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座右の銘

『一期一会』『良妻賢母』『三つ子の魂百までも』。。。
人生において大事にしている言葉がいくつもある。その中でもよく母が一期一会を大切にしなきゃダメなんだよと。
子供の頃よく母は私を叱る時に四字熟語や格言を使い、なんじゃそれ?って思ったことがあるが、大人になった時いつも話の中に諺や格言、四字熟語を使って物事を話す癖が自分にもついていた。

 親友にいつも突っ込まれて笑いに変えられてしまうのだが、なんかその癖は親から教えられた唯一の日本人でよかったなと思うような言葉の魔法だ。
 実際旅先で出会った人が本当に有難い重要な存在になり、それがまた私の旅に大きな色付けをしてくれることが大きく、冒頭に書いた『一期一会』に大変救われた経験がいくつもある。
 
その中でもまず最初に思い出す一期一会はまさにこの言葉に尽きる出来事で、マイアミに旅した時に、行き当たりばったりなバスの乗り方をした失敗からの一期一会のお話です。

 日本国内旅行やヨーロッパの街で実際によくやっていた乗り方で、ぐるっと回って戻ってくるか、終点のバスの車庫まで行ってそこからまた逆に戻ってくればいい・・・そんな簡単な考えでリトルハバナに行くバスに乗った途端、激しいスコールに見舞われ、降りるに降りれず親友に車窓の中からの旅でいいじゃん!って軽く言って乗り込んだ。
雨の中、車窓から見た風景はまさに歩きたかったこの場所だ・・・乗客が1人降り、2人降り、次はいつ来れるかな?とそんな事を思いながら窓の外を見ていたのですが、気付いたら私たち以外は後部座席にお婆さんが1人乗っているだけでした。雨はすっかり止んでおりGPSでGoogle mapで位置を確認していたら、想像していた位置から相当の距離を離れてしまい、小一時間近くバスに乗っていました。 辺りも暗くなりどうしよう・・・と不安になり始めた頃、バスが停車し、お婆さんがそこで降りる様に言われているようで黙って降りていきました。もしかしたら浮浪者だったのか?身なりの綺麗な人ではなかったなぁと思ってぼーっとしていると、ドライバーに「ここで降りて。もうバスは終点だから。」と言ってきました。
ん? こんな道のど真ん中で?? そこは大きな広いバイパスのバス停でした。
スペイン語でお婆さんに何か言っていたのはこれだったのか・・・と、慌ててこんな場所で降ろされても・・・と思い、私はドライバーに元の駅に戻りたいんだけどというと、このバスはもう運行しないから戻るなら通りを曲がって何ブロック先の○○番バスに乗りなさいと言われたんだけど、2回確認したがどうしても何番バスなのか、何ブロック先なのか聞き取れなかったのです。恐らく4ブロック先の4?番バスといった様に思いましたが、辺りはすっかり暗くなり大きなバイバスのこの場所から4ブロックも歩く勇気がありませんでした。
雨も今にもまた降りそうでこれはまずいぞ・・・とバスを降りてどうしようかと観ると前に一台同じ8番バスが停車しており、遠くからドライバーが戻ってくる所でした。
なので事情を言ってみるがけんもほろろ・・・もうバスは運行しないといって乗り込むとドアを閉めてご飯を食べ始めていました。

奇しくもこの日はThanks Mothers Day…母の日でした。周囲に店らしい店はあまりなく、どこも閉まっているようで休日だった事を計算に入れていませんでした。

当時はWifiも持ち歩かず、時々モバイル通信をして位置確認やメール受信をして過ごしている旅だったので、軽くパニック状態の私はモバイルオフにしていた事を忘れて機内モードを解除してもネットが繋がらず、Uberを呼ぶとかホテルに電話をするとかそんなことすら出来ないほど怯えていました。

そんな時遠くから花束を抱えて歩いてくるヒスパニック系の女性が目に入りましたが、声をかけたそうに私がしていると声をかけるなよ!というような鋭い視線でとても声がかけられずにいました。
すると元来能天気な親友が「あれ、JWのバッチつけている人だよ!ホテルが近くにあるんじゃない?」というのです。確かにみるとベストの胸に鷲だかなんだかのマークのJW Marriotto Hotelのバッジを付けており、意を決して声をかけました。「もしかしてマリオットホテルの方ですか?この近くにホテルあるんですか?」と。するとその女性は馬鹿にしたように「は?こんなところにあるわけないじゃない。」というのですかさず「実は私たちサウスビーチのマリオットホテルに泊まっているのですが、帰り方がわからなくなって困っているんです。」というと目の前のバスを指してこれに乗れば帰れるでしょ?と・・・。
で、今日はもう運行しないと言われて困っているというとドアを閉めているバスのドライバーにノックして開けてもらうと早口のスペイン語で何やら言い合っていました。
しばらくすると「送ってくれるって。」と。
まさに晴天の霹靂でした。
そんな時ちょうどスコールがまたザーッと降り出して急いでバスに乗ると、ドライバーが「夕飯を食べ終わるまで待ってくれ。」と言い、私たちと一緒にその女性も一緒に乗って来て「私も送ってもらう事にしたわ」と後部座席に座りました。

運がついているとはまさにこの事、途端に大粒の雨であっという間に道が冠水し出しバスが出る頃には前が見えない程の土砂降りになりました。

「気をつけて帰ってね。」と女性が数駅先のバス停で降りると、代わりに障害者の2名が乗り込んできてバスカードをタッチしているのに反応しなくて「あれ?あれ?」とやっていました。ドライバーは何やら言って彼らを席に座らせると、次々とバス停で止まりあっという間にずぶ濡れの人たちをバスに乗せていました。
その時にバスカードをタッチする人に今日はフリーだからといってバスに乗せており、私たちはドライバーのすぐ後ろの横向きの席に座っていたせいか、乗る人乗る人皆が「オ〜ラ〜♪」と声をかけてくれました。
その度にニコリと笑顔で返し、降りていく人を見送るたびに「Have a nice day」「Bye」と声をかけられて気付いたら会釈をし頭を下げ見送っていました。
すると後部座席の人たちがスペイン語で何やら話しかけてきたので、私はごめんなさいスペイン語がわからないの・・・と答えると「Where are you from?」と。「We're Japanese. from JAPAN」というとすごい盛り上がり様で「この人たちハポネだって!」とニコニコして皆が遠い所からよく来たね・・と英語で話しかけてきてくれてまた皆それぞれの場所で「Graciasグラシアス」と降りて行きました。

やっぱり終点に着いた時にはまた私たちだけになりました。

ドライバーに「ムッチョグラシアス」とお礼を言うとただ笑顔でうん、と頷くだけでしたが、私の心はもう天にも昇るような幸福感に包まれ、たくさんの一期一会に感謝して、親友とその夜はすごい旅をしたね、人に感謝だねぇ・・そしてJWのバッチを知っててよかったね、マリオットホテルに泊まっててよかったね! となんだか凄い冒険をした様な優越感でいっぱいになりました。

実際すごい冒険でしたが、怖い思いをしたのに一番忘れられない人々に助けられた
『一期一会』でした。

#大切にしている教え

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