見出し画像

猫があなたの隣にいる奇跡。猫があなたの隣にいるのは、決して当たり前ではない。

あなたの隣に猫がいる。当たり前の日々。

だと思うだろうが、当たり前ではない。数々の奇跡が重なって、猫はあなたの隣にいる。

少しシーズンは過ぎたが、桜といっしょの写真を取りたい猫の飼い主さんもいるかも知れない。猫を外に出す。お散歩、という感覚だろう。しかしこれは、猫にとって危険がいっぱいである。

猫は、「猫は液体」でイグ・ノーベル賞を受賞するほど身体が柔らかい。

これは、例えハーネスなどをしていてもいざとなればスルリと抜け出てしまう可能性を示唆する。猫を抱っこしようとしてもニュルリと手から抜けて出てしまいそうになった経験を持つ人は多いだろう。

肝心な時に捕まらないのが猫である。これが外だったら?脱走となる。行方知れずになった猫の捜索願はSNSでも頻繁に目にする。見つかって戻ってくればいいが、見つからなければただの不幸の連鎖にしかならない。

お散歩に連れ出し、無事に自宅に戻ったとする。外に出ている間に、外部寄生虫に取り付かれる可能性はゼロではない。ノミやマダニ、蚊に刺される可能性、いずれも厄介だ。ノミは家庭内で蔓延してしまえば根絶には根気がいる。その顛末はこちらに書いた。

マダニは病気を媒介する。以下は厚生労働省の案内だ。

蚊に刺されればフィラリアにかかる可能性がある。フィラリアは犬だけの病気(内部寄生虫)ではない。

外に脱走したとして、その間に変なものを口にしたら?例えばトカゲやヘビを食べたら?もしかしたらマンソン裂頭条虫に寄生されるかもしれない。マンソン裂頭条虫がどれだけ厄介な寄生虫かは、こちらをお読みいただければわかると思う。

猫がトカゲなんて食べないだろうって?そんなことはない。この写真を見てほしい。

画像1

これは、当時勤めていた会社の近所に居着いていた野良猫がトカゲをゲットし、運んでいる瞬間だ。ちなみにこの子は三毛のオッドアイという珍しい子だった。野良猫は短命なので、今頃は天国にいるだろうと思う。

画像2

外にいる猫をさらなる危険で脅かすのが、交通事故だ。人間だって即死することがある。身体の小さい猫などひとたまりもない。一命をとりとめても、障害が残ることがある。

この子は一ヶ月治療して一命をとりとめたが、脳に障害が残り盲目になったという。

我が家の黒猫ケイちゃんは、外で徘徊しているところを保護した子だが、路地を少し入ったところにいたからたまたま無事だっただけで、ほんの少し居場所が違えばそこは大型トラックが頻繁に行き交う国道だ。命があったのは奇跡でしかない。

キャリーに入れていても油断ならない。我が家に以前、猫捜索チラシが入ったことがある。我が家の斜め前の低層ビルのあたりで生後半年程度の子猫が逃げたと。キャリーに入れ動物病院に向かう途中だったとのことで、キャリーが開いてしまったと聞いている。すぐ近くのことなので、心が痛んだ。

折悪しくも、子猫が逃げた当時、箱根駅伝が開催された。ここの国道は走路なのだ。観客が沿道に押し寄せる。子猫がパニックになって遠くに逃げてしまうことは想像に難しくなかった。幸いにしてこの子は、少し離れたところで保護され、一ヶ月後に自宅に戻った。

猫は終生室内飼育するべきである。これだけ外は危険性をはらんでいる。

それでもあなたは猫を外に出すか。それは、猫の命を軽んじているに他ならない。それでも、それでもあなたは猫を外に出すか。それは、猫を愛しているあなたが、猫を愛しているつもりのあなたを愛しているのであり、猫を愛しているのではないのだ。

脱走、外部寄生虫、内部寄生虫、交通事故…猫は三歳児の知能を持つという。人間の三歳児を、こんな危険に晒そうという親がどこにいようか?

あなたの隣に猫がいる。数々の奇跡が重なって、猫は無事にあなたの隣にいる。そのことを、忘れてほしくはない。

この記事が参加している募集

猫のいるしあわせ

サポートしてくださると猫のゴハン代になり、猫じゃらしの素材代になります。趣旨に賛同できる方はお願いできれば幸いです。