5/22 宇野朴人『七つの魔剣が支配するⅢ』を読んだ

面白かった。
一年生編を締め括るテストとクエスト。『魔に呑まれ』た上級生とその末路。ある意味ここまでがひとつの教科書ともいえよう。この世界ではこうした手順を踏んで魔法使いが生まれていく、と。
主人公たちの未熟さ、しかしながら引き立つ可能性の強み、対する学園の奥深さとその中で生きてきた上級生たちの厚みを、慎重にバランスを取りながら余すことなく描くワザマエに脱帽……とか生意気なことを思いつつ楽しんだ。オフィーリアの宝具展開、ではなく絶界詠唱も格好良い。
その末路も。無限に混沌とし狂乱していく恋情を解きほぐすただ一つの方法は、余計なものを徹底的なまでに削ぎ落としたシンプルな愛情であった。
しかし『魔に呑まれる』とはどういうことなのか、実はいまいちよくわかっていない。失敗なのか、暴走なのか、何か未知なる存在に取り込まれたりでもするのか。魔法使いすべての末路だなどとも言われていたし、魔道の最終到達点とも。まあその辺りもおいおい明らかになっていくんでしょう。たぶん、オリバーの復讐譚だけで終わる物語じゃなさそう。仇敵たる教師陣が出てきてるというのに、未だに七年生が一人も出てきてないあたり、仕込みに仕込んでるよなあという感じ。ん?あれ、ていうかこれで一年生編がラストなら、現七年生は出番無いまま卒業しちゃった?

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