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【恩讐の彼方に】私は勧善懲悪があまり好きじゃない

いつからか、勧善懲悪の物語が好きじゃなくなった。
物語ってか勧善懲悪が好きじゃないなあ、と思うようになった。
嫌い、というのは乱暴かもしれない。でも「好き」とは思わなくなった。

今年話題をひっさらったドラマ『半沢直樹』も好きになれなかった。
観てたけど。
よく観ていた頃の小劇場の役者さんらに日の目があたったのは嬉しかったもん。
話題の過剰すぎる演技合戦を観ていて「みんな楽しそうやなあ」と嬉しかった。
演劇界の壮大な忘年会みたいやな、みたいな謎の感想で観てた。

しかし、なんで好きじゃないのかなあと考えたとき、
私は「勧善懲悪」が好きじゃないのかもしれないという結論に達した。

子供の頃はなんの疑問もなく観たりしていた。
例えば、時代劇。そう、勧善懲悪といえば時代劇。
小学生の頃、私の最初のヒーローは『暴れん坊将軍』の「新さん」だった。
上様なのに街に飛び出してなんかいろんな俗っぽいことや人情ネタを解決する。
そして一件落着すると城に帰って城に帰ってジイに見守られながら弓をひく。
『水戸黄門』だとどっかの隠居のジジーだと思って油断していた悪役どもが
印籠を出された瞬間にピタッと黙り「ははーっ!」となる。
でも『暴れん坊将軍』の場合は遊び人の新さんが「上様」だとわかった瞬間、
「ははーっ!」だけじゃなく
でも、「この者は上様ではない」と逆キレするタイプや
「上様だとわかってもこの上は」とわかった上で消してしまおうとする積極的なタイプ(?)などの悪役もいて、なかなかバラエティに富んでいるところもよかった。
ばったばったの立ち廻り。立ち廻りになるとお庭番衆がどこからともなく駆けつけて
悪い奴らは「懲らしめられる」、弱き者が助けられる、新さんありがとう、上様だとは。
「いやいや、気にするな。達者で暮らせよ、うんうん」 1時間終了。また来週。
今なら絶対好きにならないというか好みのタイプではない松平健がきらきらに輝いて見えたよなー。

なんなんやろう。
歳をとったというだけかもしれない。でもきっとそれだけじゃない。
思ってまうねん。
悪とされるやつにも言い分があるやん。
いや、よく誤解されるけど、悪や弱さが正しいと言いたいのではないし、
私はそっちサイドの味方とかではないよ。
でも例えば『忠臣蔵』。古来からあらゆる古典芸能でやられてきたアレ。
ちょっと意味がわからない。わかるようでわからない。
てか吉良の故郷では吉良は「人徳のある殿様だった。(なのに……)」とヒーロー扱いだという話もきいた。
だから例えば『半沢直樹』でも「悪」とか「雑魚キャラ」みたいな人も
自分なりの正義があったり、人としての弱さゆえに悪事に加担しちゃったり、
社会人として会社人としてはもしかしたら半沢よりもまとも(まともってなにかもわからんが)かもしれないとか思ったりもする。
半沢はいいよね、家帰ったらあんなカワイイ奥さんがいて、
「会社をやめてでも正義を貫く」つったら応援してくれたりさ。そんなやつおるかい。
……とこんなことを書いている私は実はめちゃくちゃ血の気が多くて、
若い頃からよく長い付き合いの構成作家の先輩に
「白黒しかないねん、おまえは。グレーがないねんおまえは」と言われ続け
ずっとひぃひぃフリーで生きている訳だけど。

勧善懲悪は、わかりやすい。
「良いもの(関西弁でいうところの、ええもん」)と「悪者(わるもん)」
ええもんがわるもんをやっつける。スカッと痛快。スカッとジャパン。
でも、ええもんってなんや、悪もんってなんや。大人の世界は複雑だ。
現実世界が複雑だからこそ、ドラマや舞台という虚構の世界では、
だからわかりやすくスカッとする勧善懲悪がウケるというのは本当にその通りで、
例えば『半沢直樹』はコロナ禍の日本&本年熱く支持され今年の顔となったドラマだとういことに異論はない。全くない。
てかYESNOだけじゃなくグレーゾーンと曖昧文化の日本、
(※良い意味でも悪い意味でも、悪い意味でも良い意味でも)
そんな日本だからこそ「はっきり!」「善!悪!懲らしめたっ!スカッ!完!」が
必要とされたり人気となったり熱く受け入れられてきたというのもあるだろうとも思っている。(めちゃくちゃ曖昧な書き方。笑)

