「security -塔にて-」


俺と
同じ様な形をした人達から
この塔は見えているのか
見えていないのか

また俺の視界内で
俺とは似たが
違う黒い服の男性が
彼にて
見向きもしていないように
通りついで
額を
テーブルランプに叩き付け
息絶えた

彼は
視線を書類から外さず

俺は
俺に似たような彼達に
死体を視界から移動させ

此処に質問は
存在させない
彼に
残酷にも簡単な事を
考えさせない様に


書類を渡して
彼に視線は向けないように
彼達は視線を向けられない様子だが
俺は
視線を向けない


暫しの静寂に
立ち休んでいると
右脳の辺りに
ひとつ、黒い点と琥珀色より遥か
明るい白く動かない遮光が
いくつか粒のように

ですので俺は
見ない様
射殺しました

ですからどうして
あれ
を殺したのですか

右下部
背後、右中上部
左背後
下部 背後

俺は
見ない様
射殺しました

ひとつ
それを撃つと
視界をかすめる点が
撃たずとも
点はいくつかになった
あれは
撃ったが

右下部
それが
右背後に錯覚し
左背後に感じた

この塔の
平面の端に右下部に
先程から
肘を突いた
何かがしがみついている

常に彼が
俺に任せた様に
視界に何があっても
見ずに射殺する

あれを
射殺する
片肘をつきしがみついている
それに
何度か弾丸を貫いた

粒子の様な
蝶が
ふたつ閃光の様に
遮光するように
彼と俺の視界を
いくつも埋めてしまった


ですからどうして
あれを
殺したのですか

彼は呼吸をそのまま
俺に質問を繰り返したが
呼吸しない様に
安堵した様に
顎を上げ
俺に頷いた
会釈にも見えたが

俺は
反対側に位置する
長い廊下からの
足音を
背後下部に

琥珀色の視界は
明るい琥珀色
俺の視界は
常に、漆黒

額には可能な限り漆黒を
顳顬こめかみには
琥珀色の拳銃にて
黒い拳銃の
数を数え続ける




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?