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ウクライナ侵攻を続けるロシアの苦境を、経済面から抉り出してみよう。

ロシアのウクライナ侵攻も戦闘面で目が離せない事態となっているが、その裏で確実にロシア経済が崩壊へ向かっている。今日は後者の方に焦点をあててプーチンの足元が大きく揺らいでいる様子を取り上げていきたい。

●恒大集団のデフォルトから中国経済が大きく罅割れた如く、ロシアも同じ轍を踏む●
あまりに早い展開で追いつけないwしかし、この手の報道が出始めるといよいよ終焉が近いように感じられる。ロシアのルーブル建て国債が利払いを停止されたようだ。実質的にデフォルトが始まっているということで、ロシアは国家破産へと突き進んでいくことになりそうだ。
大変恐縮だが、時事通信の記事になる。


ルーブル建て国債利払い停止 外国人投資家、身動きできず ロシア中銀
3/3(木) 17:25配信 時事通信
【ニューヨーク時事】米メディアによると、ロシア中央銀行は2日までに、ロシア通貨ルーブル建ての国債を保有する外国人投資家に対する利払いを停止した。
欧米諸国による経済制裁を背景にルーブルが急落する中、資金流出に歯止めをかける狙い。ロシア当局は既に外国人による証券売却も禁じており、投資家は身動きが取れない状態に陥っている。
格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスは2日、ロシアの信用格付けを投機的水準へと大幅に引き下げた。「経済制裁に加え、ロシアの債務返済意思にも懸念があり、国債償還に混乱が生じるリスクが高まっている」と説明。他の格付け大手でも同様の格下げが相次いでいる。
有力金融機関が加盟する国際金融協会(IIF)によると、ルーブル建て国債の外国人投資家による保有比率は2割程度。昨年末時点で3兆2000億ルーブル(当時の為替レートで約4兆9400億円)だった。新型コロナウイルス対策で国債発行額全体が膨らんだ影響で保有比率は低下したものの、ロシア国債市場で外資系金融機関の存在感が近年高まっており、保有額は増加傾向にあった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ef8dc939ee88e590b27e3ab3af06fe8f79ef0134


信じられないことだが、ロシアの国債は「新興国株式インデックス」に組み込まれている。日本では、このインデックスだと中国や台湾、韓国への投資のイメージになるが、利回りは上下動が激しいものの平均して高め、ただし信託報酬は低めという傾向がある「相場」で、伸びしろはあるがリスキーというギャンブル性が特徴(魅力、という人もいるw)なグループだ。その為に大口の顧客がどーんと構えている形ではなく、それこそ無数の小口投資家が少なからず持ってしまっている、という傾向がある。つまり、今回の利払い停止は薄く広範囲に影響を与えるものと見られている。
ロシア制裁を実施するのであれば、このルーブル建て国債をインデックスから即刻外し、凍結まで行うべきだと思われる。これもロシアの資金源になるので、利払い停止からの踏み倒しを阻止する必要があるだろう。

しかし、これを見てプーチンがウクライナ侵攻は2日でケリをつける、と目論んでいたという話に信憑性が出てきた。現金がないロシアは、19万人もの兵士を動かして国内経済も維持できるリミットがそこだった、というということではなかったのか?だ。中国も恒大集団のデフォルト騒ぎをきっかけに、実は国債、社債のオンパレードだった実情がバレた。レッドチームは結局借金漬けで経済を無理やり回していたというわけだ。それなのに、プーチンは出兵を強行し、早くもこんな混乱を起こしてしまっているのだな。

●これもアメリカによるロシア制裁、一斉にロシアの格付けが下がる●
アメリカの大手格付け会社であるS&P、ムーディーズ、フィッチが揃ってロシアの格付けを大幅に引き下げた。その内容が凄まじく、ジャンククラスまで引きずり下ろしただけでなく、デフォルトリスクありのワーニングまで付帯させているケースもあるようだ。
読売の記事になる。


ロシアの格付けを6段階引き下げ、投機的水準に…米ムーディーズなど
3/3(木) 22:35配信 読売新聞オンライン
米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスは3日、ロシアの格付けを「B3」に6段階引き下げたと発表した。投機的水準にあたる。ウクライナ侵攻で米欧から厳しい経済制裁を科され、ロシア経済を巡るリスクが高まったと判断した。
債務の履行能力を示す長期発行体格付けは、これまで投資適格の水準で下限とされる「Baa3」だった。ムーディーズは、「追加の制裁でロシア経済のリスクは今後高まる可能性がある」と指摘している。
別の格付け大手フィッチ・レーティングスも2日、ロシアの信用格付けを6段階引き下げ、投機的水準とした。「制裁でロシアによる借金返済の意思がより不明確になった」として、さらなる格下げの可能性も示している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5be9ef2e4c71cb1fc06b36b4fef3d4f184bece0c


