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芸術日記

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音楽・美術鑑賞記録ノート
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2023年2月の記事一覧

『眠り展』を訪れて

『眠り展』を訪れて

東京国立近代美術館 「眠り展」 2020-2021

 ルーベンス、ルドンの絵画作品から塩田千春の現代アートまで、多様な媒体を通した「眠り」が混在している会場には、まどろみの中をゆっくりと歩いていくようなやわらかさのある作品から、鋭く攻撃的な空気を感じられる作品など、同様のテーマであってもその切り口は実に多彩なものであった。

 作品群の世界観になぞらえて設置された、カーテンを思わせるような布や、

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【バレエ鑑賞レポ】 『人魚姫』 サンフランシスコバレエ団 【ノイマイヤー振付】

 サンフランシスコバレエ団による2011年公演の作品「人魚姫」を鑑賞した。史上最年少でプリマ・バレリーナに選出されたタン・ユアンユアンをはじめ、リギンス・ロイド、ヘリメッツ・ティット、パッテン・サラ・ヴァン、カラパティアン・ダヴィットらが出演している。ジョン・ノイマイヤー振付作品であり、彼のルーツであるロイヤル・バレエ団やシュツットガルト・バレエ団、ハンブルク・バレエ団などの系譜を継ぐ物語バレエと

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『琴線に触れる』という言葉の由来とイメージについて

 「琴線に触れる」という表現に対し、以前からこの言葉自体が自身の琴線に触れるような感覚を有しており、凛とした美しさのようなものを感じてきた。大学の授業で箏を学び、実際に琴線に「触れる」中で、再びこの言葉に対するいくつかの疑問が浮き上がったため、本記事ではその由来と楽器のルーツとの関係性について取り上げることとする。

 箏は古来より盲人の特権職業とされており、そのことから目ではみえない何かを手繰り

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