ベストタイミングで読めた! 門井慶喜さんの本 『家康、江戸を建てる』 『ロミオとジュリエットと3人の魔女』
同じ本でも読むタイミングによって、とても楽しめることもあればそうでないこともある。
門井慶喜さんの本は、今までに4冊ほど読み、特に『銀河鉄道の父』などは超面白いな~と思った。でも、やや癖もある?ので、いつでも楽しめる作家ではないような気がしていた。
そんなわけで、興味をもってタイトルなどをメモしたもののまだ読んでいない、という本が何冊かあったが、そのうちの2冊をベストタイミングで読むことができた。
『家康、江戸を建てる』 by 門井慶喜
2023年は、大河ドラマ「どうする家康」が放送されていたが、9月後半か10月初めくらいに、家康が関東に国替えになり、江戸に移動するシーンになったので、ちょうどいいタイミングかな、と読み始めた。
やはり、最初のあたりは、ちょうど記憶に新しい部分で、すっと入ってくるし、さらにちょっと違う展開になるのもまた楽しめた。
この本の主役は、家康のようで家康ではない。
もちろんもともと命令をするのは家康なのだけど、そこから実際に実現していくのは、多くの人々は動いていて、大名とかではない、職人たちの働きぶりにスポットが充てられている。
第1話 流れを変える
第2話 金貨を延べる
第3話 飲み水を引く
第4話 石垣を積む
第5話 天守を起こす
有名な人物ももちろん登場する。その中で、この本を読むと、藤堂高虎は嫌いになる、家康の息子の秀忠は結構賢い、なんて思ったりする。
まあ、史実に基づいているとはいえ、脚色もあるだろうから、全部信じてはいけないが、気楽にためになる本だ。
『ロミオとジュリエットと3人の魔女』 by 門井慶喜
昨年の9月ころから、SNS(スタディプラス)の友人の影響で、「シェイクスピア全集」(松岡和子訳)を読み始めた。
全集の話はまたいずれ書く(2月以降になりそう)が、図書館で借りて順調に進んでいたのに、ある日突然、図書館の一覧から消えるミステリー!が。のちに、理由が判明。わが市の図書館の一部が改装に入り、そこにあるものが一時(といっても半年以上!)借りられなくなってしまったというのが真相だった。
そんな折に、この本を借りてきた。
門井慶喜さんの軽い口調で、シェイクスピアの作品に出てくる人の名前がどんどん登場し、シェイクスピアのパロディーが満載。
たとえば、ロミオとジュリエットは親が決めた婚約者同士で仲が悪い、など笑える設定。
登場人物は、いろいろな話から出てくるけど、最も主役的存在なのが、「十二夜」のオーシーノ侯爵と、ヴァイオラとセバスチャンの双子の兄妹。
そもそも「3人の魔女」というタイトルからして、マクベスのパクリであることは明らかだし、やり込められる人はイアーゴ(「オセロ」の悪役)だし。
そのほかの本からもちょっとずつ引用があったりして、あれだあれだ、となって、個人的にはすごく楽しめた。
ただ、作品を1冊も読んだことがなく、映画とかで内容を知っているものもない、シェイクスピアのことをほとんど知らない、という方には全然面白くない本かもしれない。
この本を読むのに、シェイクスピアの作品を全部読む必要はないけど、何冊かは読んだ後のほうがいい。特に「十二夜」は必須かも。
本でなくても、作品の映画を見るか、映画「恋におちたシェイクスピア」を見るとかでもよいが。
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