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虐殺器官(アニメ映画版)(著:伊藤計劃)【つまり人間にはアニメ感想する臓器があるという話だ「ついに映画感想も臓器になったか」】

伊藤計劃先生はゼロ年代日本を代表するSF作家の先生ですが、
若干2作くらいを執筆された段階で夭折されてしまいました。
なので、基本的にはこの人の作品は、
ハーモニー
虐殺器官
の2冊だけです。
(厳密にいうとまだあるのですが)

しかしこの2冊が一般教養とでもいうべき認知度があるので、
SF作家ジャパン代表でもあります。
日本では死んでしまった人が英雄になるというか、伝説になるような文化があるとかそんな話を読んだことがあります。なんだったかな。

ともあれ。
二つの作品は、同じく日本アニメとして劇場映画になりましたが。
順調に進んだハーモニーに比して、虐殺器官は担当する制作会社がつぶれてしまったりしたせいで、いったん沙汰止みになってから再開した経緯があります。

また二つの作品は同じ世界観であり、同じ時系列で、
虐殺器官の歴史が、ハーモニーの歴史へとつながります。
ハーモニー世界内部の極端なミシェルフーコー流生命重視哲学は、
虐殺器官の中で描かれた極端な暴力の歴史の反動だったと作中で説明されています。

つまり虐殺器官が先、
ハーモニーが後、
ということに時系列上ではなりますが、

だからといって虐殺器官の方から読まなければいけないわけではありません。
どちらを先に読んでもネタバレとかないので、特に問題ないのですが。

今回は虐殺器官の方を紹介したいと思います。
しかもアニメ映画版。

主人公はアメリカ特殊部隊の大尉で、仲間もえり抜きのエリート兵士。
ゲリラやテロリスト程度の相手では、歯が立ちません。
しかし、どうも動機が良くわからない大量虐殺などを見聞するようになります。
本人たちですら「なぜあんなことをしたのだろうか?」と自問すらする。

アイヒマン裁判とかルワンダ虐殺とかでお馴染みの光景ですね。

その結果。どうも虐殺をそそのかしている謎の人物がいるようなのです。
アメリカ特殊軍はその謎の人物を追いかけるためにチェコに向かうのですが。

ところで、主人公たちはエリート軍人であるにも関わらず子どもみたいな感性の人たちです。純粋培養されて疑うことを知らないような。

子どものいない日本の大人になら、わかってくれるかもしれない。
俺たち、いつまでたってもガキみたいだよな。

まあそんなことはともかく、チェコで主人公は美女に出会います。
関わらないように彼女に忠告されたにも関わらず、逆に関わります。

そうです。
惚れた相手の男というのは、知っておかないと気が済まない男の気持ち。
でもその男は言うのです。
人間は虐殺器官という臓器を持っており、そのスイッチを押せば、見違えるように大量虐殺ができるようになる。
ただ、具体的なメソッドについては最後まで語りません。
ネタバレすれば簡単な当たり前のもの、
のような気がするのですが、バラすのは野暮い。

追い詰めたのですが、結局は、男を逮捕させ、国際法廷で証言をさせることはできませんでした。そして・・・・

主人公、クラヴィス・シェパード大尉は淡々と自分の物語を語り続け、話は終わります。
まるで自分の人生の物語ではなく、その休日がいかに淡白に終わってしまったかについて熱量を伴わずに述べたようなセリフです。

幕は降りて。

でも。
彼の本当の心情は、エンディング曲であるエゴイストが歌う「リローデッド」の歌詞が代弁してくれています。

ああ。
あああああああああああ。
あああああああああああああああああああああああああ!!!。
もっと感情を出せよおおおおおおおお
何すました顔をしてやがんだ、
何が「これが僕の物語だ」だよ!

もっと絶望を語れよ、悪への衝動で正義の主人公を呪えよ!
自分の衝動で周りを不幸にして!
泣き喚いて、世界を呪えばいいじゃん!

泣き叫びたい時にそれができないのは、不幸だぜ。

☆★★★
と、映画を観たときには思ったんですよ。
原作はというと・・・

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