これは、対象となったロシア銘柄は今すぐ手放せの号令に等しい措置だ。敢えてパニック売り相場を作り出し、ロシア市場を一気に叩き潰す意向まで感じさせる。
アメリカは、ドルによる覇権だけでなく、格付け覇権でも経済支配ができることをまざまざと見せつけたと言っていい。こんな爆撃をされれば、ロシア経済などひとたまりもない。そして改めて、今まではアメリカによってロシアが生かされていたこともはっきりしてしまったと言える。ロシアは、経済でアメリカに太刀打ちする術が何もないのだ。

おまけとして、同じネタを報じたロイターの記事も紹介しておきたい。


S&P、ロシアの格付けを「CCCマイナス」に引き下げ
3/4(金) 7:48配信 ロイター
[3日 ロイター] – 格付け会社S&Pは3日、ロシアの格付けを「BBプラス」から「CCCマイナス」に引き下げた。主要国の対ロシア制裁強化やロシア政府の資本規制でデフォルト(債務不履行)のリスクが高まったとし、既に投機的水準(ジャンク級)だった格付けをさらに引き下げた。
「今回の格下げは、デフォルトリスクの大幅な高まりにつながる見込みの措置が取られたことを受けた対応」と説明した。
主要7カ国(G7)による新たな制限やロシア政府がルーブル防衛のために導入した資本規制が、ロシアの債務返済能力を低下させる可能性があるとした。
同社は数日前に、ロシアの格付けをジャンク級に引き下げたところだった。
ロシア国債は引き続き「クレジットウォッチ・ネガティブ」に指定、格下げ方向での見直しを継続する。
フィッチとムーディーズは2日、ウクライナ侵攻を受けて西側が科した制裁により、ロシアの債務返済能力に疑問符が付いたとして、ロシアの格付けを6段階引き下げジャンク級とした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2a310c89bf5eddb287a0f8c8fcc1458ba67a82f6


●そして当然のように起きるルーブルの大暴落●
市場は、格付け引き下げを見て即座に反応した。為替ではルーブルが更に暴落し、あっという間に最安値を更新してしまった。恐ろしいのは、まだこれがデフォルト前だということで、もし起きればこんなレベルでは済まない。
ちなみに、こうなる以前の段階で、ロシア軍はウクライナ侵攻に1日1500億円をかけていると言われていたが、その支払いをするルーブルの価値が下がれば相対的に費用は上昇する。ロシア経済破綻のシナリオが本格的に始動したと言っていいだろう。
ロイターの記事になる。


ルーブルが一時最安値更新、ロシア格下げ受け
3/3(木) 18:24配信 ロイター
[モスクワ 3日 ロイター] – ロシアの通貨ルーブルが3日の市場で、荒い値動きの中、対ドルで一時、過去最安値を更新した。格付け大手フィッチ・レーティングスとムーディーズが2日、ロシアの格付けを6段階引き下げジャンク級(投機的)としたことを受けた。S&Pも3日、ロシアの格付けを「BBプラス」から「CCCマイナス」に一段と引き下げた。同社は数日前にも格付けを引き下げたばかり。
モスクワ市場でのルーブル終値は対ドルで前日比ほぼ変わらずの106.01ルーブルだったが、一時は10%超下落し118.35ルーブルを付ける場面があった。
対ユーロでは1.9%安の117.60ルーブル。一時は125ルーブルを突破する下げを記録した。
海外市場では、9.1%安の1ドル=110ルーブル台で取引されている。他のプラットフォームでのビッドは1ドル=117ルーブル付近で推移している。
オールスプリング・グローバル・インベストメンツのシニア投資ストラテジスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「イングランド銀行(英中央銀行)と欧州中央銀行(ECB)がルーブル相場の公表をやめた時点で、取引が薄くなっていることがわかる」と指摘した。
ロシア軍がウクライナに侵攻した先月24日以降、ルーブルは対ドルで30%近く下落している。
ロシア中央銀行の指示により、先月28日から一部を除いて停止されているモスクワ市場の株取引は3日も停止されたままとなっている。
フィッチとムーディーズは2日、ウクライナ侵攻を受けて西側が科した制裁により、ロシアは景気の悪化が見込まれ、債務返済能力に疑問符が付いたとして、ロシアの格付けを6段階引き下げジャンク級とした。
また、株価指数を算出するFTSEラッセルとMSCIは2日、全ての指数からロシア株を除外すると発表した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4fd12df2e556df241eca7d242a9924b948040f7a


