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#長編小説
【連載小説】『晴子』7
気が付いたら、リビングのソファーの上でクッションを抱いて眠っていた。
西日のまぶしさに目覚めた私は、ソファーのひじ掛けの所に背をもたれさせて、半分身体を起こした。テレビを見る気にもなれず、窓の外を見るともなく眺めた。夏の夕方は、まだまだ明るい。
飲食店の仕事は、休みの日が世間の休日と一致しないことも多い。今日も仕事は休みだが平日で、だから休みの日にただでさえ数少ない友人と会う約束を取り付ける
【連載小説】『晴子』19
Bill Evansの音楽は、私にとって理想の生活の比喩だと思う。
彼の音楽は、一つ一つ水滴を落とすように音が並べられていると思う。大胆さと繊細さ、すなわち伴奏とメロディーの対比ではなく、ポツリポツリとしたメロディーが曲全体を導いていくような。「神は細部に宿る」なんて格言を信じているわけではないが、繊細さが全てを構成していくような生活に憧れているのは誰の影響なのだろう。
あの人が教えてくれた