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好みのコーヒー豆を見つけよう その3

今回の記事では、前回のティピカ種に引き続き、2大原種のひとつ、ブルボン種について取り上げていきます。

まず言えることは、やはり生産量が少ないので、高級豆です…💦

そして味はというと、すっきりしたティピカの味わいに比べて、甘みやコクが強い印象です(チョコレートのような…と言うとわかりやすいでしょうか)。

しかし、後味は切れが良く、心地よい苦みと甘みが口の中にほのかに残ります。甘み好きな方にはぜひお試しいただきたい品種です。
苦みのクリアさ(表現が難しいですが…)を求める人にもおすすめです。
また、他の品種に比べて格段に香り高いのも特徴です。

スペシャリティー以外の豆の流通や、交配種・変異種など系統が近い豆の流通量が比較的多いため、ティピカに比べて価格はややお安めのものもあり、入手性は良い品種です。

では、ブルボン種について、その歴史などと共に書いていきたいと思います。


②ブルボン種

ブルボン種が歴史上に登場するのは1715年のことです。

フランス人により、苗木がイエメンから直接インド洋のフランス領レユニオン島に移植されたのが始まりであると言われています。
レユニオン島はブルボン島とも呼ばれていたので、それがブルボン種という名前のもとになっています。

ちなみに、ティピカ種は、フランス以降の移植はほとんど「こっそり(非合法的に)」行われましたが、ブルボン種は合法的に移植されています。

1712年にフランス使節団がイエメンを訪れた際、イエメン国王の病を治療したことから、当時のイエメン国王が持ち出し禁止だったコーヒーの苗木をフランス人商人にに与えたのです。


結局、レユニオン島にわたって生き残ったのは1本だけでしたが、そこはアラビカ種の本領発揮(1本でも実がなる)。広大な農園を作り上げました。

ちなみに、移植後にさらにいくつかの種類に枝分かれしています。
面白いのは、「イエローブルボン」と呼ばれる黄色い果実をつける品種です(普通のコーヒーチェリーは赤)。

飲み比べると、イエローブルボンの方が若干甘みが強い気がしました。
(冷めても酸味が優位にならず、甘みが強めに残ります)

その後さらにブラジルに移植され、中南米で盛んに生産されるようになりました。
また、東アフリカにも移植され、タンザニアなどのコーヒー栽培のルーツになっています。


ちなみに、ブルボン種はティピカ種からの突然変異説もありますが、最近ではそれぞれイエメンの原種から枝分かれした兄弟品種ではないか、とも言われています。

ティピカは、イエメンからインド→インドネシア→オランダ→フランスと伝わっていますが、ブルボン種はイエメン→レユニオン島と伝わっていますから、両者に接点があまりないですよね。
イエメンで枝分かれしているのは間違いなさそうですが…。

個人的には、病気を治してもらった国王が、感謝のしるしに自分のお気に入りだった特別な品種の苗木をプレゼントしたんじゃないかな…と想像しています。
その方が何となくドラマティックなので、ストーリーとしては楽しいですよね(笑)


さて、このブルボン種、国王からのプレゼントだけあって非常に味も香りも良いのですが、いくつか問題点もありました。

・隔年でしか(2年に1度しか)収穫できない
・病虫害にはめっぽう弱い

という点です。

イエメンから持ち出された苗木は60本あったのですが、1本しか生き残らなかった点からも弱さはうなずけます。
(現地の気候がコーヒーにとって厳しかったのもありますが…)

当時の人達は最後の一本を枯らさないように必死だったでしょうね。
イエメン国王からのプレゼントが全滅は本当にマズい💦
当時の様子が目に浮かぶようです。


結局、栽培の難しさや収穫量の少なさから敬遠されてしまい、1970年代、中南米でのサビ病の大流行で多くの木が枯死してしまいました。
現在は一部のスペシャリティーコーヒー志向の農園で生産が続いている状態です。

ブルボン種の血を引く銘柄として、日本でも名前が知られているキリマンジャロについて紹介します。

②-1 キリマンジャロ

日本では、「世界三大コーヒー」のひとつとして大変人気があります。

タンザニアのコーヒー生産は1900年代から始まり、最初はタンザニア北部にあるアフリカ最高峰キリマンジャロの山麓で農園がつくられました。

その後、南部に生産地域が広がり、タンザニアコーヒーは世界中に輸出されています。

日本でスペシャリティーとされているキリマンジャロコーヒーは、北部キリマンジャロ山麓のスペシャリティーに特化した農園から出荷される「モンデュール」などいくつかの銘柄を指しています。

ブルーマウンテンやハワイコナに比べて、甘味ベースなので、深めに焙煎しても楽しむことができます。
(カフェオレなどにするなら、キリマンジャロの方がおすすめ)

ちなみに、南部のブゴバ地区で生産されるものは「キリマンジャロ」を名乗ることすらできないなど、ブランドの管理がしっかり行われています。

ただ、キリマンジャロと一口に言っても、ブルボン種ではなく交配種や別の品種を栽培しているケースもあり、価格にはかなり幅があります。

※東アフリカのコーヒーも個性豊かですので、いずれ地域別で紹介したいと思います。


また、ブルボンにはいくつかの突然変異種があり、それぞれ高級豆として取引されています。
それは「突然変異種」ということで後ほどまとめて取り上げたいと思います。

それとは別に、ブラジルブルボンで面白いものが出回っているので最後にご紹介します。


②-2「さらに変わり種」ピーベリー

珈琲豆は、実の中に半球の形をした豆が二粒なります。

が、まれに、1粒しかできないものがあります。
1粒の豆が実の形に合せて丸く成長したもの、これがピーベリーです。

ピーベリーはブルボン特有のものではなく、どの品種でもとれます。

ピーベリーになる確率は、条件にもよるのですが、豆全体の2%、多くても8%程度と言われています。
豆の選別作業の段階で、通常の豆(フラットビーンズ)と形や大きさが違うので、弾かれます。
(稀に弾かれ損ねたピーベリーが紛れ込んでいることがあります)

ピーベリーは、甘味・酸味・コク・香りにが普通の豆より優れている、とされていて、特に欧米では人気が高く、高値で取引されています。

ですので、希少なブルボン種のピーベリーとなると、かなりの高値になります。

なぜ香味に優れているのかはよくわかっていないのですが、

・全体が丸いので焙煎の時に均等に火が入りやすい
・種が1粒なので、栄養分が集中して美味しくなる

とも言われていますし、「希少豆だから美味しい気がするだけだ」という意見もあります(笑)

ただ、ころころとした可愛い見た目や希少性から、美味しく感じるのも確かでしょう。
コーヒーは「嗜好品」ですから、そういった楽しみ方もありなのではないかと思います。


ブルボンコーヒーを飲む際には、その歴史に思いをはせながら飲んでみるとより美味しく感じるかもしれません。

また、ピーベリーは、スペシャリティーコーヒーを扱うお店では入荷することもあるので、見かけたらお試しください。本当に美味しいのか、それとも気のせいなのか…。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました!


以前、コーヒーの淹れ方を記事にしていますので、参考にしていただければ幸いです!

コーヒーを美味しく淹れましょう! その1

コーヒーを美味しく淹れましょう! その2

コーヒーを美味しく淹れましょう! その3

もし、読者の方からのご質問があれば記事化していきます!
(時間はかかると思いますが、少しずつ記事にしますので気長にお待ちください<m(__)m>)

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