もちろん、ロシアも為替介入でルーブルの買い支えに走ってはいるのだろうが、多勢に無勢では滝を落ちるがごとく価値を下げていく勢いに抗うことはできていないようだ。というか、こんな状況になっていたらドルの無駄遣いだと割り切るできだ。黙って底を打つまで動かない方が、傷は小さいのではないだろうか?・・・愛国心は大きく崩壊はするだろうがねw


●ロシア行のコンテナ船が停止、輸入なしでは立ちいかないロシア●
仮に入港できたとしても、下落するルーブルでは支払いもできないかもしれないがw
コンテナ海運の世界大手であるマースクとMSCもロシア制裁に参加した。人道的な最低限の物資を除きロシアを発着する全ての貨物船を停止させてしまったという。当然、ロシアの貿易には大打撃となるだろう。
CNNの記事になる。


生活水準が劇的に変化か、身構えるロシア国民
3/4(金) 17:45配信 CNN.co.jp
ニューヨーク(CNN Business) ロシアでは欧米諸国による制裁の影響で貯金の価値が目減りし、日用品の輸入が急速に途絶えつつある。国民は生活水準の劇的な変化を予想して身構えている。
欧米企業の間ではここ1週間、制裁違反を避けるためにロシア事業を断念する動きが相次いだ。国際舞台でのけ者扱いされつつあるロシアとの関係を維持すれば、広報上の深刻な問題が生じる可能性もある。
米アップルは1日、ロシアでの製品の販売を全面的に停止すると発表。それ以前にはフォードやゼネラル・モーターズ(GM)、ボルボ、ルノー、ジャガーなどの自動車・トラックメーカーも同様の動きを見せていた。欧米石油大手のシェルやBPはロシア企業との合弁を解消したほか、ディズニーやCNN親会社のワーナーメディアはロシアでの映画公開を中止した。
こうした経済的打撃に追い打ちをかけたのが、コンテナ海運の世界大手であるマースクとMSCだ。両社は食料や医薬品、人道物資を除き、ロシアを発着する全ての貨物の予約を停止した。
さらに通貨ルーブルの急落も相まって、ロシア経済の息の根が止められ、自動車や携帯電話、衣類、食料といった必要不可欠な外国製品が手に入らなくなる恐れが出ている。ロシア経済は主に石油と天然ガスを原動力とする一方、消費財の完成品については輸入に大きく頼っているのが実情だ。
パニックの兆候は既にある。先週末には人々がATM(現金自動出入機)の前に長蛇の列をつくる様子が何度も報じられた。中央銀行は今週、株式市場の閉鎖を続けて株の投げ売りを回避。また、通貨安定を目的に主要金利を倍以上の20%に引き上げた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/225976917bf41a02262ca80a8cdb894e5c325030


この結果、ロシア国民は物資の枯渇に怯えながら生活することになる。既に銀行ATMでは現金の取り付け騒ぎが起きており、クレジットカードの使用もできなくなっているが、仮に現金があったにしても、物資不足で買えない、もしくは価格高騰で手が出ない、という大困窮時代に突入することになる。とんでもない地獄絵が展開されることになっていくだろう。

ロシアには天然ガスと原油がある、だから国民の生活は潤っている、という話をしている向きもあるが、実際のところ生活必需品レベルからほとんとを海外からの輸入に頼っているのが現状だ。いわゆるロシア国産についてはまだまだ発展途上で、何にしても西側の商業ベースで物を作る基盤はできていない。その為、状況としては韓国に似ていると言ってよく、例えば今回ロシア制裁に参戦したコンテナ会社のように、物流を止めてしまう戦法はダイレクトにロシアにインパクトを与えることになる。こうして物が足りない状態から、アメリカが発表した経済制裁がじわじわとロシアの首を締め上げていくわけだ。

