見出し画像

最高は自分で選びたい

夫と息子がじゃんけんをしていた。

「最初はグー、あいこでしょ!」
と、夫が言った。

夫は「しまった!間違えた!!」という顔をしていた。

しかし直後に
「俺は間違ってない。お互いにグーを出しているのだから、あいこと言うのも間違ってはない」
と、ひとりで必死になりながら言い訳を始めた。

間違いかどうかはさておき、ただ「最初はグー」のあとで「じゃんけんぽん」と言うのがクセになっている私からすると、「最初はグー」のあとでとっさに「あいこでしょ」の言葉は出てこない。

長年染みついた習慣があると、その習慣以外のことはとっさに頭に思い浮かばないのだけど、夫はどうも違ったらしい。

こういう天然の発言ができるひとに憧れる。
天然だからこその苦労もあるだろうけれど、作られていない笑いを生み出す能力が欲しい。
ゴム人間になる能力よりも、天然になれる能力のほうが欲しい。

・・・いや、やっぱりゴム人間のほうが欲しい。

そんな最近の読書は『われら闇より天を見る』

昨日の記事で半分まで読んだと書いたんだけど、あまりにも先が気になりすぎたので寝る間もおしんで一気に読了してしまった。

事件の真相について「もしかしたら」と予想していたことがあり、それが大当たりだったので思わずガッツポーズしかけたものの、いや待てよ、これは喜んでいいところじゃないよね??と思い出し、なんとも複雑な思いにかられた。


年間ランキングの1位ということで、この本に対する期待値がグッと上がっていたことは否めない。
期待値を上げるだけ上げてしまうと、肩透かしを食らった気持ちにもなりやすく、今回がまさにそれだった。

しかし読み終わって一晩経ってみると、やはり読んで良かったと思う気持ちが強くて、しかもまだこの『われら闇より天を見る』の世界にいるような気がしていて、私はかなりこの世界に魅了されていたんだなと気づいた。


個人的に気になったのは、本の帯裏にあった
「翻訳ミステリ史上、最高のラスト1行」
の文字。
こういうのに惹かれて本を購入してしまいがちな私だけど、今作ではちょっと引いてしまった。

そのラスト1行を最高と思うかどうかは、読み手に判断させて欲しかったと思った。
「ここが最高の部分ですよ」
と最初に提示されると、その最高を受け入れなくちゃと思ってしまう。

けれど、本を読んでどんな感想を抱くのかは万人共通じゃない。
「○○史上最高」とか、そういう煽り文句に踊らされがちだけど、踊らされると本当に良かったものを本当に良かったと思える気持ちまで、どこかに消えてしまうような感覚。

最高は自分で選びたい。

そんな思いがあったものの、ラスト1行があることで物語の良さがあるんだろうなと思い、なんだかんだと言ってみたけれど『われら闇より天を見る』は面白かったと、シンプルな感想を述べて終わりにします。

この記事が参加している募集

読書感想文

海外文学のススメ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?