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記事一覧

ひどく優しい世界(小説書き練習)

世界が人より歪んで見える。いつからだろう。こんなに曇ってしまったのは。いつからだろう、目の前の輝く光から目をそらすようになったのは。 アイヴィーは、まだ少し切り…

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4か月前
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ミニ小説「誰よりも優しい君の魔法」①

「ただいま。兄さん。」 そう一人の青年が、視界の奥には白い岩肌をのぞかせ丘の中心に広がる花畑を目の前に独り言ちる。彼の名はウィルド。 「…ここがあなたの言っていた…

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5か月前
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【読書】マイノリティーリポートを読んで

今回、フィリップ・K・ディック著作の「マイノリティーリポート」を読んでみた。その感想をつらつらとコンパクトに書き記しておきたい。 1.概要テクノロジーも大きく発展…

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5か月前
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ひどく優しい世界(小説書き練習)

世界が人より歪んで見える。いつからだろう。こんなに曇ってしまったのは。いつからだろう、目の前の輝く光から目をそらすようになったのは。

アイヴィーは、まだ少し切りかかった森の近くを一人散歩している。
「一人…一人には慣れてる。私は一人で十分。」
そうどこか自分に言い聞かせるように、ぽつりとつぶやく。
家族は兄が一人。兄弟二人で狩りの仕事をしており、今は一日の中で唯一一人の時間だ。いつも早朝の森の空

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ミニ小説「誰よりも優しい君の魔法」①

「ただいま。兄さん。」
そう一人の青年が、視界の奥には白い岩肌をのぞかせ丘の中心に広がる花畑を目の前に独り言ちる。彼の名はウィルド。
「…ここがあなたの言っていた場所ね、ウィル。とても美しい場所だわ。」
彼を大切そうに愛称で呼ぶ女性。うっとりと眦を薄ピンク色に染めあたり一面に広がる景色を見つめる彼女はウィルドの婚約者 、エマだ。

彼らは妖精王の森と呼ばれる場所に向かうため、人知れず消えていくよう

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【読書】マイノリティーリポートを読んで

今回、フィリップ・K・ディック著作の「マイノリティーリポート」を読んでみた。その感想をつらつらとコンパクトに書き記しておきたい。

1.概要テクノロジーも大きく発展し、犯罪を予測し潜在的犯罪者を確保することで犯罪を、とりわけ殺人につながる事件を予防できる革新的なシステムを持つ世界に刑事として取り締まるアンダートン長官。しかし、予測結果の中でアンダートン本人が殺人を犯すだろうと判定されてしまった。善

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