マジでどうでも良い事つらつら15

■バンドマン、乙女じゃなかった■

至極どうでも良い話なのだが、
筆者は子供の頃、確か小学校3・4年生の頃だったような気がする。
もしかすると自分は女性なのではないか?と思っていた時期があった。
というのもその当時テレビで女性は脂肪がつきやすいというのを見たのがきっかけであった。早い話、男性と女性の肉体的差異の話を番組内でしていたのだ。
何の番組だったのかは忘れたが、聞けば聞く程自分の肉体的な特徴は女性的なのではないか?と不安になっていた。

女性の肉体に対する偏見もあったのだが、脂肪は取れづらいし、体毛は薄いし筋肉は全然無いし握力等も20もないほどに弱かった。
実態はただ太りやすく、たまたま体毛が薄く、筋トレなど一切していないのだし握力も偶然弱かっただけだ。
ついでに言えば内股だったのもそれを助長する一因だったのだが、当時の私は本当にそれが心配だった。
もしかしたら皮膚に埋まって隠れてるだけで肛門とおちんちんの間に穴があるんではないかと股間を何度も確認してまさぐったり、
もし自分が女性だったとしてこれがバレたら親に捨てられるかもしれないと夜な夜な本気で悩んでいたのだ。

しかしもし本当に生物学的に女性だったとしたならば、この股関にぶら下がっているおちんちんはどう説明すれば良いのだ?
体が女の子なのにおちんちんも付いてるのならば、
自分は一体どっちとして生きていけば良いのだ?
そしてどっちを好きになれば良いのだ?
当時好きだった女の子と同性だとするならばこの恋は報われない。
だったら男を好きにならなくてはいけない。
男だったら誰がカッコ良い?幼なじみの
アイツか、転校生のアイツか?
ちょっとヤンチャなアイツか勉強の出来るアイツか??
ダメだー!やっぱり俺は男よりも隣の席のあの娘が好きだー!
でもそれは許されないし報われない、どうしよう。
父ちゃん母ちゃん、俺はアンタらに孫の顔を見せてやれないかもしれない!親不孝でごめんよー!

と、こんな訳のわからない事を本気で悩んでいたのだ。安心しろ、孫の顔はなんとか見せられたから。
当然誰にも相談などしなかったし、悶々とした毎日を過ごしていたが、そのウチそんな事を考える事も無くなった。

時は経ち、テレビでも性同一性障害の話だったり同性愛者の話だったりが飛び交うようになり、
昔ほどセクシャルマイノリティについての偏見がなくなってきて、そういった方々に理解を示さねばならないと、世論が動き始めた頃。
結局性自認も身体的性も男性であり、肛門とおちんちんの間に穴など存在しなかった一人の男が、なぜかそんな話題を聞いて安心していた。私だ。

一時的にとは言え、自分の肉体的性を自認出来なくなって自分はおかしいのではないかと悩んでいた私にとって、
個々のセクシャリティーを肯定する記事は非常に心地好いモノであったし、
結果ただのシスジェンダーであったにも関わらず、当時の自分を急に思い出してホッと胸を撫で下ろしていたのだ。
あまり知識も揃っていない私には未だに偏見も多くあるであろうし滅多な事を書く事は出来ないが、
その出来事のおかげでLGBTの方々に対しての差別的意識そのものは無くなった。

それに留まらず私は一つの仮説を立ててみた。
確かに当時の私はもし自分が女性であるなら男性を好きにならなければいけないと思い込んだが、好きな女の子がいた事によって未遂に終わっている。
しかし、それはあくまでも気になる異性がいたからという理由だけなのであって、
そういった対象がいない状態ならば、もしかしたら男性にも好意を向ける事も出来て、性的興奮を覚える事も出来るのでは?そう思ったのだ。

人によってはデリケートな話題であるので、もし言葉を間違えて使っていたら本当に申し訳なく思うのだが、
恋愛対象となる性が一つだけというのは非常に損をしているような気がした。
全世界80億人近い人口の中で身体的性は約半々といったところだろう。
もし運命の赤い糸というものがあるのなら、その相手と出会える可能性を自分が男性で女性にしか意識を向けられないというだけで半分捨てている事になる。
これではあまりにももったいない。
聞けばバイセクシャル、つまり両性愛というものもあるというではないか。
自分がこのバイセクシャルに当てはまるとすれば、それだけで私の可能性は倍になるのではないだろうか。

そう思った私だったが、なにぶん既に女好きを遺憾なく発揮していたタイミングだったので、急に男性を好きになれと言われても無理な話だ。残念ながら私にはおっぱいとパンティーの中にしか興味がなかった。
とは言え何もせずに異性愛に留まるのももったいないし、試してみる価値は十分にあると思った。
私は急いで自転車に乗り、少し離れたレンタルビデオ屋へ行き男同士でまぐわり合っているビデオ、すなわちゲイビデオを借りてワクワクしながら家へ持って帰った。
初めてロックンロールを聴いたあの日のように何だか悪い事をしている気持ちになり、とてもドキドキしながらティッシュを用意してズボンとパンツを下ろした。
準備は万端だ。新しい性の扉を開けようと、家族を起こさないようにそーっとビデオを再生した。

結果的にこのゲイビデオを導入から何までしっかり目に焼き付けた私は、人生で初めて一ヶ月間ほどインポテンツになってしまった。
すぐに結論付けてしまってはいけない、もしかしたら私のお気に入りのフェチズムがあるかもしれないと90分ほど見続けたのがマズかった。
更にこれが洋モノの筋骨粒々バッキバキのお兄様方が少し強引に力ずくで行為を行うビデオだったため、しばらく外国人が怖くてたまらなかった。ちゃんとジャケットや裏ジャケまで確認しなかったのがいけなかった。
その日からのおちんちんのリハビリは苛烈を極めたものだ。何が悲しくて半泣きになりながら夜な夜なおちんちんを握り続けなければならないのか。

絶対にいないと思うが万が一筆者と同じ思考にたどり着いた方にアドバイスだ。
自分が一番興奮する性的な場面をイメージしてほしい。
それだ、そのイメージに映っている対象となる人があなたの性対象となる性別だ。
それが異性であれ同性であれどっちでもかまわないが、好奇心にかまけて無理をしてはいけない。

セクシャリティーとはその人個人だけのモノであると身を持って知った日であった。
読者諸君、どうか好きな対象で好きなシチュエーションで、素敵なマスターベーションライフを満喫していただきたい。
勃たないというのは、尋常じゃなく不安になるぞ。あー良かった。

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