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#宇野朴人

12/30 『七つの魔剣が支配する ⅩⅢ』を読んだ

なんとも息が詰まる巻。一年生編がアニメ化されたこともあって、四年生の制服で憂鬱な面持ちでいられると否が応でもオフィーリアの悲劇を思い起こさずにはいられない。実際キンバリーにおいてもここらがひとつの節目なのではって感じがある。前巻におけるバルテ姉弟しかり、単純な不運や力不足でリタイアするのではない、ひとしきりの成長を遂げたが為に「魔に呑まれる」という末路が確かな実感を持って魔法使いの前に立ち現れるのが、この時期なのだろう。オリバー達は辛くもそこをしのぎ切れただけでも、上出来だっ

8/2 『七つの魔剣が支配するⅫ』を読んだ

進展と変転のⅫ巻。予告はされていたけど、思っていた以上のギアの上がりように、この先しっかりついていけるか不安が鎌首をもたげる。ガイもピートも、とうとう飛躍したな。でも、ガイは状況に追いやられてな部分もあったが、それでも確固たる自分の意志で、己の魔道を踏みしめていくのは、どうあれよいのではないかと思える。どうにかはなっちまうんだろうが、この世界じゃどの道どこかには行き切らなければそこで行き詰ってしまうのだろうし、それだったら己の足で覚悟をもって駆けていっていただきたい。今回の4

7/6 『七つの魔剣が支配する Side of Fire 煉獄の記』を読んだ

アニメも始まりますますの盛り上がりを見せる『ななつま』シリーズ。煉獄さんの声を煉獄さんがやったらそれはもう本当に煉獄さんじゃんか、とキャスト発表を見たときは思ったものだが、そう言えば何故煉獄さんが……つまりキンバリーのアルヴィン・ゴッドフレイがその二つ名で呼ばれるに至ったかは気にしたことがなかった。火炎魔法が得意だからくらいにしか思ってなかった。が、それがまさかこのキンバリー魔法学校、ひいては魔法使いという存在自体を「地獄」と定義したときの、それに相対するものという意味での『

6/28 『七つの魔剣が支配するⅪ』を読んだ

休息と調息のⅪ巻。物語としても学園生活としても後半戦にさしかかるにあたって、これまでの日々に対する労いと、これからの日々へ向けての覚悟を、各々が各々なりに定めていく。 まずはゴッドフレイ先輩の卒業。この手のキャラ……主人公たちの良き手本となる先達が、五体満足で無事に卒業できるというのも珍しい。いや無事とは言っても、オフィーリアしかりカルロスしかり、それなりに喪ってきたものはあるだろうが。そのへんはきっと、同時発売の外伝で語られているのだろう。 そして始まる帰省旅行。学園の外の

10/19 『七つの魔剣が支配するⅩ』を読んだ

交わりのⅩ! とか言ってる空気でもない激アツの10巻。 まずは前巻最後のおさらいというか反省会、カティの来歴と今後の展望が議論される。数ある魔法学校の中でもキンバリーに入学してくるような輩は、どうあれ尋常の経歴を抱えてはいないということがよくわかる。しかしまあ、以前「このパーティ、この親密度のままいったらそのうち自然な流れで仲良く乱交とかはじめちゃいそうだな」とか思ったものだったけど、ほんとにそういう流れも「ある」ってことが明示されてしまったので参る。既に一部の者はヤる気だっ

3/25 『七つの魔剣が支配するⅨ』を読んだ

表紙を見てわかるとおり、決闘リーグの決勝戦を一巻ほぼまるまる注ぎ込んで描き切っている。そして表紙を見てわかるとおり決勝のマッチアップがどことどこのチームであるかもう隠す気も無いのだが、それがまったく問題にならない熱い戦いを堪能した。 まずはオリバー隊vsヴァロワ隊。おそらくオリバーの同期組における最後のネームド枠といったところであろうヴァロワちゃんさん。才能とセンスで圧倒しオリバーの重んずる友情を否定する敵役だが、そうした相手に友情の力で対抗するのでなく、その才能のルーツを

9/15 『七つの魔剣が支配する Ⅷ』を読んだ

面白かった。 選挙戦の布石となる決闘リーグ、その最中に発生した突発的討伐イベント、ということで、なかなか混沌としている。1巻の時点から強敵アトモスフィアを醸し出していたリヴァーモア先輩がレイドボスとなって立ちはだかる。多人数参加型イベントであるがゆえに、多くのキャラクターが活躍する。前巻で登場したオリバーの同級生たちも引き続き参戦するし、新たにイラスト実装された人も多くいてテンション上がる。うん、こうしてソシャゲ用語を多用して説明してみると、驚くほどしっくりくるな。きっと今

