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都立病院の独法化のメリット・デメリット

東京都知事選が始まりますね。各立候補者の公約が気になるところです。コロナの影響もあり、都立病院の独立行政法人化、いわゆる独法化を公約、しかも緊急課題として挙げている方も目立ちます。一方、独法化の中止を挙げている方もいます。独法化するとどう変わるのかをまとめてみました。

1、地方独立行政法人とは

住民の生活、地域社会及び地域経済の安定等の公共上の見地からその地域において確実に実施される必要のある事務・事業のうち、地方公共団体自身が直接実施する必要はないものの、民間の主体に委ねては確実な実施が確保できないおそれがあるものを効率的・効果的に行わせるため、地方公共団体が設立する法人。
 目標による管理と適正な実績評価、業績主義に基づく人事管理と財務運営の弾力化、徹底した情報公開等が制度の柱。(文部科学省より)

つまり、法人が自ら人事や会計などに関する制度を柔軟に構築するなど、機動的な病院運営を行い、必要な医療を確実に提供し続けていくための仕組みです。地方独立行政法人は、都が設立する法人であり、これまでどおり都立病院であることに変わりはないようです。

2、運営はどう変わるのか?

都立病院は都が直接運営していますが、地方独立行政法人は、都が100%出資して設立する法人です。地方独立行政法人に移行した場合、運営主体は法人に変わることになりますが、運営主体が変わっても都立病院でなくなることはありません。

3、不採算な医療は切り捨てられるのか?

救急医療・周産期医療・小児医療などの行政的医療を安定的・継続的に提供するという都立病院の役割は地方独立行政法人となっても変わることはないそうです。
 また、現行の都立病院と同様に、採算の確保が困難な医療に係る経費について設立団体(東京都)が負担することが法定されており、こうした医療を確実に提供する仕組みが担保されています。

4、災害時の対応は変わるか?

新興感染症の世界的な発生・拡大や、激甚化する大規模水害、発生が見込まれる首都直下地震など、東京は大きなリスクに直面しています。都立病院は、地方独立行政法人となっても、災害等の発生時には、都と一体となって医療救護にあたるなど、都民の皆様の安全・安心を守っていくことが求められていると思います。その役割を担保するため、緊急時等に知事の求めに応じて医療を提供することを法人の根本原則である定款等に明記することになっているそうです。

5、独法化のメリットとして予想されること

・タイムリーな決定ができる。

現在は、自治体のルールや法令上の制約により、タイムリーな医療スタッフの確保や医療機器の設備が困難になっています。医療ニーズの変化により、体制の強化のために採用人数を変更したくても、決定から実行まで約1年、医療機器の導入には予算の要求から設置まで1年以上かかっているそうです。これでは、患者ニーズに迅速・柔軟に応えられません。独法化により、より柔軟な人員の確保、医療機器の整備ができると考えられます。

・収益面の向上

柔軟な人員確保により、診療報酬において上位の施設基準を取得できるようになったり、外部からの寄付金等、資金の獲得が柔軟になることが予想されます。

・研究成果の向上

研究体制の強化や企業との共同研究がしやすくなり、研究成果の向上につながる。

6、独法化のデメリットとして予想されること

・財務負担の増大のおそれ

長期債務を新法人が引き継ぎ、その利払いや返済金の過大な負担により、本来の目的である研究・診療の維持・拡充の妨げになる恐れがある。また、移行に伴う事務作業やコストが発生する。雇用保険法に基づく事業主負担額の増も考えられる。


都知事選のゆくえはどうなるか…

また色々と調べてみようと思います。

またよろしくお願いします(^^)




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