛沫を眺め

血飛沫を
思い出していた


銀色の甲冑を着た彼女は
酷く冷酷に見えたが、
素肌は血に塗れていた事を
目に焼き付ける契約を
遂行した。

石のようになった彼女を
倒れないように
立たせない様に
座らせない為に

脚部の甲冑を外し
爛れた皮膚を冷まし
顔色ひとつ
かわらない彼女の眉間は
歪んだか、歪んでいなかったのか
私は見て

首筋に近い肩の上部に
契約通りに
液体、流れ込む針を刺し

そう
確かに私は、目に焼き付け
2本の剣を彼女の背中に
処刑場にて突き刺した

お辞儀をする様に
崩れた彼女は
銀色の甲冑を着ていたからか
血飛沫を撒かずに
彼女は甲冑を着ていたからか
金属音だけが私の耳に張り付いた
彼女は、音もなく血を流しただけだ


纔か白く変色した
素肌を確認した。
契約通りに
鳥の鳴き声と
塔に視線をかえた
私の様な処刑人


銃声が聞こえたが

私は彼女の素肌が
より白く見えたまま
炎天下にて
甲冑と彼女の体温が冷えるのを待ち
死体を運ぶ事にしたが

カラスに啄ませるべきだったのか
思考をする為に
鳥の鳴き声を何度か
一度だったか、確認した

度々、響く銃声は
ひとつだけ
私のものにする前に
契約通りに
彼女の素顔の記録を見直し
目に焼き付けず
処刑人は
銀色のナイフを顎に
間も無くロープを番人の首に

銀の拳銃を
恐らく、彼の塔で彼がそのように
するように

黒い拳銃で彼達は
顳顬にそうして
白くも見えた拳銃で、彼はそのように
したように
白く何も見ず、音もなく
顎に




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