7/10 『七つの魔剣が支配する Ⅶ』を読んだ

面白かった。 三年生……月日が経つのは早いなあと思いつつ、その年月が育てた各人の成長が麗しい。オリバーやその仲間たちのみならず、同級生や下級生の成長などにも楽しみと期待が膨らむあたり、この面白さはゲーム「軌跡」シリーズのソレに近しいものがある。遠からずアニメ化などもしてくれるだろうが、ゲーム化したものも見てみたい。できれば日本ファルコムから。 新しいキャラ、ライバルなどが増えて、同級生たちにもまだまだ魅力的な曲者がいるなあと思ったら、なんとこの新キャラたち

10/18 『七つの魔剣が支配するⅥ』を読んだ

面白かった。 己の命を消費して復讐の道を歩むオリバー、その代償もまた尋常ではない……のだが、ここキンバリー魔法学校では命を懸けて大望を果たさんとする奴には事欠かないんだよなあ。とても重い覚悟と執念の道行きだというのに、少し上の先輩たちがその横をスーッと駆け抜けて去って行く。ほんとこの学校をちゃんと卒業できる生徒って何人なんだよ。未だに最上級生に対して言及が無いのが不穏だ。 どうやら今巻で2年生編が終わりらしいが、暗躍だけしてればいい期間は終わり、いよいよ誰もが動き出さねばなら

3/28 『七つの魔剣が支配するⅤ』を読んだ

面白かった。 進級による新たな授業で世界観や(今はまだ)物語の本筋からは離れたような遠大な設定を開陳するとはズルい(?)。魔法学園ものはこういうことができるのだな、と感心しつつ、こういう話は大好きなので興奮した。 前半の学園生活パートでは、相変わらずピートがヒロインよりもヒロインしている。まあ、オリバーがピートに手厚いのは、発展途上のピートにまだ無垢だった頃の自分を見ているからなのかもしれない。自分が決定的な変質を迎えることなく、真っ当に育っていたらこうなっていたのではないか

10/14 宇野朴人『七つの魔剣が支配するⅣ』を読んだ

面白かった。 進級し、授業がレベルアップし、個々人がレベルアップし、景色が拡がって闇が深まる2年生編。いろいろ驚きや発見はあれど、とりわけ、初めてナナオに完全敗北を与えたアシュベリー先輩の印象が色濃い。あんな、主人公に挫かれるために積み上げられたとしか思えなかった高慢ちきが、まさにその高みに相応しき激熱メチャカッコ絶技を繰り出してくると思わないじゃん。子機分離からの再合体超高高度直滑降突撃とか一瞬でイメージがハリポタからスパロボに変わらざるを得ない。これにはナナオ同様感服した

5/22 宇野朴人『七つの魔剣が支配するⅢ』を読んだ

面白かった。 一年生編を締め括るテストとクエスト。『魔に呑まれ』た上級生とその末路。ある意味ここまでがひとつの教科書ともいえよう。この世界ではこうした手順を踏んで魔法使いが生まれていく、と。 主人公たちの未熟さ、しかしながら引き立つ可能性の強み、対する学園の奥深さとその中で生きてきた上級生たちの厚みを、慎重にバランスを取りながら余すことなく描くワザマエに脱帽……とか生意気なことを思いつつ楽しんだ。オフィーリアの宝具展開、ではなく絶界詠唱も格好良い。 その末路も。無限に混

9/15 宇野朴人『七つの魔剣が支配する』を読んだ

面白かった。 事前にツイッターで作者が「ライトノベルでハリポタ」みたいなことをつぶやいており、前作最終巻末の予告編などを読んでも確かにそんな感じというか、喋る花とかまんまじゃんって感じで権利とか大丈夫かなとさえ思ったが、蓋を開けてみれば、ハリポタとはだいぶ違う、日本ライトノベルらしいあれやこれやがちょいちょい突き出ていてよかった。あれやこれやというのは、たとえば魔法学校の生徒たちがみんな白杖と杖剣を持っているのにひとり日本から来たヒロインは日本刀を杖代わりにしてるとか、校長