なお、既にトルコが黒海に続く海峡を封鎖し軍用船の航行止めている。この為、ロシア軍の艦艇が立ち往生の末に帰港する事態となっている。
CNNの記事になる。


トルコ、黒海に続く海峡の軍艦通行を認めず 各国に警告
(CNN) トルコのチャブシオール外相は28日夜、閣議後に記者団に対し、黒海の沿岸国かどうかを問わず、トルコはすべての国に対して軍艦の海峡通過を認めないと警告すると述べた。国営アナトリア通信が伝えた。
チャブシオール氏は前日、トルコはロシアによる侵攻を戦争と認識すると発表していた。これによりトルコは黒海、マルマラ海、エーゲ海を結ぶ諸海峡に一定の管理権を得ることになる。
チャブシオール氏は「(戦争開始以降)今日まで、海峡通過の要請はない」としたうえで、「ロシアからこれまで、必要があればモントルー(条約)の実施をするかとの問い合わせがあった」と明らかにし、適用する旨を伝えていたと語った。
さらに「トルコは戦争の当事者ではないが、交戦国の船の海峡通過を認めない権限がある。軍艦が黒海の基地に戻るところであれば、その通行は阻止されない」とも説明した。
1936年に締結されたモントルー条約は、トルコが戦争の当事国であるか、脅威にさらされている場合、すべての国の軍艦に対し戦時中の海峡通過を禁止する権限をトルコに与えている。戦争の当事国であるか否か、また黒海沿岸国であるか否かを問わず適用される。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d70b65635f30b79d655f460a41e06e6339f542a7


この措置をロシアへ入港する全ての船に適用すれば、それでロシアは致命的な打撃を受けることになる。
何にせよ、時間と共にロシアへの経済制裁は勢いを増しているが、これは効果が見られるからこそ続けられていると言っていい。物資の供給が途絶えている中、闇雲にウクライナ攻撃を続けているロシアだが、果たしてどこまでそれを維持していけるのだろうか?

●狂人プーチンが核ボタンを持つ恐怖●
「頭、おかしくなってね?」とプーチンの状況に懐疑的な声を挙げているのはアメリカのルビオ議員やフランスのマクロン大統領だが、とうとうロシア人の財界大物からも同様のコメントが出てきた。イギリスで亡命生活を送っている石油大手の元社長ミハイル・ホドルコフスキーによれば、プーチンはウクライナでの戦争に勝利できず失脚を早めるだけだ、とのことだ。
AFPの記事になる。


プーチン氏、ウクライナ侵攻で失脚速まる ロシア元石油王
3/3(木) 17:19配信 AFP=時事
【AFP=時事】ロシアの石油大手ユコス(Yukos)の元社長で、英ロンドンで亡命生活を送っているミハイル・ホドルコフスキー(Mikhail Khodorkovsky)氏は1日、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領がウクライナでの戦争に勝利することはなく、逆に失脚を速める結果になったと語った。
「石油王」とも呼ばれたホドルコフスキー氏はテレビ局「フランス24(France 24)」のインタビューで、プーチン氏は「被害妄想」が高じて「感情的」にウクライナ侵攻を命じたと指摘。
「自殺行為だ。(首都)キエフや(東部の都市)ハリコフ(Kharkiv)を制圧できても、ウクライナに勝利することはできない。自らの終わりを速めている」と話した。
最終的にはロシア経済の破綻に伴い、1、2年後にはプーチン政権は崩壊すると予測した。
ホドルコフスキー氏はユコスの社長時代、プーチン氏とも面識があった。しかし、プーチン氏を批判したことから容疑をでっち上げられ、逮捕されたと言われている。2003年から13年まで収監されていた。
ホドルコフスキー氏は、プーチン氏はウクライナに侵攻しさえしなければ生涯権力の座にとどまるほどの権勢だったが、今や「歴史的な」過ちを犯したと語った。
プーチン氏は20年以上権力の座にあり、周囲は怖くて真実を伝えられなくなっていたため、ウクライナの抵抗を見くびっていたと指摘。「花束で迎えられるとでも思っていたのだろう」と突き放した。【翻訳編集】 AFPBB News
https://news.yahoo.co.jp/articles/32c06556ea1efcd9059534f305c6ad8d4b6d1847


なるほど、プーチンは被害妄想で感情的になり、狂ってしまったとまで言われたかw

まぁ、ウクライナ統治という落しどころを考えているからこそインフラは攻撃せず、という温い攻撃から始めたものの、戦果があがらないと見るや一転してテレビ塔や原発攻撃に切り替えて、と約1週間のウクライナ侵攻でも戦略がブレにブレている印象だ。結局、原発にまで目を向けたということは、仮に放射能で人が住めない土地になっても、NATO国家との間に緩衝地ができればそれでいい、という結論に至っているのだろう。ならば、ウクライナ全土にミサイルをうちまくって焼野原にしても結果は一緒だ、で実際にプーチンはそこへ向かっていくのだろう。

・・・確実に狂っているよね。

そして、最後に。
がんばれ、ウクライナ。

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