でも、最近の私は思う。
血の気の多い白黒はっきりつけたがる性格と共に生きてきて、
少々歳もくって、いろんな人と出会って、
白黒はっきりのくせに、「うーん」ってなってまうからか、
なぜだ、怖がり面倒くさがり人が好きやけど怖いくせにそれでも面白いと思ってしまうからか、
アクの強い人とか世間的にはちょっとどうなんな人とか人もなぜかよく縁が出来たり、
そんな私は思う。

世の中は白と黒だけじゃないやん。
やっつけたらええ、だけじゃないやん。いや、やっつけなあかんやろうけど、
「目には目を」では戦争はなくならんやん。
いや、なんで戦争とか言い出したか自分でもよくわからんねんけど。
なんかね、特に、今、SNSが生活や人生の一部として、
誰にとってもめっちゃ身近になりすぎている時代となってから、
より、そんなことを思う。

もう一度言う。
私は「どっちかの味方」とかじゃなくて。
弱さや悪を許すとかそれが好きとかじゃあない。
でも例えば「その人がそうなった理由」「その人がそう言っている背景や環境や人生(人生観)」みたいなものを想像したり、したい。
「悪!=×!」「完!」があんまり好きじゃない。どうしようもない時も、どうしようもなさ過ぎる時も。でも。それでも。

……こんなんやから、しばしば、いろいろ、巻き込まれたり、病んだり、悩んだり悩んだり、も、多いんやろうか?!
あ、あと、ためてためて、突然、爆発的にキレたりするんやろうか?!
うん、せやな。って、あかんやん。もー。とほほ。

私は菊池寛の『恩讐の彼方に』が好きだ。
あれいつだったかな、高校生ン時かな、初めて読んだとき、衝撃やった。読んでみてほしい。

そういや、楽しそうに伊佐山部長を演じてた当代猿之助
(私の中では永遠に「亀治郎」。声変わりする前の『スーパー歌舞伎・八犬伝』の新兵衛役が忘れられない)……
の叔父、現・猿翁が浜木綿子だの藤間紫だのなんだのかんだのややこしいというか好き勝手やってきて、大和田常務こと香川カマキリ先生(とその息子)が歌舞伎界入りするとき、
「浜さん、恩讐の彼方にありがとう」って言うてたの、「うわー!」ってなったなあ。

うーん、やっぱり、私は甘いのかもしれない。あたま&文、小学生なのかもしれない。
でも、でも……。

世の中は、勧善懲悪だけじゃない。はず。いや、微妙なとこやけど。微妙なとこすぎるけど。

っていうか、たぶん、善とか悪とか決めつけて、疑いもせず、(時に群れたりして)攻撃し合ったりするのが、好きじゃないねんな。こんなに白黒はっきりな血の気多い性格だけど、だからこそ。

先日も書いたけれど、私が今愛着しているパーカーのフードはバッドばつ丸で、袖にはグッとはな丸が居る。一緒にいる。バッド&グッド。気に入ってきた。

……という話を、つらつらビャーッと書きたくなったので書いてみた。特になにがあったという訳ではないよ!(笑)




あ、敢えて言うなら、今観ている韓国ドラマ(某、韓国の半沢直樹。笑)が、今のところ、目新しいっぽい事柄はいれつつも、なんか勧善懲悪っぽい流れで、私的になかなか進まないのもあるんかなあ。これからもう1ひねり2ひねりしてくれるねやろうか。まだシリーズの半分くらいまでしか行ってへんねんけど。(とか言いつつ、最後、またハマってる……とかだとええねんけどなー、どうやろなー笑)

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大阪の物書きでございます。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中。
大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
下町・大衆文化も好きです。
女2人の立ち呑み旅、連載中。現在第7回まで更新中。
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いまはまだ日本も世界も色々大変で心配ではあるのですが……
己の出来ることを考えたい、ひとつずつ、いろいろ、やっていきたいです。
(理想高すぎるねんけど←これがあかんねんな笑)
皆、皆が、平和で楽しくありますように……!
改めて今後ともどうぞよろしくお願いします。ありがとう。ラブ。


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