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『死ぬまで生きる日記』がとても良かった、ただそれだけの話

とにかく良かった。

「死にたい」と思ってしまう自分をどうにかしたくて、カウンセラーさんとの対話を通し、自分の内面を掘り下げていく内容なんだけど、これがとても良かった。

自分の中にある負の感情を表に出すことって、めちゃくちゃ難しいと私は思っている。たまに負の感情でも関係なく、素直に自分の気持ちを吐き出せる人もいるけれど、そういう人を同じ人間だと認識できない。どういう風に育てばああなるのだろう。

『死ぬまで生きる日記』の著者である土門さんも、自分が発作的に「死にたい」と思うことを周囲に言うことが出来ずにいたらしい。たしかに家族や友人がいきなり「死にたいんだ」と言ってきたとしたら、私もどう返答すれば良いのか悩む。

しかし土門さんはカウンセラーさんとの対話を通して、徐々に内面が変化していき、家族にも友人にも自分の気持ちを言えるようになっていくので、カウンセリングのすごさを改めて思い知った。

とはいえ、土門さんの辛さはまだまだ残っていて、25年もの間ずっと苦しんできた「死にたい」という思いはそう簡単には消えてはくれない。けれど少しずつでも変化していく土門さんの姿に、心を打たれたという良いお話で終わろうと思ったけれど、ちょっと待てよと思った。

私がこの本を良かったと思っている理由は、たぶんそこじゃない。少しでも土門さんの辛さが減っていくのが一番だとは思うし、自分と向き合って「死にたい」とつき合っていこうとする姿はとても印象的だけれど、私が救われたと思えるほどこの本が良かった理由は、たぶんそこじゃない。

自分でもはっきりとはしないけれど、たぶんだけど、土門さんが自分の葛藤を余すことなく文章にして残してくれたこと、それこそが私にとっての救いだったように思う。

きっと土門さん自身も、私のように超絶ネガティブおばけだと思う。どんなことも悲観的に見てしまう部分が少なからずあって、そういう自分がイヤだと思う気持ちもあって、けれどそんな自分をガラッと変える魔法なんて無くて、それに自分が本当にガラッと変わることを望んでいるのかもわからなくて。

ポジティブでいるほうが人生は楽しいと思われているけれど、果たして本当にそうなのだろうかと疑問に思うことが私にはある。ポジティブだから楽しいと思いこんでいるだけでは??という、うがった見方をしてしまうことが多々あり、そういうひねくれたところがネガティブなんだけど、でもそんな自分が大嫌いかと言われたらそうでもない。

私自身、『死ぬまで生きる日記』を読むことで、超絶ネガティブおばけな自分を変化させることができるだろうか、という視点で読んでいた部分もたしかにあるんだけど、でも本を読み終わってみると、超絶ネガティブおばけの自分がそんなに悪くもないじゃん?という気持ちになってしまって自分でもビックリした。

世の中にはポジティブに生きるための指南書のようなものがあふれているけれど、私はそれに救いを求めていろいろと手に取ってきたけれど、でもこうして救われた気持ちになったことって少なくて、むしろ私以上にネガティブだろうと思われる土門さんの文章を読んで、自分という存在でもいいんだなという安心を初めて得たような気すらしている。

ここまで思いのままに書きなぐってみたけれど、私の伝えたいことが伝わるかどうか。でもこれが今の私の正直な感想で、とにかく本を読んで良かったというシンプルな気持ちを、ダラダラとわかりづらく書き残してみるだけの内容になった。正直な気持ちって、ハッキリと形にできるもんじゃないんだな。ハッキリと形にするには、もっと文章の勉強をしないといけないんだろうな。

『死ぬまで生きる日記』に出会えて良かった。何度でも読み返そうと思う。


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